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産科医療補償制度(さんかいりょうほしょうせいど)は、出産時に予知せぬ事態が発生した結果、重度の障害を負ってしまった新生児やその家族に対して一定の補償を与える、医療機関が加入する制度である。2009年(平成21年)1月1日に創設された[1]。
公益財団法人日本医療機能評価機構(以下、「機構」と略す)が行う、分娩に関連して発症した重度脳性麻痺に対する制度[2]。経済的負担の速やかな補償、原因分析、再発防止のための資料提供などを行い、紛争の防止、早期解決、産科医療の質の向上を図ることを目的としている[2]。
2009年(平成21年)1月1日以降に本制度の加入分娩機関で出生した子で、以下の基準すべてを満たす場合に補償対象となる[3]。
「所定の要件」とは、以下のいずれかに該当した場合(個別審査)とする。
2020年(令和2年)12月4日に機構が厚生労働省に提出した「産科医療補償制度の見直しに関する報告書」[4]では、「個別審査で補償対象外が約50%あり、また個別審査で補償対象外とされた児の約99%で、「分娩に関連する事象」または「帝王切開」が認められ、医学的には「分娩に関連する脳性麻痺」と考えられる事案でありながら補償対象外となっていた」等の問題点が示されたことから、補償対象基準の一部見直しを行い、低酸素状況を要件としている個別審査を廃止し一般審査に統合することになった。
補償申請申込期限は、子の満1歳の誕生日から、満5歳の誕生日まで。ただし、極めて重症であって、医師が診断可能と判断する場合は、生後6ヶ月から申込可能である[3]。
2021年(令和3年)6月18日現在、日本国内の助産所は加入率100%、分娩を取り扱う病院・診療所も加入率ほぼ100%となっていて[6]、日本国内の分娩機関はほぼすべて加入していると考えてよい。加入している分娩機関の院内には、産科医療補償制度のシンボルマークが掲示されている。
加入分娩機関は、機構が定めた標準補償約款を各分娩機関の標準補償約款として使用することとなり、すべての妊産婦に対し補償開始の時期、補償対象となる場合、補償対象とならない場合、補償金の種類ならびに支払額、支払回数および支払時期、賠償金との調整について説明する。そして原則として在胎週数22週に達する日までに機構の専用Webシステムに妊産婦情報を登録し、登録証を妊産婦に交付する[7]。妊産婦の側も、登録証を母子手帳とともに出産後も大切に保管することが肝要である。
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