『遊☆戯☆王R』(ゆうぎおうアール)は高橋 和希(原案・監修)、伊藤 彰(作画)による日本の漫画作品。『Vジャンプ』にて2004年6月号から2008年2月号まで連載された。「R」は「Reverse(リバース)」の意。
本作は、前作『遊☆戯☆王』のアナザーストーリーに当たる外伝作品である。時間軸はバトル・シティ編と王(ファラオ)の記憶編の中間に当たる[1]。ペガサス・J・クロフォードとその孤児達、賞金稼ぎのキース・ハワードの暗躍など、ペガサスと密接な繋がりを持つ者達が本編では色濃く描かれている。
バトルシティ大会で闇マリクとの激戦の末に、3枚の「神のカード」、そして「決闘王」の称号を手に入れた武藤 遊戯。その遊戯にもう1組の神のカード邪神の所有者である天馬 夜行がデュエルを申し込んできた。邪神アバターは遊戯の持つ神のカードの1体「オシリスの天空竜」を一撃で葬り去る。そして夜行は真崎 杏子をR・A計画のために海馬コーポレーションに連れ去ったことを宣言する。遊戯・城之内・本田の3人は杏子を救出するために夜行の待つ海馬コーポレーションへ向かう。
遊☆戯☆王の登場人物については遊☆戯☆王の登場人物を参照。
主要人物
- 武藤 遊戯(むとう ゆうぎ)
- 本作の主人公。
- 作中では「三幻神」と呼ばれる3枚の神のカード「オシリスの天空竜」・「オベリスクの巨神兵」・「ラーの翼神竜」を所有し、邪神を操る天馬夜行に闘いを挑むべく海馬コーポレーションビルの頂上を目指す。表の人格の遊戯と闇遊戯でそれぞれ別のデッキを使用している。懸けられた懸賞金は10万ドル[2]→20万ドル[3]。
- 真崎 杏子(まざき あんず)
- 本作のヒロイン。
- 本作では天馬夜行のR・A計画のために誘拐されてしまいデータのみの存在だったが、R・A計画がラストフェイズに入りプログラムの存在が消滅してしまう。
- 城之内 克也(じょうのうち かつや)
- 遊戯の親友。
- 序盤でブービー罠に引っかかり遊戯とは別行動をとることになる。当初懸賞金は10ドル[2]と安かったが、多くの強敵に勝利していき、最終的に200ドル[4]になった。
- 本田 ヒロト(ほんだ ひろと)
- 遊戯の仲間、城之内の悪友。
- 本作では数少ないギャラリー役。ブービー罠に引っかかった城之内と行動を共にし、遊戯とは別行動となる。
- 海馬 瀬人(かいば せと)
- 大企業「海馬コーポレーション」の社長。
- 作中では夜行の海馬コーポレーション本社乗っ取りを受けて途中参戦。夜行の操る邪神に挑む。懸けられた懸賞金は10万ドル[5]。
- 海馬 モクバ(かいば もくば)
- 海馬 瀬人の弟。
- 兄の影に隠れがちだが、海馬コーポレーションの本社ビルの設計等を兄とともに手がけた。兄との連携で夜行の計画阻止に活躍。
インダストリアル・イリュージョン社
- 天馬 夜行(てんま やこう)
- 実子をもうけなかったペガサス・J・クロフォードが自身の後継者を確保する為に、世界中から集め育てた孤児「ペガサスミニオン」の一人。
- 遊戯の所有する神のカード「幻神獣」とは存在を異にする三枚の神のカード(邪神獣)「邪神アバター」「邪神ドレッド・ルート」「邪神イレイザー」の全てを所有する。R・A計画(Rebirth of Avatar)を企て、今回の事件を引き起こす。「邪神」の高速召喚に特化した従属神デッキを使用。敬愛していた亡きペガサスに未完成を意味する「ラフ・ダイヤモンド」と評された為、ペガサスに「パーフェクト」と評された兄・月行に対して強いコンプレックスを抱いている。
- 天馬 月行(てんま げっこう)
- 天馬 夜行の双子の兄。「ペガサスミニオン」の中でペガサスから唯一「パーフェクト・デュエリスト」と評された。
- ペガサスが他界した後は、その代行としてインダストリアル・イリュージョン社(略称、I2)の立て直しに尽力した。「邪神ドレッド・ルート」を初めて召喚した(正確には夜行の呪縛によって召喚させられた)デュエリスト。対幻神獣を想定したデッキを使っていたが、夜行の呪縛から解放された後は遊戯と行動を共にし、特殊能力を持つエルフモンスターを主力とした彼本来のデッキを使用する。彼の「パーフェクト」とは、成長が完了している=成長しきっているという意味での「パーフェクト(=コンプリート)」であり、普段言われる意味でのパーフェクトとは弟の夜行を指すと述べている。遊戯とのデュエル後、彼に1枚のカードを渡していた。
- ペガサス・J・クロフォード
- 本作に登場するカードゲーム「マジック&ウィザーズ」の生みの親、天才ゲームデザイナー。
- 前作「遊☆戯☆王」の「決闘者の王国編」終盤で獏良 了に暗殺された。天馬 夜行は彼を蘇らせるために、R・A計画を実施する。
- Mr.クロケッツ
- ペガサスの生前から仕えていた執事。
- 主の逝去後は後継者である天馬兄弟に従い、遊戯と月行のデュエルを見届けた。
カード・プロフェッサー
遊戯の懸賞金を狙うデュエリスト達の総称。後述のキース・ハワードによって招集された傭兵。一部のキャラクターの名前の由来はインテルの開発したCPUから。
- キース・ハワード
- かつて全米チャンピオンとして名を轟かせ、不敗伝説を打ち立てたカード・プロフェッサー。バンデット(盗賊)・キースの異名を持つ。
- 決闘者の王国編終盤、ペガサスの罰ゲームによって魂を砕かれる。(本人曰く)深い闇の底へ身を沈め消えてゆく"死"を体感したが、天馬 夜行のR.A計画の実験体として蘇り、彼の傘下に身を置く事となる。夜行から「邪神によって命を保たれている。」と「邪神イレイザー」を手渡され、その禍々しい程の怨念・執念も相まって以前とは異なった狂気を漂わしている。
- 蘇った後はペガサスと城之内の二人への復讐を考えていたが、ペガサスは既に死亡していた為、城之内への復讐を決意。夜行を利用して一連の事件を起こす。
- 現在も機械族使いであり、「モーターモンスター」を主力としたデッキに「邪神イレイザー」を組み込み、城之内と再戦。
- デシューツ・ルー
- 第一の刺客。鉄壁の砲門「キャッスル・ゲート」を主力とするデッキを使用するカード・プロフェッサー。
- キーモンスターを象徴するかのように一番手で立ち塞がり、相手のモンスターを奪うカードと「キャッスル・ゲート」の射出効果で遊戯を追い詰めた。遊戯をチビと罵る攻撃的な性格だが、その一方で負けを認めれば素直に相手の実力を尊重する面もある。
- ティラ・ムーク
- 第二の刺客。不死の能力と吸血によるパワーアップ能力を持つ「カース・オブ・ヴァンパイア」を主力とするヴァンパイアデッキを使用する女性カード・プロフェッサー。
- ゴシックスタイルでショートの金髪。本来デュエリストのしもべであるはずのカード(「カース・オブ・ヴァンパイア」)を主と崇めている。
- 今作で城之内が使用していたデュエルディスクは彼女から借りたもの。その礼として単行本最終巻の書き下ろしエピローグにて、城之内からブラック・デュエルディスクを渡された。
- クラマス・オースラー
- 能力ダウンの能力を持つ「アリジゴク」を主力とし、それに加え装備カードで自軍のモンスターの強化を図るデッキを使用するカード・プロフェッサー。
- 自分の「運」に自信を持ち、好調な時は好調だがムラも多い。カークが仕掛けるチンケな罠に引っかかった城之内とデュエルする。描き下ろしではカークとラジコンで遊ぶ様子が描かれている。
- カーク・ディクソン
- 機甲部隊デッキを使用するカード・プロフェッサー。4600という圧倒的攻撃力を誇る「マシンナーズ・フォース」を切り札に据えた「マシンナーズ」デッキを使用。
- ヘルメットを被った軍隊風の服装をした男。
- 丁寧な口調ではあるが嫌味で高圧的な性格で遊戯の怒りを買う。迅速に鍵となるモンスターを展開し圧倒的戦力で畳み掛ける。多くの罠を設置しており、落とし穴にはまった城之内を最下層まで落とす。だが最後は自分の仕掛けた罠でゴミ捨て場に飛ばされた。
- ピート・コパーマイン
- 自身の攻撃力こそ0だが、相手モンスターを操り攻撃させる「ミュータント・ハイブレイン」を主力とするミュータントデッキを使用するカード・プロフェッサー。
- 黒い全身タイツを着ている。「ニャハハ」と笑う。人を食ったような態度で相手のモンスターを利用した戦術を取る。
- クラマス、シーノと比べるとそれほど城之内を軽んじてはいなかった。
- 描き下ろしではスプーン曲げを披露しており、超能力者らしい事がうかがえる。
- マイコ・カトウ
- フィールド魔法「深き森」を主軸とし、切り札にOCGでも有名な「森の番人グリーン・バブーン」を採用した、森属性デッキを使用する老婦人カード・プロフェッサー。
- 作中にて「ミセス・マイコ」と表記される。
- 車椅子を使用しており、その車椅子に組み込まれたデュエルディスクを使用する。
- 対戦相手を「お前」「キサマ」としか呼ばない闇遊戯が対戦相手で唯一「あなた」と呼んで敬意を表した人物。
- 賞金は孫のために使うつもりだった[6]。
- メンド・シーノ
- モンスター召喚に制限を掛けた上で最上級モンスター「デスサイズ・キラー」で押し切るマンティス(蟷螂)デッキを使用するカード・プロフェッサー。
- 粗暴な性格で対峙した城之内を「安モン」「小遣い稼ぎにもならない」と罵り嘗めてかかる。笑い声は「だっハハハハ」[7]。
- ターバンを巻いた頭が特徴。書下ろしではペットのカマキリと戯れている姿が描かれた。
- ウィラー・メット
- 魔法効果を吸収してパワーアップするドラゴン族、「ホワイト・ホーンズ・ドラゴン」を主力とするドラゴニュートデッキを使用するカード・プロフェッサー。
- 戦闘・魔法に対策を置き、攻守のバランスが取れたデッキを使用。カード・プロフェッサーの中でも上位にランクされる実力者。
- 登場回数が多く、海馬VS夜行戦を見届けただけでなく解説役まで努め、海馬・月行とともに遊戯VS夜行も見守る。
- 書下ろしでは鏡の前で自慢の長髪をセットする姿が描かれた。
- 海馬とのドラゴン対決を望んでおり、更に「『青眼の白龍』なんて俺に言わせれば観賞用に過ぎないね」と発言した。
- テッド・バニアス
- 爆発力に優れる獣人デッキを使用するカード・プロフェッサー。パワーに優れる「アサルト・リオン」が切り札。
- 暇があればギャンブルに興じているらしく、キースに借金がある[8]。ただ、本人に言わせれば「キースのイカサマ」らしい。
- カードの腕はキースに匹敵するとも思われる決闘者だが、ここ一番に弱い。
- 眼の下に隈がある。書き下ろしではかなり不健康な形相で麻雀をしている。
- 北森 玲子(きたもり れいこ)
- チェスモンスターを中心としたデッキを使用するカードプロフェッサー。囮のポジションだった。
- 守備戦術に長けたデッキを使用。本人曰くマジック&ウィザーズを始めて1ヶ月強らしいが、デシューツ・ルーらギルドの面々に勧められこの戦いに参加した模様。
- 永続魔法「戦場の惨劇」で城之内のデッキのカードを大量に墓地に送り、デッキ切れによる敗北を狙う。
- 自分以外のデュエリストを怖がっていたが、城之内の発言に影響されてデュエルの楽しさに気付く。
- ラストでは、ミセス・マイコの車椅子を押していた。
- デプレ・スコット(カード・プロフェッサー・ギルド・ランキング2位)
- フィールド魔法「コズミック・スペース」を利用したイーバ(エイリアン)デッキを使用するカード・プロフェッサー。ペガサスミニオンの一人。
- 徹底的に相手に猶予を与えず封殺を狙う「ロック戦術」を使い、相手モンスターを捕食しパワーアップする「グリード・クエーサー」で仕留める。
- 昨シーズンではランキング1位の座を手に入れていた。寡黙で多くを語らないが、ペガサスを崇拝しており、敗北後は泣き崩れてリッチーや配下の黒服に手を貸してもらわないと立てないほど憔悴していた。興奮した時の笑い声は「ギャギャハハハ」。
- 黒い短髪、眉毛が無い、黒いワイシャツとボトムと全身を黒に統一している。
- リッチー・マーセッド(カード・プロフェッサー・ギルド・ランキング1位)
- 特殊能力モンスターを主力としたガンマンデッキを使用するカード・プロフェッサー。ペガサスミニオンの一人。
- 最強のカードプロフェッサーの証「ブラック・デュエルディスク」の所持者[9]。貧困なスラム街出身で、ペガサスにデュエリストとしての「生き方」を教えられた。
- かなりの高身長で喧嘩では自慢の腕力、脚力でキースを圧倒した。また、遊戯には劣るものの派手な髪型をしている。
- 月行には勝利しギルドトップの実力を見せつけたが、「対城之内の予行演習」として邪神を手にしたキースに敗れ、「ブラック・デュエルディスク」を奪われる。
- シーダー・ミール
- 13人目のカードプロフェッサー。「オシリスの天空竜」の実体化攻撃で瞬殺されたため、デュエル内容は一切無い。単行本にてフルネームと「ハイテックマリオネット」なるモンスターの使い手という事が明らかになった[10]。ロボットを思わせる顔をしている。
ストア・ブレーカー
読みきり番外編にて登場。カード屋での大会で負けた者のカードを奪い、更に店から上納金を奪う三人組。本人達は「ストア・ブレーカー」と呼ばれている事は闇遊戯に言われるまで知らなかった。
- 百野 真澄(ももの ますみ)
- 複数のデッキを持ち、そのほとんどが対属性デッキである「アンチデッキ」使いのデュエリスト。三人組のリーダー格。武藤 双六曰く、カード屋仲間内での要注意人物。別名「百のデッキを持つデュエリスト」[11]。所持しているデッキに使用しているカードの大半は奪ったカード。他人のデッキの特性を把握する術に長けている。
- 海馬が「デュエリストを養成するための施設を検討すべきかもしれんな」と、遊☆戯☆王デュエルモンスターズGXならびに遊☆戯☆王GXの伏線とも取れる発言をしている[15]。
- オフィシャルカードゲーム(以下、OCG)と違い、モンスターが戦闘で破壊されない限り超過ダメージ(貫通ダメージ含む)は発生しない。またバトルフェイズ中の相手モンスターの増減による巻き戻しは発生しない。そのためバトルフェイズ中にカード効果によりモンスターを入れ替える、もしくは生贄召喚を行うなどして攻撃を回避する戦術が存在する。
- 作品中でのモンスターの攻撃には武器や身体の一部での攻撃による「通常攻撃」、魔力を帯びた攻撃の「魔法攻撃」、特殊能力による「特殊攻撃」等の種類が存在し、特に魔法攻撃については前作よりも濃く描かれている[16]。
2巻57頁。Vジャンプ2005年5月号では200万ドルに跳ね上がっていた。
2巻57頁。Vジャンプ2005年5月号では500ドル。
2巻57頁。Vジャンプ2005年5月号では「ゲッハハハハ」
月行からは、ペガサスが邪神獣の製作を途中で止めたのはそれらが夜行には必要ないものだったからだ、と語られている。5巻252頁。
原作+今作ではOCGと違い融合モンスターカードが存在しないので融合素材は墓地に送られずに場に留まる。5巻142頁。
「高次元のモンスターの息(ブレス)は魔力を帯びる」設定があり、「青眼の白龍」の攻撃は「ブラック・マジシャン」、「魔導騎士ギルティア」、「トイ・マジシャン」等と同じ魔法攻撃としても扱われる。2巻137頁。