ミソジニー英語: misogyny[1][2][3]) とは、女性に対する憎悪嫌悪である[4][5]女性嫌悪女性蔑視と訳される[6][7]。ミソジニーを持つ者はミソジニスト英語: misogynist)という。

1620年に印刷された戯曲『Swetnam the Woman-Hater英語版』。この作品は英語の「ミソジニスト(misogynist)」という用語の語源だと考えられている。

"misogyny日本語音写アメリカ英語]ミサジャニィイギリス英語]ミソジニィ慣習音写形 ミソジニー)" は[2]1650年代初出の英語である[3]。直接には、新ラテン語 (New Latin) の "misogynia日本語音写形:ミソギュニア)" に由来している[3]。その語源にあたるのは、古代ギリシア語で「憎しみ」「嫌悪」を意味する "μῖσοςラテン翻字mîsos)" と、「女性」を意味する "γυνήラテン翻字gunḗ)" の2語である。

対義語には、「女性や女らしさに対する愛好」を意味する「フィロジニー(英語: philogyny)」と、「男性や男らしさに対する嫌悪」を意味する「ミサンドリー英語: misandry)」の2つがある。

ミソジニーと大衆文化

音楽

しばしばヒップホップなどの分野が、激しいホモフォビアの傾向とともにミソジニーを強く帯び、攻撃的なスラングをもって女性を嘲罵することがある。例えば、アメリカヒップホップMCであるエミネムは、2000年にリリースした楽曲The Real Slim Shady英語版」で、同性愛者の権利団体GLAADからの批判を受けた[8]

有名なミソジニスト

15世紀ドイツドミニコ会士であり、宗教裁判官、事実上の異端審問官である。異常なまでの女性嫌悪者[9][10]で、『魔女に与える鉄槌』の著者。男性に比べて女性がいかに悪魔と結び付きやすいかを執拗に説くこの書は、折からのグーテンベルク活版印刷技術の登場によってヨーロッパ中に普及し、以後200年にわたって売れ続けた[9]山田五郎は「クラーマーが女性を敵視したのは、過去に起こした言い掛かり同然の訴えで敗訴したことに起因する私怨が影響している」と考えている[9]。この書が広く普及した結果、中世には異端者を対象にして男女の性別でそれを区別しなかった魔女狩りの犠牲者が、目に見えて女性偏向に変化していった[9]
ルネサンス期のドイツの画家で、木版画家二つ名の "Grien/Grün(グリーン)" はドイツ語で「魔女」を意味する "grienhals" に由来するという説があり、その名のとおり、魔女を画題とした油彩画や木版画を数多く描いたことで知られる[9]中世から続く魔女狩りの標的が女性偏向に傾いていった15世紀において、画家が絵に籠めた説得力は火に油を注く役割を果たし[11]、多くのミソジストを生み出した[注 1]

関連事件

海外

日本

脚注

関連項目

参考文献

関連文献

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