2次元のフーリエ級数展開
簡単のためdを2とした場合について考えてみる。即ち、2変数関数 が、周期を持つ場合に、1変数のフーリエ級数に帰着することを考える。尚、周期性の定義等、用語の定義を知らずとも、計算の流れのみから本ケースの証明は理解が可能であると思われるため、定義などは後回しにする(一般の場合を考える際に、再定義する)。以下の定理が成り立つ:
定理 (2変数スカラー値関数のフーリエ級数展開) ―
二変数スカラー値関数 が、周期を持つL2 関数であるとき、任意のに対し
と定めると
が成立する。但し、E1 , E2 は、それぞれ、2次単位行列の第一列、第二列である。即ち、E1 , E2 は、R2 の標準基底とする。
証明
まず、 を固定して、定数だと考える。即ち、
と定めると、 はtについて、周期2πの周期関数である。従って、 は、一変数の意味でフーリエ級数展開可能である。
即ち、 整数zに対し、
と定めると、
- (3-1)
のように級数展開可能である。
前述のは を固定するごとに定まるので、前述のは についての関数だと考えることが出来る。
そして、は について、周期2πの周期関数である。実際、は、周期 2πE2 を持つため、
なので、
よって、
である。実は、は L2 関数でもあるため、も1変数関数の意味でフーリエ級数展開可能である。すなわち
と定めると、
- (3-2)
となる。
ここで、式(3-1)に式(3-2)を代入すると、
を得る。ここで、
である。
d次元場合のフーリエ級数展開
次に、dを一般とした場合について説明する。
定理 (d変数スカラー値関数のフーリエ級数展開) ―
d変数スカラー値関数 が、周期を持つL2 関数であるとき、任意のに対し
と定めると
が成立する。但し、 は、d次単位行列の第j列である。
証明:帰納法で証明する
(1)d=1の場合:1変数関数のフーリエ級数展開に他ならない。
(2)d-1の場合の帰納仮定:
d-1変数スカラー値関数 が、周期を持つL2 関数であるとき、任意のに対し
と定めると
が成り立つものと仮定する。
(3)d変数の場合の証明:
まず、 を固定して、定数だと考える。即ち、
と定めると、:は、周期 を持つL2 関数である。従って、帰納仮定より、 は、d-1変数の意味でフーリエ級数展開可能である。
即ち、 整数zに対し、
と定めると、
- (3-1)
のように級数展開可能である。
前述のは を固定するごとに定まるので、前述のは についての関数だと考えることが出来る。
そして、は について、周期2πの周期関数である。実際、は、周期 2πE2 を持つため、
なので、
よって、
である。実は、は L2 関数でもあるため、も1変数関数の意味でフーリエ級数展開可能である。すなわち
と定めると、
- (3-2)
となる。
ここで、式(3-1)に式(3-2)を代入すると、
を得る。ここで、
である。