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日本の福井県三方郡美浜町で行われる神事 ウィキペディアから
日向の綱引き行事(ひるがのつなひきぎょうじ)は、福井県三方郡美浜町日向で行われる神事。
17世紀初頭から毎年1月に行われ、豊漁祈願の意味を有する。男衆が橋から運河に飛び込み、水面に浮かべられたわらでできた大綱を引き合うことから、一般には水中綱引き(すいちゅうつなひき)と呼ばれている。1980年(昭和55年)12月12日に国の記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財(選択無形民俗文化財)に選択されている[1]。
日向は三方五湖の日向湖と若狭湾に挟まれた場所にあり、大半の世帯が漁業で生計を立てている典型的な漁村である[2]。綱引き行事は1月の第3日曜日(もとは旧暦正月15日[3])に、湖と海を結ぶ日向運河(日向川)で行われる。運河にかかる高さ8メートル[4]の日向橋の中央欄干から男性20-30名程度が数名ずつ順番に飛び込み、両岸に渡された長さ40-50メートル、太さ20-30センチほどの綱を、引きちぎる[5][6]。運動会のような綱引きではなく、東西両岸の二手に分かれ、杭に固定された綱を引っ張ったり、むしったり、噛み付いたりし、早く綱を引きちぎる競い合いをする[3]。もとは厄払いの意味から、25歳厄年の男性が神事に参加していた[1]。現在は、20-30歳代の若者が中心である、ただし特に年齢制限は設けておらず、最高齢では還暦の方が参加したことがあるという[3]。
綱引き行事の由来はいくつかあるが、主なものは以下である。
昔、湖と海をつなぐ運河に大蛇が出て川を塞ぎ、舟が通れなくなりに村人は大層困っていた。そこで村の知恵者に相談すると「大蛇が恐れるほど大きな綱を、刃物を使わずに引きちぎり、村人の力を示してはどうか」といった。そのようにすると大蛇は出なくなったので、縁起の良い行事として続けられるようになったという[5][3]。
また、記録によると、海側の砂浜が侵食されたため、代わりに日向湖を舟溜まりとしたいとの村人からの要望を受け、1635年に小浜藩主酒井忠勝が海と湖を結ぶ運河を開削し、日向は天然の良港となった。この運河完成と豊漁を祝して綱引き行事がはじめられたという[7][5]。
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