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工芸菓子(こうげいがし)は、菓子の材料を使って製作される展示・観賞用の造形作品のこと。店舗の装飾や宴席・イベントなどのために製作される。食用に作られるものではないが、すべて菓子材料で作ることが第一条件とされており、製作に高度な技術を要するものである[1]。洋菓子ではピエス・モンテ(仏:pièce montée)とも呼ばれ[2]、ウェディングケーキやクロカンブッシュなど食用とするものも含まれる[3]。ピエスは小片・部品、モンテは「はめ込まれた」の意である[4]。
材料は和菓子では糝粉や金花糖、雲平、有平糖、洋菓子ではマジパン、グラスロワイヤル、チョコレート、ヌガティーヌ(水飴をカラメル化させアーモンドを加えたもの)など[1][3][2]。和菓子の分野では山水、花鳥が写実的に表現されるが[5]、洋菓子では城・塔など建築物が多く[2]、他にも人物・道具など多様なモチーフが採用されている[6]。現代のピエス・モンテではパスティヤージュ(砂糖、卵白、ゼラチン等をあわせて練ったもの)に飴細工を加えてつくる抽象的なデザインのものも多い[3]。
日本の鑑賞用菓子の歴史は、江戸時代、元禄-享保のころに大奥で鑑賞された「献上菓子」にはじまる。明治時代には白砂糖が輸入されるようになって雲平(白砂糖にヤマノイモなどをまぜて練ったもの)が作られるようになり、雲平生地の砂糖細工の技術が発達していった[7]。洋菓子のピエス・モンテは、ナポレオンに仕えたルボーという名の菓子職人が考案したとされている。その後、19世紀前半に活躍し天才料理人と言われたアントナン・カレームは、建築の一分野としての菓子をうたい、数多くのピエス・モンテのデッサンを発表し実際に制作した[4]。
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