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国や地方公共団体の一般行政部門に属する行政庁 ウィキペディアから
行政委員会(ぎょうせいいいんかい)とは、国や地方公共団体の一般行政部門に属する合議制の形態をとる行政庁の一つ。
この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
法律や条例によって定められた行政機関の一つであり、職権行使の上では監督官庁等から独立した形で特定の行政権を行使する地位が認められている。また、行政的機能のほかに、規則制定等の準立法的機能、争訴の判断等の準司法的機能を有する委員会も存在する。
会計検査院は内閣から完全に独立した地位を認められている「憲法上の機関」であり、合議制の行政庁ではあるが内閣を頂点とする一般行政部門には属さず、従って組織法学上の行政委員会の範疇には含まれない[1](ただし、行政委員会を(内閣下の一般行政部門に属するか否かは問わず)単に「合議制の形態をとる行政庁」と解する見解もあり、これによれば、会計検査院も「行政庁」ではあるので、一応は行政委員会の範疇に含まれることになる[2])。
会計検査院の行う会計検査は、内閣の所轄に属するすべての行政機関だけでなく、内閣本体、立法を担う国会(衆参の各議院及びその内部組織のほか、両院が共同して設置する機関も含む)、司法を担う裁判所(最高裁判所を含むすべての裁判所)という国家の根幹をなす憲法上の機関をも本来的な対象としていることから、このような権限を持つ会計検査院を内閣の下の行政機関として置くことは三権分立の原則に照らして不適切である(仮に会計検査院を内閣の管轄下に置いた場合、憲法上、内閣は会計検査院に対する上級行政庁と位置付けられることになる。そうすると、内閣は会計検査院の検査を通じて、国会や裁判所に対して憲法が想定しない形の圧力をかけることも理論上可能となってしまう)ことが、憲法90条2項の規定を受けた会計検査院法1条が「会計検査院は、内閣に対し独立の地位を有する」と定めることの根拠である[3]。なお、帝国憲法下においても会計検査院は憲法機関(第72条)であるとともに「天皇に直属する独立の官庁」としての位置づけをされ[4]、院長は親任官である(大正5年法律第36号による改正後の旧会計検査院法により親任官待遇から親任官に昇格)など、従前から特別な地位と権能を有していた。
行政委員会の制度は、政治の影響力を最小限に抑える必要性が認められるような行政権の行使が求められる場合において、それを担うにふさわしい形態の(合議により意思決定をする)行政機関[5]を設けるための組織法理論であることから、会計検査院の内閣からの強固の独立性[6]は、そのような場合に、主管行政庁がその付与された権限を内閣の影響を受けずに行使することを保障しうべき制度を考える場合の一つの「手本」となると思われる。その一方で、上述の経緯を背景に憲法典に設置根拠をもつ会計検査院は格別、そのような規定が憲法上存在しない場合でも法律で規定すれば(内閣から完全に独立した)会計検査院型の行政機関を設け得るとするならば、憲法によって内閣に付与された権限を国会の判断によっていかようにでも制限ないしは剥奪する余地が生じ、違憲性の問題を回避し得ない。
そのため、内閣(内閣本体や各府省の大臣)の所轄下にありながらも、その権限は、これ(これら)から独立して行使できるとする人事院を始めとする行政委員会の制度は、会計検査院を理想モデルにしつつ憲法65条・73条との抵触を避けた、組織法学的な「力作」であるともいえる。
なお、行政委員会の制度は憲法上内閣が有する行政権のうちの特定の内容について、それを分掌する合議制の機関を創設することが望ましいと考えられる場合にそれを可能とするための法理論であるにとどまることから、個々の行政委員会の権限の縮小・審議会化・廃止などは、憲法上の機関である会計検査院(廃止には憲法改正が不可欠であり、名称の変更や権限の縮小についても憲法改正を必要とする場合がある)とは異なり、当然に国会の政治的裁量権が格段に広く働くことには注意が必要である[7]。実際に、日本国の独立回復後、進駐軍という後ろ盾を失った人事院の違憲性が激しく討議されたとともに、合理化の名の下で、電波監理委員会など多くの行政委員会が淘汰されている[8]。
「政治的中立性を求められる事項を所掌させるに適した組織形態の必要性」が実質的な根拠である。形式的根拠については、憲法に明文規定がないため以下のような学説が主張されているが、いずれも決定的なものではない。
独立行政委員会とも呼ばれる。人事院は国家公務員法3条、内閣府に設置される委員会は内閣府設置法49条・64条(および各設置根拠法令)、その他の省庁に設置される委員会は国家行政組織法3条(および別表第1)に、それぞれ基づいて設置される。
※かつては、以下の委員会なども設置されていた。
委員会及び委員は、政治的中立性を確保する観点から、普通地方公共団体の長の指揮監督を受けない。また、委員は、議会の同意等を経た上で選任される。すなわち、執行機関が一の機関に集中して行政の公正さが損なわれることを防ぐため、日本の地方自治制度は、委員会及び委員制度を設けることにより執行機関の多元主義を採っているのである(なお、日本国憲法は第92条において「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める」としているのみであり、地方公共団体の長の権限について、内閣の場合のような厳格な規定は置いていない)。
普通地方公共団体の委員会及び委員は、法律の定めるところにより、法令又は普通地方公共団体の条例若しくは規則に違反しない限りにおいて、その権限に属する事務に関し、規則その他の規程を定めることができる(第138条の4第2項)。
委員会及び委員は、その権限に属する事務の一部を、長と協議して、長の補助機関等に委任又は補助執行させることができる(180条の7)。
権限に属しない事項[9]は、以下の通りである。
委員は非常勤の特別職地方公務員であり、委員長は委員の中から選ばれる。ただし、教育委員会の代表者である教育長は、委員ではない常勤の特別職地方公務員である。委員会及び委員及び長が協議し職員を融通する方法としては、兼職・事務従事・充て職がある。特に事務量が多く、専任職員を必要とする委員会及び委員では普通地方公共団体の長の直近下位の内部組織からの出向の形を取る。
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