死傷者

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死傷者(ししょうしゃ、英語: casualty)とは、死者と負傷者を併せて呼ぶ呼称である。

軍事用語としての死傷者とは、死亡負傷病気捕虜脱走など、何らかの状況によって任務に就けなくなった軍人戦闘員非戦闘員のことを指す。

民間では、何らかの出来事によって死亡したり、負傷したり、能力を失ったりした人のことで、通常、暴力的な事件や災害によって複数の死傷者が出た場合に使われる。「死亡者」(fatality)とは異なり、致命的でない負傷も死傷者に含まれる。

軍事用語

要約
視点

軍隊用語としての死傷者とは、戦死した人、病死した人、怪我で障害を負った人、心理的外傷で障害を負った人、捕虜になった人、脱走した人、行方不明になった人のことであり、戦闘に支障をきたさない程度の怪我を負った人は含まれない。死傷者数とは、単純に、任務に参加できない部隊員の数である。この言葉は、少なくとも1513年から軍事的な文脈で使われている[1]

民間人死傷者(civilian casualty)とは、軍人や戦闘員の行動によって死傷した民間人のことで、婉曲的に「巻き添え被害」(コラテラル・ダメージ, collateral damage)と呼ばれることもある。

NATOの定義

NATOでは、次のように定義している。

死傷者(casualty)
人員に関しては、死者、負傷者、病人、拘留、捕虜、行方不明とされたことを理由に、所属する組織から失われた人物[2]
戦闘死傷者(battle casualty)
敵対行為の直接の結果として発生した、戦闘中またはそれに関連して受けた死傷者。または戦闘任務に向かうとき、あるいは戦闘任務から戻るときに発生した死傷者[2]
非戦闘死傷者(non-battle casualty)
戦闘死傷者以外で、病気や負傷を理由に所属する組織から失われた者(病気や負傷で死亡した者、または欠席が自発的なものではないと思われる行方不明者、敵対行為や抑留によるものを含む)[2][3]

その他の定義

以下は、戦史記者がよく使う表現である。

回復不能死傷者(irrecoverable casualty)
人員に関しては、戦死した人、作戦行動中に行方不明になった人、医療施設に退避する前に傷や病気で死亡した人[4][5]
医療死傷者(medical casualty)
人員に関しては、戦闘地域で負った傷や罹患した病気によって能力を失った者、および治療や療養のために医療施設に1日以上入院した者を指す。戦闘行為の直接的な結果として発生した場合を戦闘医療死傷者(combat medical casualty)、戦闘行為の直接的な結果ではない医療死傷者を非戦闘医療死傷者(non-combat medical casualty)という[4][5]
戦死(killed in action)
敵対勢力の行動による死亡[6]
作戦行動中行方不明(Missing in action)
戦闘中に行方不明になったと報告された人。脱走した場合、戦傷で部隊に帰還できなかった場合、捕虜になった場合などがある。
戦傷(wounded in action)
敵対勢力の行動によって負傷した人[2]
捕虜(prisoner of war)
敵対勢力に捕らえられ、拘束されている人。

脚注

参考文献

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