ヒャクニチソウ

キク科の植物の一種 ウィキペディアから

ヒャクニチソウ

ヒャクニチソウ Zinnia elegans Jacq. はキク科植物の1つ。和名は百日草で、開花期間が長いことによる。また、花の寿命が長いことからウラシマソウ(浦島草)やチョウキュウソウ(長久草)の別名もある[1]。英名は Common zinia、youth-and-old-age。どの名も花が長く咲くことから連想された名前となっている[2]。花が美しく、また花弁が丈夫で色あせしにくいのが特徴で、花壇に栽培され、また切り花として鑑賞される。

概要 ヒャクニチソウ, 分類 ...
ヒャクニチソウ
花壇に咲くヒャクニチソウ
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱 : キク亜綱 Asteridae
: キク目 Asterales
: キク科 Asteraceae
亜科 : キク亜科 Asteroideae
: ヒャクニチソウ属 Zinnia
: ヒャクニチソウ Z. elegans
学名
Zinnia elegans Jacq.
和名
ヒャクニチソウ
英名
Common zinia、youth-and-old-age
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特徴

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原種の図版

直立する一年生草本[3]。茎は高さ30-90cmになり、硬くて短い毛がある。対生し、楕円形で長さ4-10cm、幅3-6cm。硬い毛が生えている。葉柄がなく、基部はやや茎を抱く。

茎の先端には単独の頭状花序をつける。花序の外側には一列の舌状花(花弁に見えるもの)をつけ、これは雌性。その内側には筒状花を多数つけ、こちらは両性。いずれの花も稔性がある。舌状花は原種では赤みを帯びた紫から淡い紫。筒状花は黄色から橙色。総苞は円形、総苞片は鱗片状で上部のものは黒っぽくなる。

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花の拡大
外側の舌状花花弁の基部に雌蘂が、中央に管状花が見分けられる

分布

原産地はメキシコで、これはコスモスダリアとも同郷である[1]

分類

ヒャクニチソウ属には南北アメリカ大陸に約15種がある。日本には分布がなく、また帰化している種も無い。栽培種としてはホソバヒャクニチソウ Z. angustifolia やヒメヒャクニチソウ Z. paucifolia などがある[4]

利用

観賞用に栽培される。

メキシコのアステカ族が16世紀以前から栽培していた[4]。西洋での導入は、コスモスやダリアより遅れて18世紀末、スペイン経由でもたらされた。ちなみに本属のものではヒメヒャクニチソウがこれに先立ってヨーロッパに持ち込まれている。日本へは1862年(文久2年)以前に入った。品種改良も行われ、八重咲き(舌状花が複数列となるもの)のものは1856年にインドからヨーロッパに入ってフランス、イギリスで販売されるようになった[5]。、またドイツで大輪のものが作られた。20世紀になってアメリカで更に巨大輪の『カリフォルニア・ジャイアント』の名で知られるものが作り出された[6]。特に栽培適地であるカリフォルニアで育種が盛んになり、現在のような多数の園芸品種が普及する基礎となった[5]。花色も、上記のように原種では舌状花が紫、内側の筒状花が黄色系であるが、現在では青色を除いてほぼあらゆる色のものがある[7]。現在の品種では非常に多様なものがあり、大きさで小輪・中輪・大輪が、花形では万重咲き(ダリア咲き)、マツムシソウ咲き、ねじれ咲きなどが知られ、花色としても紅、オレンジ、黄色、クリーム色、白、藤色、紫など、さらに花弁に斑点があるものや条線が入るものなどもある。また鉢植えやプランター栽培向けの矮性品種も作られている[8]

春に種を蒔いて夏から秋まで花が観賞できる。直射日光、高温を好み、乾燥にも強い。また切り花としても夏でも花持ちがよいため、日本では仏前花として全国に広まったものである[9]

開花中のヒャクニチソウは、「フジコナカイガラクロバチ」を多く誘引する[10]。このハチは、果実にすす病や、火ぶくれ症といった被害を及ぼす重要害虫「フジコナカイガラムシ」の主要な土着天敵であることから、柿園にヒャクニチソウの苗を植え、フジコナカイガラムシの発生を抑制する取り組みが行われている[10]

出典

参考文献

外部リンク

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