脳の大規模ネットワーク
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脳の大規模ネットワーク(Large scale brain networks) とは、脳における神経ネットワークの機能的接続を明らかにする神経解剖学分野であり、これはfMRI BOLD信号[1]、脳波[2]、ポジトロン断層法(PET)[3]、脳磁図(MEG)[4]などの解析により進められている。

脳神経科学の新たなパラダイムにおいて、脳の認知タスクは、個々の脳領域の独立した動作ではなく、いくつか別の脳領域同士が密接に「機能的に接続されて」実現されていることが分かっている。その機能的接続は、EEG、MEG、その他変化する脳信号の、離れた個所との同期として測定されうる[5]。そのような同期がなされていることは、10年以上前より、独立成分分析(ICA)や同期性解析などを用いて、特定されてきた[6] 。その様な脳内ネットワークの混乱があるときは、うつ病、アルツハイマー病、自閉症スペクトラム、統合失調症、双極性障害などの脳神経学障害に関連しているとされる[7]。
ネットワーク
近年の3つの研究により、6種類の大規模ネットワークの存在が示されている。

- デフォルトモードネットワーク(Default mode network; DN)
- デフォルトモードは人が覚醒し休んでいるときに活発になる。人が空想、未来の想像、記憶の取得、心の理論など、内面的志向のタスクに集中しているときに活発になる。外部の視覚信号に焦点を当てる脳システムとは、相反する関係にある。これは最も広く研究されているネットワークである[5][8][9][1][10][11][12][13][14]。
- 背側注意ネットワーク(Dorsal attention network; DAN)
- 予期せぬ出来事に対して、自発的に注意と方向転換を払っているときに反応する[1][10][11][13][14][15][16]。
- 腹部注意ネットワーク(Ventral attention network)[11][15][13][14][16]
- 行動に関連する刺激が、予期せず発生したときに反応する[15]。
- 顕著性ネットワーク(Salience network)
- 外部からの入力と、内部の脳イベントにおける顕著性を監視している[1][5][8][10][12][13][14]。
- 前頭頭頂制御ネットワーク(Frontoparietal network)[13][14][8][17]
- 認知制御の開始と調節を行う。
- 横方向視覚(Lateral visual network)
- 複雑な感情刺激において重要となる[10][11][12]。
他にもいくつかの脳ネットワークが特定されている。たとえば、
- 聴覚(auditory)[10][12]
- 運動(motor)[10]
- 右エグゼクティブ(right executive)[10][12]
- 後部デフォルトモード(posterior default mode)[10]
- 左前頭頭頂部(left frontoparietal)[11]
- 小脳(cerebellar)[11][12]
- 空間的注意(spatial attention)[1][5]
- 注意(attention)[8]
- 言語(language)[5][16]
- left executive[12]
- 感覚運動(sensorimotor)[12]
- 体性運動(somatomotor)[13][14][8]
- 視覚(visual)[13][14][8]
- 時間的(temporal)[13][14]
- 大脳辺縁(limbic)[8][13]
- 視覚(visual perception)[16]
- 視覚画像(visual imagery)[16]
など。
脚注
関連項目
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