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肺にある間質組織の線維化が起こる疾患 ウィキペディアから
間質性肺炎(かんしつせいはいえん、英語: interstitial pneumonia、略称: IP)は肺の間質組織の線維化が起こる疾患の総称である。進行して炎症組織が線維化したものは肺線維症(はいせんいしょう)と呼ばれる。間質性肺炎は様々な原因で起こりうるが、特定の原因が断定できないものを特発性間質性肺炎(後述)と呼ぶ。
特発性間質性肺炎は日本の特定疾患で、その予後は臨床診断によって様々である。例えば特発性器質化肺炎 (Cryptogenic organizing pneumonia: COP) は一般に予後良好であるが、特発性肺線維症 (idiopathic pulmonary fibrosis: IPF) 及び急性間質性肺炎 (acute interstitial pneumonia: AIP) については難治性である。
以上に挙げた明確な原因を持たないものは特発性間質性肺炎 (IIPs: Idiopathic Interstitial Pneumonias) と呼ばれ、臨床病型や組織型によりいくつかに分類される。剥離性間質性肺炎、呼吸細気管支炎関連間質性肺炎は喫煙との関連が明らかになっている。
病理学的分類:Liebow (1968) の分類
その後、検討され、2002年のATS (American thoracic society) /ERS (European respiratory society) の分類では、以下の7つに分類されることとなった。
2013年に分類が改訂され、以下のように分類されるようになった。2019年現在の最新版である。
上記の主な6疾患に加えて稀な間質性肺炎としてリンパ球性間質性肺炎、特発性PPFEの2病型が加えられ、またいずれにも該当しない場合には分類不能型間質性肺炎というカテゴリーに入ることとなった。
通常、肺炎(肺胞性肺炎)という場合には気管支もしくは肺胞腔内に起こる炎症を指すが、間質性肺炎は、肺胞性肺炎とは異なり、肺胞と毛細血管を取り囲む間質と呼ばれる組織に炎症や線維化を引き起こす。肺胞性肺炎とは異なった症状・経過を示す。
軽症の場合は無症状のことがある。特に近年ではCTの普及により、ごく初期の間質性肺炎像が見つかることがあり、無症状の間質性肺炎は珍しくない。
咳は代表的な症状の一つで、比較的早期から現れるが、痰を伴わない乾性咳嗽のことが多い(痰は気管支や肺胞の炎症で分泌されるため)。労作時の息切れも比較的早期から現れる症状の一つである。進行すると安静時にも呼吸困難が出現し、低酸素血症・呼吸不全を伴うことがある。
病型により治療選択肢および反応性が異なる。例えば特発性器質化肺炎ではステロイドに対する反応性は良好であるが、特発性肺線維症では一部の場合を除きステロイド投与は推奨されない。
一般的には呼吸リハビリテーションと並行し薬物療法が行われるが治療薬への反応は鈍い[7]。炎症が本態である間質性肺炎については、その抑制を目的としてステロイドホルモンや免疫抑制剤が使用される。感染が原因である場合、これらは増悪を招くおそれがある。
間質性肺炎のうち特発性肺線維症に対しても従来は副腎皮質ステロイドや免疫抑制剤が投与されてきたが、現在ではその効果は乏しいことが報告されている。日本では2008年(平成20年)10月6日に抗線維化薬であるピルフェニドンが販売承認され、同年12月に発売された。光線過敏症などの副作用はあるが、呼吸機能低下の進行を抑制する。また、2015年、ニンテダニブが承認された。これは、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)および線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)を標的とする低分子チロシンキナーゼ阻害薬である。線維芽細胞の増殖、遊走および形質転換に関わるシグナル伝達を阻害することで、肺線維化の進行を抑制する[8]。
薬剤起因(薬剤性)の場合、原因薬物の投与を中止する。
対症療法として呼吸不全となった症例に対して酸素投与が行われる。進行して二酸化炭素排泄も不十分となった場合には酸素投与のみでは炭酸ガスナルコーシスを引き起こしかねないため、人工呼吸器の導入が必要となることもある。
根治的な治療として肺移植がある。特発性間質性肺炎のほかに、リンパ脈管筋腫症などの呼吸器疾患が対象となっており、日本では1998年から実施され、2015年末までで464例に施行されている[9]。
進行性で治療に抵抗性のものでは数週間で死に至るものもある。慢性的に進行した場合は10年以上生存することも多い。
間質性肺炎は、原疾患の病勢、治療薬の副作用、感染症などをきっかけに急激に症状が増悪する場合がある。これを急性増悪といい、管理上の最大の問題となる。急性増悪で悪化した肺の機能は回復することが不可能に近く、緊急的にステロイドパルス療法が行われるが、致死的となることもありうる。したがって、間質性肺炎の患者にとって、急性増悪を起こさないよう、日々の生活に注意することは非常に重要なことである。
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