脳静脈洞血栓症
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脳静脈洞血栓症(のうじょうみゃくどうけっせんしょう、英: Cerebral venous sinus thrombosis、CVST )は、脳からの血液を排出する硬膜静脈洞に血栓が生じる疾患である[1]。症状には、頭痛、視覚異常、顔や手足などの体の片側の衰弱などの脳卒中の症状、けいれん発作などがあげられる[2]。合併症には、クモ膜下出血があげられる[2]。
リスク要因は、この疾患の85%程度の症例に存在しており、遺伝性血栓性素因、避妊薬、妊娠、頭頸部の感染症、血管炎、癌、脱水、肥満などがあげられる[2]。診断は通常は、コンピューター断層撮影(CTスキャン)または核磁気共鳴画像法(MRI)が用いられる[4]。最も一般的に関与する静脈洞は横静脈洞と上矢状静脈洞であり、それぞれ86%と62%の症例に関与している[2]。症状の発症からの時間に基づいて、急性(48時間未満)、亜急性(48時間から1か月)、慢性(1か月を超える)の3つのタイプに分類される[2]。根本的な原因を特定するために検査が行われる場合がある[2]。
治療には通常、抗凝固薬(血液凝固を抑制する薬)、主に低分子量ヘパリン(LMWH)または未分画ヘパリンが使用される[5][2]。一般的にLMWHが優先的に使用される[2]。通常、最初の発症から3〜12か月の間に治療される[2]。まれに、血栓溶解療法(血栓の酵素的破壊)が用いられる[2]。脳静脈洞血栓症は、頭蓋内圧の上昇によって悪化する可能性があり、アセタゾラミド、腰椎穿刺、シャントの外科的配置により治療される場合がある[2]。症例の最大3%は再発する可能性がある[2]。
脳静脈洞血栓症は比較的まれな疾患である[2]。100万人あたり3人から40人が罹患する[2]。女性の罹患率は男性の約3倍である[2]。脳卒中を発症した人の1%は脳静脈洞血栓症を遠因とする[2]。死亡率は、罹患者の約9.4%である[3]。脳静脈洞血栓症の症状は、1825年にフランスの医師Ribesによって最初に記述された[6][7]。
出典
関連項目
外部リンク
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