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H.P.ラヴクラフトの短編小説 ウィキペディアから
『闇をさまようもの』(やみをさまようもの、The Haunter of the Dark)は、ハワード・フィリップ・ラヴクラフトの小説。邦訳題は複数ある。1935年11月に執筆され、パルプ雑誌『ウィアード・テイルズ』1936年12月号に掲載された。本作は、クトゥルフ神話の一つに位置づけられる作品であり、作者が生前に発表した最後の作品となっている。
闇をさまようもの The Haunter of the Dark | |
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訳題 | 「闇の跳梁者」など |
作者 | ハワード・フィリップス・ラヴクラフト |
国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
ジャンル | ホラー、クトゥルフ神話 |
初出情報 | |
初出 | 『ウィアード・テイルズ』1936年12月号 |
ウィキポータル 文学 ポータル 書物 |
1935年、物語は若い作家の死体が発見された場面から始まる。この死体の遺留品を調査官が調べるという体裁で物語を三人称視点で描く。
オカルトに興味を持つ若い怪奇作家ロバート・ブレイクは、小説や絵画のインスピレーションのために危険を冒すことも辞さなかった。ブレイクは、移住したロードアイランド州プロビデンスでフェデラル・ヒルの廃教会堂でかつて活動していた「星の知恵」という宗教団体に強い関心を抱く。ブレイクは、忍び込んだ廃教会堂で1893年に姿を消した記者、エドウィン・M・リリブリッジ(Edwin M. Lillibridge)の骨を発見したと手記に書き残している。しかし廃教会堂を調べてから1週間後、ブレイクも何者かの恐怖を訴えながら怪死してしまう。
落雷による感電死とおぼしいが、部屋は密室であり、窓ガラスは全く割れていなかった。ブレイクは死の寸前まで日記に恐怖を書き綴り続けており、さまざまな憶測を呼ぶこととなった。だが証拠となりそうな箱を医師が海に沈めてしまい、真相を探ることは不可能となる。
本作は、ロバート・ブロックの小説『星から訪れたもの』の続編として書かれた。ブロックは、第3部作として『尖塔の影』を1950年に書いている。主人公の名前、ロバート・ブレイク(Robert Blake)もロバート・ブロック(Robert Bloch)の綴りをもじったもので本作で初登場した。またブロック以外の人物もモデルにしておりクラーク・アシュトン・スミスとラヴクラフト自身を想起させる特徴を与えた。
ブロックは、『星から訪れたもの』においてラヴクラフトをモデルにした作家の登場人物を殺害する許可を求めた。そこでラヴクラフトは、若い友人に殺害許可証を与えたという。本作は、その経緯を受けて今度は、ブロックをモデルにした登場人物のブレイクをラヴクラフトが殺害するという内容が描かれた。
東雅夫は「ラヴクラフトは、『星から訪れたもの』に応える形で、ブロックならぬブレイクを、ナイアルラトホテップの生贄に供してみせた。HPL最後の神話作品にまつわる右のような成立事情は、その後の神話大系の運命を暗示するかのようでもある。」と解説する[3]。
ニャルラトホテプに関連する星の智慧派、輝くトラペゾヘドロンが登場する。星の智慧派の廃教会には禁断の書物が何冊も収蔵されており、長らく放置されていたが、事件後にある人物により回収されていたことが続編で言及されている。
ロバート・ブレイクの著作5作『地を穿つもの』『窖に通じる階段』『シャッガイ』『ナスの谷にて』『星から来て饗宴に列するもの』は、後続作家たちによって同タイトルを冠したクトゥルフ神話短編が描かれている。5作いずれもスミスが創始したハイパーボリア神話に位置付けられており、実書籍「エイボンの書」に収録されている。
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