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ゼログラフィ(Xerography)または電子写真(electrophotography)とは、1938年にチェスター・カールソンが発明した乾式複写技法であり、1942年10月6日に アメリカ合衆国特許第 2,297,691号 として特許を取得した。カールソン自身は元々これを electrophotography と呼んでいた。xerography という用語は、ギリシア語の語根 xeros(乾燥)と graphos(書く)を組み合わせたもので、液状の化学物質を使った青写真などとは異なる複写技法であることを強調している。
ゲオルク・クリストフ・リヒテンベルクが1778年に乾式静電印刷法を発明しているが[1]、カールソンは静電印刷に写真を組み合わせて発展させた。カールソンの元々の技法は、平らな板にいくつかの処理を手で施す必要があり、面倒だった。全工程を自動化するのに18年もかかっている。重要な大発見は、平らな板ではなくセレンをコーティングした円柱状のドラムを使ったことだった。これによって世界初の自動複写機が1960年、ゼロックスから発売された。ゼログラフィは、多くの複写機、レーザープリンター、LEDプリンターで使われている。
最初の商用利用は、手動で操作する平坦な光センサーと複写カメラ、それとは別のオフセット版を作る処理装置から構成されていた。今日、この技術はコピー機、レーザープリンター、さらには Xerox iGen3 や Xeikon といったデジタル印刷システムに使われており、徐々に既存のオフセット印刷を置き換えつつある。
光センサーは円柱上に配置することで、自動処理が可能となった。1960年、初の自動複写機が作られ、その後多数の複写機が作られてきた。同じ手法はマイクロフィルムプリンターやコンピュータの出力機器であるレーザープリンターやLEDプリンターにも使われている。
以下で説明するプロセスは、複写機での円柱上のものである。各ステップには設計上の派生が存在する。
金属の円柱を水平な軸を中心として回るよう設置する。これをドラムと呼ぶ。ドラムの端から端までの寸法が多めの許容差を含めた印刷の幅となる。ゼロックス社で開発した初期の複写機では、ドラムの表面にセレンのアモルファスを真空蒸着してコーティングしていた。最近では、セレンの代わりにセラミックか有機光導電体 (OPC) を用いる。セレンのアモルファスは暗いところでは帯電してそれを保持し、明るいところでは導電性になり表面の電位を中和する。1970年代、IBMはセレンと同様の働きをする有機光導電体を開発すれば、ゼロックスの特許を回避できると考えた。有機光導電体は柔軟な帯に蒸着でき、感光体の波長を光源に合わせることが出来るので最近では主流となっている。
レーザープリンターのドラムはシリコンダイオードのサンドイッチ構造になっており、水素を加えた光電導層、電流漏れを最小化する窒化ホウ素を加えた層(ダイオード効果が発生する)、酸素または窒素を加えたシリコンの表面層からなる(シリコン窒化物は磨り減るのを防ぐ効果(耐摩耗性)がある)。
ドラムは紙を出力する速度で回転する。以下の工程は基本的にドラムが一回転する間に行われる。
ゼログラフィの開発により、従来のオフセット印刷機の代替となるような新技術が生まれた。ゼロックスやXeikonは従来の印刷機の品質に迫る完全なCMYKカラー印刷システムを開発している。
複写以外にもオフセット印刷の製版工程においても使用される。
アブ・アイワークスはゼログラフィを応用し、アニメーション製作でアニメーターが紙に書いた絵をセル画に写す工程を自動化した。これを採用した最初のアニメーション映画が『101匹わんちゃん』(1961年)である。この段階では黒い線しか転写できなかったが、さらに様々な色の線を転写できるようにし、『ニムの秘密』などの作品で使った。
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