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『犯人のいない殺人の夜』(はんにんのいないさつじんのよる)は、光文社から刊行された東野圭吾の短編推理小説。
犯人のいない殺人の夜 | ||
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著者 | 東野圭吾 | |
発行日 |
1990年7月(単行本) 1994年1月(文庫) | |
発行元 | 光文社 | |
ジャンル | 短編推理小説 | |
国 | 日本 | |
言語 | 日本語 | |
形態 | 上製本 | |
ページ数 | 336(文庫) | |
コード |
ISBN 978-4334921774(単行本) ISBN 978-4334718268(文庫) | |
|
1985年のデビュー期から1988年の間に『小説現代』『小説宝石』等で掲載された東野圭吾初期の7作品が収録された短編集。1990年7月に単行本として刊行され、1994年に文庫化。表題作「犯人のいない殺人の夜」は殺人のあった“夜”とその後の“今”の場面を交互に重ねて進んでいく構成となっている。
著者は本作について、この頃は短編の書き方を分かっておらず、今まで読まなかったアンソロジーを読んで話の持って行き方を参考に執筆したと語っている。また子供が主人公の作品が多いのはまだ大人の犯罪を書く自信が無かったかもしれないと語り、同時に未熟な作品だと評しながらも気に入っており、いろんなことを試しながら書いた思い出深い作品だと述べている[1]。
2012年、収録作の「犯人のいない殺人の夜」「さよならコーチ」「エンドレス・ナイト」「白い凶器」「小さな故意の物語」がフジテレビ系列のオムニバス形式の連続ドラマ『東野圭吾ミステリーズ』の各話毎の原作となった。
初出:『小説現代』1985年11月号
県立W高校のある屋上から男子生徒の行原達也というが転落死した。警察は事件を自殺と考え、達也自身が屋上の柵に上って歩いていたという証言も出る中、達也が自殺したとは信じられない親友の良は独自に達也の死の謎を調べ始める。その末に良は、達也が死ぬきっかけとなった当事者の「故意」を目の当たりにする。
初出:『小説宝石』1986年1月号
中学教師・永井弘美が担任を務めるクラスの生徒萩原信二の生後3ヶ月の弟がベビーベッドの中で絞殺された。事件は盗み目的で萩原家に侵入して寝室に忍び込んだ犯人が泣き出そうとした弟を黙らせるために犯行に及んだと見られるが、なぜ犯行の日に限って戸締りがされず、犯人が侵入できたのかという謎が残った。やがて信二と向き合ってきた弘美と捜査を担当する刑事達は事件の真相を知ると同時に、弘美は事件を起こしたある秘密に感付くのだった。
初出:『小説宝石』1986年9月特別号
中学生の孝志は、水曜日の塾の帰り道でお嬢様学校として有名な女子高「S学園」の体育館で新体操の練習をしている女子高生に目を奪われていた。そして毎週水曜日に少女が体育館に現れることを知り彼女の姿を見ることを生きがいとしていた孝志は、家庭教師の黒田の後押しもあり、彼女に近付きたいと密かにスポーツドリンクを差し入れしてアプローチをしていたが、ある時彼女は姿を見せなくなってしまう。その後、ひょんなことから孝志は彼女の住所を知り、黒田は彼女の捜索を引き受けるが、そこで黒田は彼女が姿を現さなくなった残酷な真実を知ることとなる。
初出:『小説宝石』1987年5月特別号
東京に住む田村厚子は大阪府警の刑事から大阪に単身赴任している夫の洋一が殺されたと知らせを受ける。大阪人は金にがめつい、大阪弁も苦手と毛嫌いするほど大の大阪嫌いだった厚子は、洋一の死を受け大阪に飛び立つことになった。現場となった洋一の店まで来た厚子は、担当刑事の番場から、洋一がナイフで刺殺され真っ直ぐに仰向けに行儀よく寝ているようにされていたことを聞かされる。後日厚子は番場の提案で洋一がどんな生活をしていたかを知るため、大阪の街並みを回ることに。
初出:『小説宝石』1988年9月号
A食品株式会社内で材料課課長の安倍が窓から転落死した。事件は自殺の線は薄く、腰より高い窓枠から推定体重80kgの安部を突き落すの至難の業とも言えることから捜査は難航する中、今度は係長の佐野が交通事故で死亡する第2の事件が発生する。佐野の体内から睡眠薬が検出されて、2つの事件の共通項を探る中、事件に材料課員の中町由希子が関与している疑惑が浮上していく。そして犯人が特定された時、犯人を犯行に駆り立てた思いがけない理由が明らかになる。
初出:『小説現代』1988年11月特別号
ある企業のアーチェリー部の選手・望月直美が自殺した。だが彼女はビデオで自らを撮影し、遺書代わりのメッセージを残していた。直美の遺体を発見した直美のコーチは、刑事に直美がオリンピックの選考会に敗れたことを悲観して自殺したという見解を伝えるが、直美の周辺の捜査をしていた刑事は、コーチに自殺と思われた直美の死の真実を告げるのだった。だがコーチは、直美の死にさらなるからくりが仕掛けてあったことに気付く。
初出:『EQ』1988年3月号
ある夜、著名な建築家である岸田創介の家で安藤由紀子という女性が殺害された。偶然居合わせた家庭教師の拓也は、事件を隠蔽したい岸田からの頼みを受けて隠蔽工作を主導、遺体を隠し由紀子と岸田家の間に関連が無かったように口裏を合わせることで事件を無かったものとして処理しようと画策する。だが由希子の兄・和夫が岸田家を嗅ぎ回り始めたことで拓也達はピンチに陥り、その時を境に完全犯罪に綻びが生じていく。
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