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東アジア・アセアン経済研究センター(ひがしアジア・アセアンけいざいけんきゅうセンター、英: Economic Research Institute for ASEAN and East Asia, ERIA)は、東アジアの経済統合に資する政策研究および政策提言活動を実施することを目的として、東アジア16か国(ASEAN加盟10か国、日本、中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランド)の首脳の合意に基づき、2008年にインドネシア・ジャカルタに設立された国際機関である。
略称 | ERIA (Economic Research Institute for ASEAN and East Asia) |
---|---|
設立 | 2008年6月3日 |
種類 | 国際機関 |
目的 | 東アジア地域の課題への調査・研究に基づく政策提言を行う |
本部 |
インドネシア ジャカルタ |
貢献地域 | 東アジア地域 |
事務総長 | 西村英俊 |
ウェブサイト |
www |
ERIAはASEAN事務局、東アジア16か国の研究機関と密接に連携しながら、「経済統合の深化」「経済格差の是正」「持続的経済発展」を主要な3つの柱として地域の政策研究を行い、東アジアサミットやASEANサミット、経済閣僚会議等を通じて各国首脳・閣僚らに対し、政策研究の成果を踏まえた政策提言を実施するなど将来の東アジア共同体の構築に向けた知的貢献とシェルパ国際機関の機能を果たしている。ペンシルバニア大学が実施している2019年の世界シンクタンクランキング「2019 Global GoTo Think Tank Report - Top 50 International Economic Policy Think Tanks」[1]ではERIAは国際経済学の分野において世界13位(東南アジア1位)にランキングされている。
2007年11月21日にシンガポールで開催された第3回東アジアサミット(East Asia Summit: EAS)において、EAS各国首脳(ASEAN 加盟10か国、日本、中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランド)がERIA の正式設立に合意した。2008年6月3日、ERIA設立理事会がインドネシア・ジャカルタのASEAN 事務局で開催され、ERIA が正式に設立された。2008年12月30日には、ASEAN 事務局とインドネシア政府間でERIAを国際機関として位置づける正式合意が成立した。設立の準備には、2006年に経済産業省からの受託事業の形式で、アジア経済研究所が「東アジア大の経済諸制度の調和に向けた調査委託事業」を担当し、その枠で参加16か国(ASEAN10か国、日中韓、オーストラリア、ニュージーランド、インド)の研究機関との会合を行い、ERIAの基本構想や研究プロジェクト案を策定した [2]。法人格獲得前の予算管理や要員派遣のほか、日本側の研究プロジェクトおよび他国の研究プロジェクトのコーディネートを同研究所およびジェトロが行った。こうしたERIAへの支援のため、アジア経済研究所とジェトロ本部にまたがる部門として、ERIA支援室が設置されている。
第3回東アジアサミット議長声明・抜粋(パラグラフ13)
私達はASEAN事務局に一時的に設置される東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)の設立に合意する。東アジアサミット諸国の戦略的利益に資する研究テーマを扱う専門家グループによる政策提言を歓迎する。専門家グループに対し、研究活動を継続するよう奨励し、また、更なる地域統合、東アジアの連携強化のための実践的な政策提言を期待する。
設立宣言概要
第7回東アジアサミット(2012年11月20日)(抜粋)
本部
最高意思決定機関。16か国の代表である産・学・官のハイレベル有識者に、ASEAN事務総長を加えた17名で構成される。
2009年2月24日、東アジア域内(16か国)の国に在する各国を代表する研究機関とのMOUが締結。
東アジア域内の指導的な学術研究者7名により構成され、研究成果の評価、研究事業計画への助言を行う。
ERIAの事業は主に政策研究、政策普及、政策提言に分けられる。
「経済統合の深化」「経済格差の是正」「持続的発展」を主要な3つの柱と位置づけ、調査・研究を行っている[4]。
貿易・投資促進、インフラ開発、産業開発、経済連携協定、イノベーション、エネルギー・環境問題等、多岐に渡っている。東アジア経済統合に向けたERIAの政策研究として、2010年10月の第17回ASEANサミットにおいて承認されたASEAN連結性マスタープラン(Master Plan on ASEAN Connectivity:以下MPAC)と第5回東アジアサミットにおいて承認されたアジア総合開発計画(Comprehensive Asia Development Plan:以下CADP)がある。ASEAN連結性マスタープランは、主にASEAN内のインフラ整備について、現状の課題及び将来の戦略、財源及び推進体制について計画を定めたものであり、ERIAはその原案作成作業に深く関与し、現状の課題及び将来の戦略の立案・執筆を支援した。CADPは、2009年6月の東アジアサミット共同声明を受けて策定を開始した。ASEAN及びその周辺地域について、最新の経済理論に基づき、地域全体の視点からインフラ経済効果と各地方の特性に応じた経済開発プランを詳細に分析し、さらに695件のインフラ整備プロジェクトにつき優先順位を提案した(総額3,900億米ドル)。MPAC及びCADPについては、その早急な実施が課題であり、ASEANにおいては、ASEAN連結性調整委員会が発足し、MPACの実施を推進している。MPACにおいて、ERIAは世界銀行やアジア開発銀行と並ぶ支援機関として位置づけられており、両計画に挙げられた優先プロジェクトについてフォローアップを実施している。
ERIAは、経済統合深化のため、地域のビジネス共同体との連携におけるビジネス環境の向上、及び貿易・投資の自由化と促進を通じた政策研究を行い、ASEAN経済共同体ブループリントの実行の具体化を加速し、それを更に具体的、明確かつ適したものにしていくため、ASEAN事務局をサポートしていく。 更に、経済状態を評価するためのデータを提供し、マクロ経済地域政策協力を促進するメカニズムを設立する。
域内のコネクティビティー、成長の最大化、内需の拡大などを包括的に扱うアプローチにより、経済統合の深化と同時に経済格差是正を追求する。今年は、様々なインフラ関連計画の実行と、一般大衆向け、特に中小企業に対して地域統合のメリットをもたらす問題を考える。
ERIAは、地域における持続可能な開発を達成するために、新たな開発戦略を考え出すための学際的な努力をサポートする。これには、輸出に頼らない新たな開発戦略(内政的成長)、グリーン開発戦略、地域のエネルギー市場の持続性と予測可能性を向上するための様々な分析活動を考案するような問題を含む。
途上国の政策研究能力向上を目的としたキャパシティ・ビルディング事業や研究内容の普及と域内の産学官の幅広い関係者の意見交換の促進を目的とした各国においてシンポジウム、セミナー事業を実施している。
経済統合に必要なリーダーを育成し、CLMV及びその他東アジア地域における新興国の発展に必要な知的基盤を確立するには、政策立案者、行政官、研究者およびビジネスマネージャーの幅広い能力の向上が重要である。このため、域内の研究機関との協力なパートナーシップを活用し、人材育成事業を引き続き実施する。また、東アジア地域における未来のリーダーのためのスカラシップ事業も継続する。
域内における共同体意識を醸成し、利害関係者からのインプットを求め、ERIAの調査研究の理解・普及促進を目的に、セミナー及びシンポジウムを開催する。東アジア域内の他、アメリカ及びヨーロッパなど、域外の先端研究機関とも協力し、各種共同シンポジウム・セミナーを開催する。
ASEANサミット、東アジアサミット等の場を活用して、各国首脳・閣僚を含む政策担当者に対し、政策研究の成果を踏まえた政策提言を行い、東アジア地域の統合に向けた各国の取組みと政策協調を促している。2012年11月18-20日にかけてカンボジア・プノンペンにてサミット関連会合が開かれ、ERIAは第21回ASEANサミット(プレナリーセッション)、第7回東アジアサミット(プレナリーセッション)を初めとするサミット関連会合に出席し、以下4つの報告書をサミットに提出した。
第7回東アジアサミットならびに第21回ASEANサミットの議長声明においてはそれぞれ6段落と4段落にわたり、各国首脳はERIAの諸活動についてその貢献を称賛し、とりわけ、AECコミットメントの実現を促進するAECブループリント中間評価報告書の提言ならびに2015年のASEAN共同体を実現するためのプノンペンアジェンダを展開するにあたり課題となっているASEANの政策に対する重要戦略を定めたプノンペンイニシアティブの提言を評価した。また、今後も研究と政策提言を通じて、ASEAN・東アジアの首脳会議(サミット)の活動に対する継続的な支援を行うERIAを奨励した。その前年2011年11月バリで開催された第6回東アジアサミットでは東アジア総合開発計画(CADP)の進捗状況を報告、また、ERIAは2015年のASEAN経済共同体設立(AEC)に向けたブループリントの実施状況のフォローアップも行っており、同サミットの関連会合においてその進捗報告も行った。2011年11月に開催された第19回ASEANサミットでは、政治安全保障共同体、経済共同体、社会文化共同体の3つの柱にわたって166段落の議長声明を発出したが、この中でASEAN各国首脳はERIAの諸活動について6段落においてその貢献を賞賛した。また、11月19日の第6回東アジアサミットの議長声明においても2つの段落でERIAの活動が評価された。今後もERIAはASEAN事務局及び東アジア各国政府との更なる密接な連携及び域内外の研究機関等の協力を踏まえ、東アジアサミット等の東アジア各国の政策フォーラムに具体的な政策提言を行う国際機関として、CADPやMPACの実施等の東アジア経済統合に向けた政策研究を実施し、実用的な政策提言を行っていくことが期待されている。
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