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アリストテレスの著書 ウィキペディアから
『気象論』(きしょうろん、希: Μετεωρολογικῶν、羅: Meteorologica、英: Meteorology)とは、古代ギリシャの哲学者アリストテレスによって書かれた、地球の地上・大気圏における気象現象についての自然哲学書。
アリストテレスの自然学著作の中では、『自然学』『天体論』『生成消滅論』に次ぐ、第4の書物であり、それらの内容を引き継いだものとなっている。
ギリシャ語で書かれた古代の注解には、アフロディシアスのアレクサンドロス、ピロポノス、オリュンピオドロスのものが現存する。
全4巻から成るが、第4巻は後世の挿入であることが古来定説となっており、内容的にも連続性が無い
[1]、としていたが近年では偽作説を採る学者は殆どおらず、アリストテレスの真作であることはほぼ疑いない。ハマ・イェンスン(I. Hammer jensen)は同巻の機械論的な性格、原子論的見解を思わせる物体の通孔構造への言及を根拠にランプサコスのストラトンであるという説を唱えたが、機械論的性格を同巻に見出すことは困難であり、目的論が放棄されている訳でもなく、通孔に関しても多孔質的な物体が持つ微細な構造としての孔であり、原子論的な細孔説つまりは原子論的な空虚とは無関係である。『動物の諸部分について』二巻第六章、第五巻第四章など動物学的著作においても多く同巻への言及が見られ、古くはガレノス、アフロディシアスのアレクサンドロスもこの巻の真作性について疑念を持っていない[2]。
アレクサンドロスは「アリストテレスの手になるものであるが、それは確かに気象論的研究の部類ではない・・・・・・『生成と消滅について』に続くものであろう」と論じたが、D. Furleyは動物学著作は同巻を前提しており、自然学著作の結末であり動物学への序論として、『気象論』における同巻の位置を正当としている。P.Louisは同巻が『気象論』三巻の続きとして望まれた形ではない理由として、アリストテレスの関心が生物学へとすでに移っていたからという理由を主張した[2]。
4巻までの構成は以下の通り。
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アリストテレスは、地球を含む宇宙を天上界と地上界に分け、「気象論」の中では今でいう大気現象(気象)に限らず地上界の自然現象を説明しようとした。構成に見えるように、彼が説明しようとした自然現象は多岐にわたる。その中の一つに風の成因がある。彼は地上界において「蒸発気または蒸発物(exhalation)」という概念を創造した。湿った蒸発気は熱によって水蒸気となり、主に鉛直方向に循環すると考えた。また、乾いた蒸発気の一部が天上界に引っ張られて水平方向に地球を巡る風となると考えた。彼は風を空気の動態とはせず、風かどうかはその始原(実体)が乾いた蒸発気かどうかによって決まると考えた[3]。この風の成因はアイザック・ニュートンによる万有引力の発見によって、天上界と地上界という考え方が否定されるまで続いた。
彼は5つの気候帯が太陽高度(緯度)で決まると考え、太陽の傾き(clima)はその後気候(climate)の語源となった。彼が唱えた熱帯(torrid zone)は灼熱により人間は居住できないとした。この考え方は大航海時代まで続くとともに、逆に大航海時代には実際に熱帯を越えられたことから、それ以降古代ギリシャ自然哲学が疑問視されるようになるきっかけの一つとなった[4]。
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