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肩の痛みと運動制限をきたす疾患 ウィキペディアから
五十肩(ごじゅうかた、英: frozen shoulder)は、肩の痛みと運動制限をきたす疾患。莢膜炎、膠着性関節炎(英: adhesive capsulitis[1])ともいう。四十肩ともいわれる。正式には肩関節周囲炎(英: shoulder periarthritis)という疾患群のことで、肩関節の周囲に起こる炎症のこと。従来は腱板損傷や石灰沈着性腱板炎なども含めて五十肩と呼んでいたが、近年では原因が明らかな疾患は五十肩に含めない。すなわち、「肩に疼痛(痛み)と運動障害がある」「患者の年齢が40才以上である」「明らかな原因が無い」という3条件を満たすものを五十肩と呼ぶ[2]。
最初、肩関節付近に鈍痛が起こり、腕の可動範囲の制限が起こる。次第に痛みは鋭いものになり、急に腕を動かす場合などに激痛が走るようになる。痛みのために、腕を直角以上に上げられなくなったり、後ろへはほとんど動かせないなどの運動障害が起こる。生活にも支障をきたすようになり、重症化すると、洗髪、髪をとかす、歯磨き、炊事、洗濯物を干す、電車のつり革につかまる、洋服を着る、寝返りを打つ、排便後の尻の始末などが不自由となり、日常生活に大きな困難をもたらす場合がある。軽症で済むか重症化するかの仕組みもはっきりしていない。
痛みは片方の肩だけの場合と、一方の肩が発症して、しばらく経つともう片方の肩にも発症してしまう場合とがあるが、片方の肩が発症してしまうと、もう一方も発症する確率が高いようで、これを防止することは難しい。また痛みのピーク時には肩の痛みに加えて、腕全体にだるさや痺れがあることも。常に腕をさすっていないと我慢できない、と訴える患者もいる。
初期の症状が始まってからピークを迎えるまで数ヶ月を要し、ピークは数週間続き次第に和らいでくる。痛みのレベルにもよるが、鋭い痛みが感じられなくなるまでに半年前後、さらにボールなど物を投げられるようになるまでには1年前後かかる。腕の可動範囲を発症前の状態までに戻せるかどうかは、痛みが緩和した後のリハビリ次第だが、多くの場合、発症前の状態には戻りにくい。
関節の袋(関節包)が癒着を起こし可動域が硬くなるのが原因[3]だということは判明しているが、なぜ硬くなるのかについては2024年時点の医学では原因不明である。
炎症期(初期の疼痛が強い時期)は肩を無理に動かすことを避け、肩の保温を図る。拘縮期(拘縮が完成する時期)には温熱療法を行う。また、症状に合わせてストレッチやコッドマン体操(アイロン体操)を行う。拘縮が和らいできたら肩の運動を徐々に増やす[4]。
五十肩は、腰痛、外傷性頸部症候群などとともに健康保険で鍼治療が受けられる6つの疾患の一つである。
薬理的な治療としては、関節へのヒアルロン酸もしくはキシロカインの注射が行われる。この際、ジアゼパムをあわせて服用すると、短期間(炎症期からおよそ2週間から1ヶ月)で日常生活に支障が無くなる程症状は緩和される。ジアゼパムによって症状が回復する傾向が見られるのは、関節だけの障害だけでなく周辺筋・腱の炎症が関連していると考えられる。[要出典]ステロイドの関節への注射は最大2ヶ月が限度とされる(それ以上投与すると腱の劣化が起きるため)。ジアゼパムの抗不安作用に対する耐性は誘導されないため、こちらも向精神薬的側面から長期の服用は依存症をもたらす恐れがある。しかし、激痛を緩和し肩の可動範囲を発症前にほぼ戻すのに必要な期間と、薬剤の投与可能限度は一致するため、重大な問題は無い。ひどい場合は対応できる診療科は整形外科に通院する必要がある。
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