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ルイス構造(ルイスこうぞう、英: Lewis structure)は、元素記号の周りに内殻電子を無視して最外殻電子のみを点(・)で表した化学構造式の一種で、分子中に存在する原子間の結合と孤立電子対を示す図である。ルイス構造は、どの原子同士が互いに結合を形成しているか、どの原子が孤立電子対を持っているか、どの原子が形式電荷を持っているかが分かるため有用である。
ルイス構造では、単結合は一対の点(:)で表記し、二重結合、三重結合はそれぞれ電子対の数を増やして表記する[1]。ルイス構造式は任意の共有結合分子や配位化合物を描くことができる。ルイス構造式の着想は1916年にアメリカの化学者ギルバート・N・ルイスがThe Atom and the Moleculeと題した論文で提唱した[2][3]。その他にも電子式 (electronic formula)、点電子構造式、点電子表記法といった呼称がある[1]。
次のような流れで描く。
以下に詳細を述べる。
いずれの化学結合も理想的な共有結合(非極性結合)を仮定することで、個々の原子の見かけの電荷を決定することができる。この見かけの電荷のことを形式電荷と呼ぶ。形式電荷と実際の原子の部分電荷を結びつけるには各原子の電気陰性度を考慮しなければならないが、しばしば実際の電荷を考える上でも参考になる。実際、位相構造と共鳴構造の記述、比較、検証に用いられる[6]。
一般に、原子の形式電荷は以下の式を用いて計算することができる[7]。
化合物中のある原子の形式電荷は、中性原子が持っている価電子の数とルイス構造式中においてその原子がもっている電子数との差として計算される[7]。共有結合中の電子は結合に関与する原子間で等しく分割される。イオンの総形式電荷はイオンの実際の電荷と等しくなければならず、中性分子の総形式電荷はゼロでなければならない。
ルイス構造は基本的に共有結合性をもつ化合物に対して適用できるので、分子性の化合物に対してのみならず共有結合結晶や高分子のように半無限に共有結合が続いている状態にも適用できる。
ただしイオン結合性が強い化合物について適用することはしばしば難しい。 たとえば塩化ナトリウムNaClではNa+とCl-はそれぞれ8つの価電子を有しているので、4つの単結合を作れると考えられる。しかしNaClの実際の構造は二原子分子ではなく、面心立方格子構造を見れば分かるように各原子は6つの原子とイオン結合によって結ばれており、これはルイス構造では説明および表記することができない。
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