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望遠レンズ(ぼうえんレンズ)は、写真レンズの分類の1つである。スペックの点から見た分類では「望遠レンズ」を定義する厳密な基準はなく、標準レンズよりも「画角の狭いレンズ」・「焦点距離が長いレンズ」ということになる。望遠鏡のように遠くを写すために、また近距離にある被写体を大きく写すために使われる。
レンズの構成から見た分類としては、2種類に分けられ、焦点距離に応じた全長をもついわゆる「長焦点型」と、一般の望遠鏡と同様の、全体として凸レンズの性質を持つ前群と、凹レンズの性質を持つ後群から成る、光学的な焦点距離が鏡筒より長いいわゆる「望遠型」(テレフォト型)がある。後者の逆の構成を逆望遠または「レトロフォーカス」などという。
望遠レンズは、以下の特性も持つ。焦点距離が長くなるほど、その特性がより顕著になる。
被写界深度の例ピント位置:5m | ||||
焦点距離(35mm判) | 50mm | 100mm | 200mm | 400mm |
ピントが合う範囲(F2.8) | 4.2〜6.1m | 4.8〜5.2m | 4.942〜5.059m | 4.985〜5.015m |
被写界深度(F2.8) | 約1.9m | 約0.4m | 約0.12m | 約0.03m |
ピントが合う範囲(F11) | 2.9〜18.7m | 4.2〜6.1m | 4.781〜5.240m | 4.943〜5.058m |
被写界深度(F11) | 約15.8m | 約1.9m | 約0.46m | 約0.11m |
許容錯乱円径:0.033mmにおける計算値 |
望遠レンズを分類する基準は、諸説あり下記は一例である。
本セクションは、35mm判のレンズの焦点距離で記述する。 |
望遠ズームレンズとは、一般に望遠レンズの焦点域のみをカバーするズームレンズをいう。
焦点距離は、広角端が70〜100mm、望遠端が200〜300mmのレンズを指すことが多い。100-400mmのレンズも「望遠レンズ」と分類するメーカーもある[注釈 2]。
しかし望遠側の焦点距離が200〜300mmで望遠域をカバーしていても、標準域(35mm判で焦点距離50mm)を中心とするレンズは、「高倍率ズームレンズ」と分類する[注釈 3]。
この節の加筆が望まれています。 |
望遠レンズは被写界深度が浅い特性を持つので、より精密なピント合わせが必要である。このため、本格的な望遠レンズの使用は使用するレンズの焦点距離にかかわらず測距精度が一定の距離計連動式カメラでは難しく、ピントを直接確認できる一眼レフカメラが望遠レンズに適する。
望遠レンズは光学設計上、長く重くなることが不可避である。これを直進式ヘリコイドで、全体を前後させるピント合わせ機構にすると、ピントリングの回転が重く回転数も膨大なものになってしまう。このためマニュアルフォーカス時代には、ノブやクランクを回転させてフォーカシングを行うラック&ピニオン式(比較的最近の製品ではペンタックス67用800ミリF6.7ED等)や、ノボフレックスのスーパーラピッドフォーカシングレンズシステムのようなピストン方式のレンズが製造された。マニュアルフォーカス時代には、撮影者が握力を鍛えて重いヘリコイドを回転する努力をしたり、ヘリコイド部分に自作のハンドルを設けたり、前述のノブ式やピストン式でレンズ繰り出しの重さを改善する対策がなされることで対処された。
オートフォーカスカメラ用のレンズでは、レンズ繰り出しトルクがあまり重いとモーターで動かせなくなる。また構造上カメラ本体に近い部分でまとめたい場合も多く(特にカメラ内部から駆動する場合)、そのため、いわゆるインナーフォーカス・リアフォーカスなど、レンズ構成の一部だけを前後させる方式が専ら採用され、また、そのような方式でのフォーカシングができる構成の研究開発が進んだ。
焦点距離が長くなればなるほど、ピント合わせ時のレンズ繰り出し量が長くなる。そのため、最短撮影距離は焦点距離が増えるにつれて長くなっていく傾向がある。
冒頭で少し説明した「望遠型の構成を持つレンズ」として(「望遠タイプ」などと呼ばれる)、もっと焦点距離の短い標準ないし広角に属する仕様のレンズを、コンパクトにまとめるためにあえて望遠の構成とした例もある(例えばオリンパスXA)。構成にもよるがインナーフォーカスにできることもカメラのコンパクト化に有利である。
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