抒情小曲集
ウィキペディアから
『抒情小曲集』(じょじょうしょうきょくしゅう、ノルウェー語: Lyriske stykker)は、エドヴァルド・グリーグが1867年から1903年にかけて作曲した、全66曲からなるピアノ曲集。6~8曲ごとにまとめられて出版され、全10集からなる。第1集はコペンハーゲンの出版社から、第2集以降はドイツのペータースから出版された。
「蝶々」(作品43-1)、「春に寄す」(作品43-6)、「トロルドハウゲンの婚礼の日」(作品65-6)などはとりわけ有名である。
第1集 作品12
1867年に出版。この時期は、ニーナ・ハーゲルップとの結婚の年で、翌1868年にピアノ協奏曲を作曲するなど、充実した創作期の作品である。後の作品集と比較すると、音形は単純で、複雑な技巧は必要としないながらも、すでにグリーグらしさは発揮されている。
第2集 作品38
1883年に出版。第1集から16年の隔たりがある。ピアノ協奏曲、『ペール・ギュント』の音楽を作曲し、名声は揺るがないものとなったが、以降ピアノや歌曲、室内楽作品などを中心に手がけるようになっていく。
第3集 作品43
第2集の翌年に作曲されたが、出版は1886年。ヨーロッパ各地への演奏旅行の合間に書かれた曲。全体的に春の喜びに溢れている。
第4集 作品47
1888年に出版。作品は1885年に遡るものもある。「アルバムの綴り」、「ハリング」、「飛びはね踊り」など、他の曲集と重複する名前の曲がある。
- 即興的ワルツ
- アルバムの綴り
- メロディ
- ハリング
- メランコリー
- 飛びはね踊り
- 悲歌(エレジー)
第5集 作品54
1891年に出版。『抒情小曲集』の中心をなす完成度の高いもの。最初の4曲は作曲者により『抒情組曲』として管弦楽へ編曲されている。
第6集 作品57
1893年に出版。フランスの保養地マントンで作曲された。祖国への郷愁とヨーロッパ的なスタイルが同居している。
第7集 作品62
1895年に出版。トロルドハウゲンで作曲された。体調が次第に悪化していった時期の作品。第5、6集と比べ地味なため玉石混淆と言われることもあるが、むしろ芸術性は高まり、グリーグ後期の繊細で洗練された自然美が描かれる。
- 風の精
- 感謝
- フランス風セレナード
- 小川
- 夢想
- 家路
- 3部形式。家路を急ぐ主部と、過去を回想するカンタービレの中間部とからなる。
第8集 作品65
1896年に書かれ、1897年に出版。ピアニストの舘野泉によれば、第5曲をはじめとして「バラード調」の曲が多い。
第9集 作品68
1898年から1899年初めに書かれ、1899年に出版。2~3分の小さな曲ばかり。第4曲と第5曲は1899年にグリーグ自身が管弦楽(基本は弦楽合奏だが第4曲のみオーボエとホルンを1本ずつ使用)に編曲している。
第10集 作品71
20世紀に入り、1901年5月に5曲を作曲。同年に出版。
全曲を録音したピアニスト
- ユハニ・ラゲルスペッツ
- ホーカン・アウストボ
- ダニエル・アドニ
- ゲルハルト・オピッツ (RCA)
- エヴァ・クナルダール (BIS)
- 舘野泉
- アイナル・ステーン=ノックレベルグ (ナクソス)
- フローリアン・ヘンシェル
- エヴァ・ポブウォツカ
- アルド・チッコリーニ (Cascavelle)
管弦楽編曲
グリーグ自身によるもの
前述のように、6曲が編曲されている。
- 第5集から「羊飼いの少年」「ノルウェーの農民行進曲」「夜想曲」「小人の行進」(組曲での曲順)の4曲が『抒情組曲』に編まれた。
- 第9集から「山の夕べ」「ゆりかごの歌」の2曲が編曲された。2曲を合わせて『2つの抒情的小品』と呼ぶこともある。
他の作曲家によるもの
脚注
外部リンク
Wikiwand - on
Seamless Wikipedia browsing. On steroids.