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2011年に発売された上遠野浩平による日本の小説 ウィキペディアから
『恥知らずのパープルヘイズ -ジョジョの奇妙な冒険より-』(はじしらずのパープルヘイズ –ジョジョのきみょうなぼうけんより-、Purple Haze feedback)は、2011年9月16日に集英社から発売された上遠野浩平による荒木飛呂彦の漫画『ジョジョの奇妙な冒険 Parte5 黄金の風』の後日談を扱ったノベライズ作品。
荒木飛呂彦の執筆30周年、『ジョジョの奇妙な冒険』の連載25周年の記念企画「ARAKI 30th & JOJO 25th / 2011-2012 JUMP j BOOKS Presents Special Project“VS JOJO”」の第一弾として発表された小説作品。製本サイズは四六判ハード。後に新書版、文庫版、電子版でも発売される。
ハードカバー版の表紙は、白銀のフーゴとパープルヘイズが描かれ、装丁の「シルバーメタリックアーマーカバー」と「本体パープル三方塗り」で表現されている。新書版には白銀は用いられず紫色カバーで、紫のパープルヘイズと橙のフーゴになっている。
主人公はパンナコッタ・フーゴ。テーマは「一歩を踏み出すことができない者たちの物語」と銘打たれる。主人公だったジョルノの後日談、Part5登場人物たちの過去のエピソードの掘り下げなど原作では語られなかった部分の補完、これまで接点の薄かった他の部とのつながりを感じさせる描写が随所に見られるのが特徴である。『VS JOJO』企画としてのアオリは「上遠野浩平 VS GIOGIO」[1]。
イタリアの、主にシチリアが舞台となっており、フーゴやマッシモはParte5本編では描かれなかった土地を訪れる。あとがきには「地名は厳密な発音よりも日本語表記として収まりがよいものを優先した」とある。
「スタンド」という語は登場せず、「能力」という言葉で置き換えて説明される。具体的に言えば「フーゴのスタンド」ではなく「フーゴの能力」と表現される。これは余計な説明を敢えて排するという作劇の技術による意図的な表現である[2]。章またぎページには荒木飛呂彦のイラストとスタンドの解説文が書かれている。またスタンド能力についての本作独自の解釈として、「群体型スタンドの持ち主は精神に決定的な空洞を抱えている」というものがあり、作中ではSPW財団の研究者の見解とされている。スタンド能力を精神分析することでフーゴとオリジナル登場人物を掘り下げているところに、非荒木・上遠野の作風がある。
新書版以降の版には、書きおろし短編『トリッシュ、花を手向ける』が収録されている。またハードカバー版発売後、ウルトラジャンプ2011年12月号には付録小冊子『VSJOJOマニアクス』がつけられ、登場人物紹介、Part5作中の画像を流用した本文の試し読み、同企画の第2弾を担当した西尾維新との対談などが収録された。
上遠野浩平自身が原作のファンであり、その縁からノベライズが実現した。上遠野の執筆した作品は全て同一の世界観でつながっているという特徴があるが、この作品は例外である。上遠野の特徴である、独特な文体でのあとがきも健在である。
西暦2001年、パッショーネの抗争から半年後にパンナコッタ・フーゴは組織のNo.3になったグイード・ミスタにジュゼッペ・メアッツァまで呼び出される。ミスタはかつてブチャラティチームを裏切ったフーゴに対して改めて組織への忠誠を証明させるために、ジョルノが進めている裏社会の清浄化の一環としてディアボロの残党・負の遺産である「麻薬チーム」を始末するように命じ、「できなかった場合はお前を殺す」と冷たく言い放つ。
追跡チームのメンバーは、恥知らずの裏切者フーゴ、ボス親衛隊のシーラE、情報チームのカンノーロ・ムーロロという、組織内でもわけありの3人。敵である麻薬チームはマッシモ・ヴォルペ、ヴラディミール・コカキ、ビットリオ・カタルディ、アンジェリカ・アッタナシオの4人。マッシモはフーゴとは旧知の間柄だった。彼らはヴィッラ・サン・ジョヴァンニでジョルノの刺客の第一陣を倒し、身を隠す事を止めて戦いを決意する。
コカキは他の3人をシラクサのオルティージャ島に向かわせて、自身はタオルミーナ東端の野外劇場でフーゴらを迎え討つ。コカキは能力でフーゴらを追い詰めるが、フーゴはスタンド能力「パープルヘイズ」でコカキを殺す。
残りの3人を追うためにヘリでオルティージャ島に向かうフーゴらは、アンジェリカの能力の影響を受けて墜落する。助かったのはフーゴとシーラEだけであり、ムーロロは行方不明になる。アンジェリカはコカキの仇を討つために能力で島の住人を麻薬中毒の症状にしてフーゴを襲撃するが、フーゴのウィルスに冒される。ビットリオは2人と別れてシラクサのドゥオーモに隠された石仮面の回収にあたるが、ムーロロに敗れる。マッシモはシーラEを倒し、スタンド能力「マニック・デプレッション」でシーラEを拷問してフーゴを呼び出す。マッシモは瀕死のアンジェリカの支援を受けて優位に立つが、フーゴは口に忍ばせていたウイルス入りカプセルを噛み砕き、吐血をマッシモに浴びせ、マッシモはウイルスに感染し死亡する。この戦いを経てフーゴのスタンドは進化を果たす。フーゴ、シーラE、ムーロロは任務を果たして生還する。
フーゴは任務の終了後にレストランまで呼び出され、そこに現れたパッショーネのボスであるジョルノ・ジョバァーナに任務を命じた真の目的を告げられる。彼の「ジョジョ」と呼んで欲しいとの申し出を受け、フーゴは自分に手を差し伸べるジョルノに忠誠を誓い、組織の一員として認められる。
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