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『朝日さす前』(あさひさすまえ)は、1920年(大正9年)製作・公開、田中栄三監督による日本のサイレント映画である。日活向島撮影所に初めて女優が出演した作品で、「第三部」設立第1作である。
従来、立花貞二郎、衣笠貞之助ら女形の俳優が女性の配役を演じてきた日活向島撮影所であったが、1919年(大正8年)9月13日、日本初の映画女優となる花柳はるみが主演した『深山の乙女』と『生の輝き』を映画芸術協会が発表、1920年(大正9年)6月、松竹キネマが松竹蒲田撮影所を開き、同年11月1日に『島の女』を公開するに至り、第三部を設置、酒井米子、中山歌子らを採用し、女優の出演する映画の製作を開始した。本作はその第1作である。
興行に関して日活は、赤坂の洋画専門館葵館をフラッグシップ館としてブッキングし、従来の日活向島作品との差異化を図った。本作は、同年12月31日、1921年(大正10年)の正月映画として公開された。同日、従来の日活の2つの番線である浅草公園六区のオペラ館と三友館では、それぞれ小口忠監督の『謎の女』、『文廼家染吉』が公開されている[1][2]。
本作の上映用プリントは、東京国立近代美術館フィルムセンターに所蔵されておらず[3]、マツダ映画社も所蔵していない[4]。上記の点で日本映画史上、エポックメイキングな作品であるが、現状、観賞することの不可能な作品である。
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