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二方向に周期を持つ有理型二重周期函数 ウィキペディアから
数学の一分野、複素解析における楕円函数(だえんかんすう、英: elliptic function)は、二方向に周期を持つ有理型二重周期函数のことをいう。歴史的には、楕円函数は楕円積分の逆函数として、ニールス・アーベルによって発見された(楕円積分は楕円の周長を求める問題に関連して研究されていたものである)。
厳密に述べれば、楕円函数とはガウス平面 C 上で定義される有理型函数 f であって、比 a/b が実とはならない二つの複素数 a, b が存在して、f(z) が定義される限り全ての z に関して
が成り立つものをいう。ここからさらに、任意の整数 m, n に対して
が成り立つことも従う。
「標準的」('canonical') な楕円函数の構成法はヤコビによるものとワイエルシュトラスによるものとの二種類が知られており、楕円函数論の現代的な本では、多くがワイエルシュトラス流である。ワイエルシュトラスの楕円函数の概念は便利であり、それを用いて任意の楕円函数を扱うことができるが、その一方で実用上、特に実函数を扱っていて虚部が不要あるいは物理的に重要でないというような場合に複素数の使用を避ける必要があるときなどは、ヤコビの楕円函数が最もよく現れる。ワイエルシュトラスが楕円函数に関心を持つようになったのは、ガウスの弟子クリストフ・グーデルマンに師事したころである。
ヤコビによるヤコビの楕円函数(と、これは二重周期函数ではないが補助的に用いられるテータ函数)はワイエルシュトラスによるものと比べて複雑だが、歴史的にも一般論においても重要な函数である。二つの理論の一番の違いは、ワイエルシュトラスの楕円函数がその周期の成す格子群の格子点に二位あるいはもっと高位の極を持つのに対し、ヤコビの楕円函数は一位の極しかもたないことである。ワイエルシュトラスの方はより簡明なので、記述面でも理解の面でも理論を展開しやすい。
もっと一般に、楕円函数の研究はモジュラー函数とモジュラー形式の研究と近しい関係にあり、又その関係性はモジュラー性定理によって明らかにされた。そういった関係性には、たとえば j-不変量やアイゼンシュタイン級数あるいはデテキントのイータ函数などが含まれる。
和書
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