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球節(きゅうせつ、英語: Fetlock)は、ウマや反芻類、ブタなどの有蹄類の四肢にある関節のひとつ。中手骨と基節骨の間の関節を中手指節関節(後肢の場合は中足趾節関節)と呼ぶが、有蹄類のそれを特に球節や球関節、または繋関節と呼ぶ[1]。
球節(繋関節)は、中手骨に付随する近位種子骨(第1指節種子骨・第1趾節種子骨)と、基節骨の間に形成される関節である。近位種子骨は底面が遠位を向いた三角錐の形をした骨で、中手骨の遠位端の周囲を約220度取り巻く顆[注 1]に対して一対の近位種子骨が面しており、中手骨と近位種子骨の間では関節してはいない[2]。
球節を形成する中手骨と基節骨は内側・外側の側副靭帯で結合されている。また、小さく三角形の付加的な側副靭帯によって種子骨と中手骨を固定し、基節骨の近位結節に固定している。種子骨はこの靭帯の動きによって、中手骨遠位を取り巻く顆に沿って動くようになる。このほか、短い諸靭帯が基節骨の近位掌縁に向かっており、この短い靭帯の上にやや長めの十字靭帯が覆い、またその上に斜靭帯が覆いかぶさり、その斜靭帯は基節骨掌面の三角域に付着する。また、種子骨の底から始まる直種子骨靭帯は基節骨の先、中節骨の付加的な線維軟骨に付着する[2]。
関節包は大きく、この領域に運動性を与えるために、大きな背側・掌側嚢を近位方向に伸ばしている。これらは中手骨幹に接して存在しているので、側面からの穿刺が容易で、小中手骨端や骨間筋、また種子骨掌側嚢へ刺入させやすい便利な基準になる。掌側嚢は腱鞘炎や繋関節嚢腫などの関節の腫脹があると明らかに見て取れる。背側嚢の内部には関節包ひだがそんざいしている。これら嚢の炎症・腫脹は跛行の原因となる[2]。
球節に触れる腱は、深指屈筋腱の内側縁と外側縁がある。深指屈筋腱は、浅指屈筋腱で作られた袖の中で球節部を通過し、基節骨中央部を過ぎると、中節骨を補足する線維軟骨が用意した支点面に乗り、そこから広がると、舟状骨上を通過後に末節骨上に停止する[2]。
ウマの場合、通常飛節から球節にかけて管骨(中手骨)が垂直に伸びており、球節の部分から先になるとこの線が前方に約45度傾く。この球節から蹄までの部分を繋(つなぎ)と呼ぶ[3]。これはかつての牧畜において、この部分に輪と紐を繋いで家畜を繋ぎとめていたことに由来する[4]。繋は走るなどして肢に体重がかかった時に、その衝撃を和らげるクッションとしての役割を果たしている。特に前肢の繋は体重移動の軸となるため大きな負担がかかる。繋の長さ・角度は個体差があり、短いほどクッション効果が薄い。このため競馬においては繋の長短で芝・ダートの適性を見ることがあり、一般的に繋が短い馬はダートに向いているとされる[3]。
反芻類の球節の後方下部には副蹄(ふくてい)があるが、一方でウマの場合はこの部分に距毛(きょもう)と呼ばれる体毛が確認できる[1]。この体毛に覆われた中には5ミリメートル程度の小さな角質があり、これを距(けづめ)または中手距などとも呼ぶ。この距は進化の過程で消失した指の痕跡、または足の裏の肉球が退化したものなどと考えられている[3]。
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