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四重極型質量分析計(英語: quadrupole mass analyzer; quadrupole mass spectrometer, QMS)とは、質量分析計の一種。
4本の電極ロッド(四重極)に直流電圧と交流電圧を与えることで、ある特定の質量(m/z値)のイオンだけがはじき飛ばされずに通過できる電場を形成させる。
電場中のイオンの運動方程式は、方向については次のように書ける。方向についても同様である。
4本の円柱状電極に正と負の直流電圧と高周波交流電圧を組み合わせた電圧を印加して電場を作る。イオンは通常10~20Vの低加速電圧で加速されて四重極に導かれ、電場によって振動する。
これらを運動方程式に代入し、
を用いて書き換えるとマシュー方程式が得られる。
この微分方程式に0でない周期解が存在するとき、その周期解をマシュー関数という。
この解を与える条件についてを横軸、を縦軸にとった図で表現でき、についての安定領域とについての安定領域が重なるようなおよびのときだけイオンが四重極内を安定的に通過することができる。つまりこの振動は電圧と周波数に応じてある一定のm/z値をもつイオンのみ安定な振動をして、電極内を通過し検出器に到達することができる。しかしそれ以外の高m/zイオン群は振動が大きくなり負電極に衝突する。逆に低m/zイオン群は正電極に衝突し電極を通過することができない。 したがって、直流電圧と交流電圧の比を一定に保ちつつ、交流電圧を直線的に変化させることで、全イオンを通過させることができる。
測定されるイオンの質量mは電極に与える交流電圧の大きさとその周波数および電極間の距離で決まり、次の式で与えられる。
この式から、質量の大きいイオンを分析するにはを大きくし、とを小さくすればよい。 しかし実際にはは数mm以下にはできず、周波数を小さくするとイオンが十分に振動できなくなる。 そのため、測定可能な質量範囲は交流電圧で決まり、現在の装置では上限が3000程度である。
質量分析計の質量分解能Rとは、識別できる質量差で表される。
四重極型の質量分解能は、原理的には質量に比例し、通常が0.5程度である。したがって質量範囲3000まで測定できる装置での最大質量分解能は6000程度となる。
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