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長頭症(ちょうとうしょう、英:dolichocephaly)とは、明らかに頭の前後径が横径に比較して増加している状態のこと[1][2]。
欧米と日本では、沿革に大きな違いがある。
欧米では、うつ伏せ寝が乳幼児突然死症候群の危険因子であることが判明したため、うつ伏せ寝の文化から仰向け寝の文化へと一大転換が図られた。しかし、その結果として乳幼児の頭蓋変形が飛躍的に増加し[3]、頭蓋変形に対する医学的な研究が発展するとともに社会的な意識も高まった。そこで、「頭の形は親の責任(plagiocephaly is the parents' fault)」という考え方が広まりつつある[4]。
他方、日本では、そもそも仰向け寝の文化であったことに加えて[5]、下記のような誤解が蔓延しているため、頭蓋変形に対する意識が高まらず、現在に至っている。
骨癒合性長頭症(こつゆごうせいちょうとうしょう、英:synostotic dolichocephaly)とは、矢状縫合が早期癒合することによって発症する長頭症のこと。頭蓋骨縫合早期癒合症の1種である。この骨癒合性長頭症の亜型に舟状頭がある[1][2]。
頭位性長頭症(とういせいちょうとうしょう、英:positional dolichocephaly)または変形性長頭症(へんけいせいちょうとうしょう、英:deformational dolichocephaly)とは、骨盤位(いわゆる逆子)や吸引分娩などの外圧により乳幼児の頭蓋が変形することによって発症する長頭症のこと。位置的頭蓋変形症の1種である。
日本では、調査・研究されてはいないため、不明である。ただ、日本は欧米ほど頭蓋変形に対する意識が高くないため、欧米よりも多いと考えられる。
アメリカでは、1歳未満の乳児の16~48%に位置的頭蓋変形がみられた[7]。
まずは、頭蓋骨縫合早期癒合症の診断を行う。
頭蓋変形に該当するかどうかは、頭長幅指数(英:cephalic index)によって診断する。
頭位性長頭症は、胎児期や乳児期に頭蓋へ外圧が加えられることによって発症する[8]。
発達遅滞(英:developmental delay)を生じさせる可能性がある[10]。厚生労働省の医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会においても以下のように記載されている。
これまでは、乳児期の外圧による頭蓋変形は、成長発達遅滞や機能障害の原因にならないと考えられてきたが、変形性斜頭等を伴う事例では神経発達及び運動発達に遅れを伴うとの報告が複数ある。筋性斜頸に伴う場合など、一定期間の積極的体位変換等に反応しない場合や、高度の向き癖が持続する例では、頭蓋変形が自然軽快する可能性が乏しく、神経発達及び運動発達の遅滞を予防する観点からも、中等度以上の変形性斜頭等について積極的に治療の適応があると考える。 — 第22回 医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会について
- 厚生労働省
頭痛を発症する可能性がある[11]。
顎関節症(英:Temporomandibular joint disorder)を発症する可能性がある[11]。
二次的斜頸(英:Torticollis)を発症する可能性がある[11]。
位置的頭蓋変形症は顔面変形を伴うので、『位置的頭蓋顔面変形症』と呼称されることもある[12]。斜頭症は、非対称的な顔面になりやすい。
歯列異常を発症する可能性がある[11]。
自転車用のヘルメットが合わなかったり、眼鏡が斜めになる。
頭位性長頭症には、以下のような予防法がある。
タミータイム(英:tummy time)とは、乳幼児が起きているときに、保護者などの厳重な監督のもとで、乳幼児を腹ばいにして過ごさせる方法のこと[13]。
体位変換法(英:repositioning)とは、乳幼児の頭の同じ位置ばかりが下に来ないように、乳幼児の体位を変える方法のこと[14]。 治療法としても有効である。
どちらの長頭症も治療が必要である。厚生労働省の医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会においても以下のように記載されている。
非頭蓋縫合早期癒合症による乳児頭蓋変形の軽症例では定頸や発達に伴って改善するが、中等度以上では就寝時の向き癖が治らずに平坦部に持続的な頭部自重がかかるために、頭蓋の変形が増悪、固定化すると考えられている。 — 第22回 医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会について
- 厚生労働省
骨癒合性長頭症は、外科治療を行うのが一般的である。
頭位性長頭症は、頭蓋形状矯正ヘルメットによって矯正治療を行うのが一般的である。治療できるのは定頸する生後3カ月から大泉門が閉鎖する生後18カ月までとされている。至適開始時期については、生後5~6カ月といわれている。治療開始後に、医師が主導となって健診やヘルメット調整を行う場合と、技師(義肢装具士)が主導となってヘルメット調整を行う場合とに分かれる。 国産第一号:アイメット(Aimet)、大学病院取扱数国内一位:クルム(Qurum)などがある。
骨癒合性長頭症でも、術後にヘルメット治療を行う場合がある[15]。
ヘルメット治療については、厚生労働省の医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会において以下のように記載されている。
筋性斜頸に伴う頭蓋変形はもちろん、その他の頭蓋変形に対して簡便で安全、より効果的な治療が可能となり、患者・保護者の肉体的・精神的な負担の観点から、既存の治療法よりすぐれていると考えられる — 第22回 医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会について
- 厚生労働省
日本で流通しているヘルメットは以下の通り。
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