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統括安全衛生責任者(とうかつあんぜんえいせいせきにんしゃ)は、特定元方事業者(特定事業である建設業、造船業に属する事業の下請負人を使用する元請負人)の事業場において、特定元方事業者の労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われることによって生ずる労働災害を防止するため[1]に統括管理する者である。(労働安全衛生法第15条第1項)
元請負人[2]が一の場合は、その元請負人が統括安全衛生責任者を選任するが、同一の場所において関連して行なわれる事業が複数の元請負人に分割して発注され、かつ、発注者自身は当該仕事を自ら行なわない場合[3][4]では、発注者叉は労働基準監督署から指名を受けた元請負人、同一の場所において関連して行なわれる事業が複数の下請負人に分割して発注され、かつ、元請負人自身は当該仕事を自ら行なわない場合[3][5]では、元請負人から指名を受けた下請負人から選任する。
労働者数が元請負人と下請負人とを合わせて常時50人以上(下記に掲げる事業場については常時30人以上)[6][7]従事させる事業場の特定元方事業者は、統括安全衛生責任者、元方安全衛生管理者を選任したときは、事業の開始後遅滞なく作業場を管轄する労働基準監督署長へ特定元方事業者の事業開始報告より報告しなければならない。(労働安全衛生法第15条、第30条、第100条第1項、第120条第1項、第5項、第122条、労働安全衛生規則第664条)。
なお、特定元方事業者の事業開始報告による労働基準監督署長への報告は、統括安全衛生責任者の選任の有無に関わらず必要である。(常時使用労働者数が特定元方事業者と関係下請負人の労働者数を合わせて10人未満の場合は、労働基準監督署への報告を省略することができる。)
統括安全衛生責任者が事故等でその職務を行うことができないときは、代理者を選任しなければならない。また、都道府県労働局長は、労働災害を防止するため必要があると認めるときは、統括安全衛生責任者の業務の執行について、選任した事業者に勧告することができる。
上記以外のおおむね労働者数10~49人規模の建設工事現場(統括安全衛生責任者又は店社安全衛生管理者の選任が義務付けられている建設工事現場を除く。)の場合、統括安全衛生責任者の選任は義務付けられていないが、建設工事現場における統括安全衛生管理の充実を図るために、中規模建設工事現場における安全衛生管理指針により統括安全衛生責任者に準ずる者の選任を求められている。これにより、統括安全衛生責任者の選任を義務付けられていない規模の事業場であっても統括安全衛生責任者に準ずる者の選任を報告する場合がある。また、店社安全衛生管理者の選任に代えて、統括安全衛生責任者や元方安全衛生管理者の選任を行う場合もある。
統括安全衛生責任者は、元方安全衛生管理者を指揮する[9]とともに、以下の事項を統括管理する。(労働安全衛生法第30条、第120条第1項、第122条及び、労働安全衛生規則第635条から第642条の3まで)
資格要件は「事業場においてその事業の実施を統括管理する者」であり、「常時50人以上の労働者を従事させる事業場(建設現場)においてその事業の実施を統括管理」を行う、監理技術者等に選任されたいわゆる「現場事務所長」があたることが多い。従って、国家資格である衛生管理者(第一種・第二種)の免許など、安全衛生上の資格要件は特に必要なく、むしろ現場を統括する実質的な権限を有していることが必要と考えることができる。
建設業においては建設業労働災害防止協会で開催されている統括安全衛生責任者講習あるいは現場管理者統括管理講習、造船業においては地方運輸局と全国造船安全衛生対策推進本部が共催で行っている「統括安全衛生責任者研修会」を受講していることが望ましい。公共工事における総合評価方式による入札においては、講習受講の有無が評価項目となる場合がある。また、入札参加資格申請においても主観点の加点評価項目となる場合がある。(和歌山県、岡山県、長崎県、宮崎県など)
労働安全衛生法違反があった場合の罰則の適用は、労働安全衛生法第122条に基づいて、当該違反の実行行為者たる自然人(この場においては、「法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者」)に対しなされるほか、事業者たる法人または人に対しても各本条の罰金刑が課せられることとなることは、従来と異なるところはない。
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