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中国の月探査機 ウィキペディアから
嫦娥5号(じょうが5ごう)は、嫦娥計画第三段階の月探査機で、計画第三段階に実施するサンプルリターンを任務とする[3]。嫦娥5号は海南省の文昌衛星発射場から発射され、月面で自動的にサンプルを採取して月から戻るミッションである[4][5]。
嫦娥5号は、中国の宇宙開発史上最初となる試みを、以下の4点で実現させる狙いがある[6]。
嫦娥5号は、軌道船と帰還船、離陸船と着陸船から構成される。設計された2種類のサンプリング機構を搭載し、サンプルの種類を増やしている。一つは鏨を打ち込んで比較用の深層土壌を採取する。もう一つはロボットアームで有効範囲内をかき取って月の土壌を収集する。二つのサンプルの比率は1:3(すなわち約0.5kgと約1.5kg[7])で、表面で収集するサンプルの方が多い。採取後、離陸船はサンプルを搭載して月面の着陸船上から上昇し、軌道船とドッキング後に土壌サンプルを帰還船に移動させる[8]。月面でのサンプル採取ののち、最終的に帰還機は2020年12月17日に内モンゴル自治区の草原地帯へ帰還に成功した[9]。
2019年春までの時点では2019年末発射予定とされていた[10][11]が、2019年10月に2020年となることが報じられた[12][13]。2020年9月に開かれた中国宇宙大会で、月探査プロジェクトの副チーフデザイナーが「年内に」打ち上げられると発表した[14]。2020年11月24日、文昌衛星発射場より打ち上げられ、軌道への投入に成功した[2]。
着陸地点周辺の月面地形観測と地質の実地調査をおこない、サンプルから取得された現地での分析データと、研究室での解析データとの関係を調査する。主要なものは以下の通り。
地球に持ち帰る月のサンプルは、長期間にわたる研究室での測定(物理的特性と物質構造、鉱物と化学的組成、微量の元素や同位体の組成、月の石が形成・変化する過程での同位体年齢など)を通じて体系化され、宇宙放射や太陽風イオンと月の相互作用、風化と環境による変化の過程など、月の成因と変化の歴史に対する研究を深める。
着陸用カメラ、光学カメラ、鉱物スペクトル分析器、土壌気体分析器、土壌構造探測計、サンプリング切断面温度測定計、岩石ボーリング機ならびにサンプリングマシン
中国科学院学士会員で嫦娥計画の主任科学者である欧陽自遠は、2019年に、着陸地点は月の表側で、搭載したコンピュータにより確定すると述べた[33]
結果として着陸した地点は嵐の大洋にあるリュムケル山付近の台地で、これまで米ソが回収した月の石よりも比較的新しい年代にできた場所である可能性から科学的意義が期待された[34]。得られた試料を解析した結果、実際にアポロ計画で得られたものよりも新しい年代の岩石だったとみられることが2021年10月に発表されている[35]。
嫦娥5号のサンプルリターン成功で、中国はアメリカ、ソ連に次いで月面の岩石などの回収に成功した3番目の国となった[9]。中国は、嫦娥5号を通じて5つの中国初を達成したと報道された[36]。
嫦娥5号のミッションはちょうど日本の小惑星サンプルリターン機はやぶさ2の帰還時期と重なっていたため、しばしばメディアでは両機を比較する報道も見られた。月と小惑星では難易度の方向性が異なるため一概には比較できないとしながらも、中国メディアは日本の惑星探査には米国の影響がある点などを指摘して中国の独自技術の優位性などを強調した。その一方で嫦娥5号の採取した試料が計画よりも少なかった点は計画以上の成功が得られたはやぶさ2とは対照的であり、日本の技術力の高さも認めている[37][38][39]。
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