夜間外出禁止令
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夜間外出禁止令(やかんがいしゅつきんしれい、英語: curfew)とは、一般市民に対して、公権力の行使として例外的な場合を除き夜間の外出を禁止するもの。一般に「夜間」とは17時以降翌日8時までを指す。
治安・軍事上の理由で行われることがあり、古くは唐の首都・長安で実施されていた。これを夜禁といい、夜間に坊外に出た場合、笞 (鞭打ち)二十に処せられることになっていた[1]。
現在でも、中南米の政情不安定な国々では、散発的に夜間外出禁止令が発令され、飛行機の到着が遅れた旅行者が巻き込まれることもある。
南アフリカ共和国でとられていたアパルトヘイト政策では夜間外出禁止令によってアフリカ人は午後9時以降は自分の居住地域からの外出が認められていなかった[2]。
2020年、新型コロナウイルス感染症のパンデミックに際し、チュニジア、ボリビア、セルビア、米ニュージャージー州、米自治領プエルトリコ、フィリピンの首都マニラで夜間外出禁止令が出された[3]。
アメリカ合衆国では、2015年に警察官に取り押さえられた黒人の少年が頸部を負傷して死亡する事件が発生し、メリーランド州ボルティモアでの抗議行動は暴動にまで発展して、同市には4月28日に夜間外出禁止令が出された[4]。
また、2016年には警察官に黒人の男性が射殺される事件が発生し、ノースカロライナ州シャーロットでの抗議デモのデモ隊が警官隊と衝突して、同市には9月23日に夜間外出禁止令が出された[5]。
大韓民国では、独立前の連合軍軍政期の1945年9月7日、アメリカ軍がソウル市と仁川地域に夜間通行禁止令を出した[6]。その後、1950年6月に朝鮮戦争が勃発した直後の7月8日に全国に拡大された。0時から4時までは医師、助産師以外の民間人の外出が出来なくなるため、ソウルの繁華街では夜11時を過ぎると、帰宅を急ぐサラリーマンによるタクシーの争奪戦が起きた。
夜間通行禁止令(通禁)は36年4ヶ月もの長期間にわたり継続されたが、1964年1月に済州道、65年3月に内陸地域の忠清北道で通禁が解除。66年5月には観光地である慶州や東莱、海雲台、儒城で通禁が解除されている。また、生活品運搬や輸出産業など生産流通に必要な輸送手段に対しては、1966年3月に通禁が解除[7]された他、釈迦誕生日やクリスマス、大晦日も通禁が解除された。
1982年1月5日、当時の韓国大統領である全斗煥が、軍事境界線に接する地域と海岸地域の52郡292邑面を除いて、夜間通行禁止令を解除した[8][9]。残る地域でも、全面解除されたのは全斗煥政権最末期の1988年1月1日である[10]。
チリでは、1973年にピノチェトが軍事クーデターを起こし戒厳令を施行。1990年に退陣するまで夜間外出禁止令も出された。以降、民政に移管されたが2019年10月にチリ暴動が発生すると月末にかけて再び夜間外出禁止令が出された[11]。
日本では、地方自治体の青少年保護育成条例により、18歳未満の者に門限の意味を込めた事実上の恒常的な深夜外出規制をかけている。
以下に、『東京都青少年の健全な育成に関する条例』の当該箇所を例示する。
- 保護者は、通勤又は通学その他正当な理由がある場合を除き、深夜(午後十一時から翌日午前四時までの時間をいう。以下同じ。)に青少年を外出させないように努めなければならない。
- 何人も、保護者の委託を受け、又は同意を得た場合その他正当な理由がある場合を除き、深夜に青少年を連れ出し、同伴し、又はとどめてはならない。
- 何人も、深夜に外出している青少年に対しては、その保護及び善導に努めなければならない。ただし、青少年が保護者から深夜外出の承諾を得ていることが明らかである場合は、この限りでない。
- 深夜に営業を営む事業者及びその代理人、使用人その他の従業者は、当該時間帯に、当該営業に係る施設内及び敷地内にいる青少年に対し、帰宅を促すように努めなければならない。 — 東京都青少年の健全な育成に関する条例、第十五条の四
次の各号の一に該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
— 東京都青少年の健全な育成に関する条例、第二十六条
5. 第十五条の四第二項の規定に違反して、深夜に十六歳未満の青少年を連れ出し、同伴し、又はとどめた者
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