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『猿丸幻視行』(さるまるげんしこう)は、井沢元彦の長編推理小説。第26回江戸川乱歩賞受賞作品。1980年「週刊文春ミステリーベスト10」1位。
1909年(明治42年)の日本を舞台に、折口信夫が万葉仮名で記された猿丸額といろは歌に隠された意味を解読していく暗号小説である。また、とある人物の怪死事件の真相を究明していく歴史ミステリーでもある。
大学院生の香坂明は、新京製薬へと招かれた。応対した研究員の泉田卓司は、開発中の新薬「R試薬」のモニターになって欲しいと言う。これを注射することにより、薬が脳に作用して、人間の意識を過去に遡らせる効果があるとのことだった。香坂は疑いながらも、結局モニターになることを承諾した。「猿丸額の秘密を解くものは神宝を得て天下を制す」との言い伝えを聞いており、折口信夫の頭脳を使えば解読可能だと思ったからである。
信夫は軽いめまいを感じながら、柿本英作の下宿に乗り込んだ。10円の借金を棒引きにするかわりに、先祖伝来の歌額を見せてもらう約束だったのだ。英作は猿丸太夫の首『奥山に もみぢ踏み分け 鳴く鹿の 声聞くときぞ 秋は悲しき』(小倉百人一首[1])を見せ、隠し文(暗号)を探せと信夫に話す。たった一晩で解読に成功した信夫に、英作は藤枯歌と呼ばれる首が書かれた猿丸額を見せ、一週間で隠し文の謎を自力で解いてみろ、と持ちかけた。
一週間後ギブアップした信夫に、英作は「実は自分も分からない」と話し、手がかりを求めて故郷である猿丸の里へ帰省していった。一か月後、「解読できたので、猿丸の里に来て欲しい」と英作から手紙が届く。信夫は英作の妹・悦子の案内で里を訪れるが、謎を聞く前に英作はその父と同じ不可解な自殺を遂げる。
信夫は悦子と里を探索するうちに、ついに自力で藤枯歌の解読に成功する。柿本人麻呂の改名の謎、神宝の謎、人麻呂と猿丸太夫の関係、柿本家の家伝に関する謎、藤枯歌の謎、英作父子の自殺の謎を一気に解明した信夫は、英作の祖父・恒次郎と対峙するが信夫にも魔手が迫っていた。
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