化学消防車
消防車の一種 ウィキペディアから
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化学消防車(かがくしょうぼうしゃ)とは、消防車の一種。水による消火が不可能・困難な石油コンビナートや航空事故などの重大な危険物火災に対応する。化学車ともいわれる。
油脂・化学物質の火災の場合、水をかけると逆に火の勢いが強くなってしまうため、放水では消火できない。そのような火災に対応し、泡消火剤や粉末消火剤を撒くことのできるものが化学消防車である。
通常は消防署に配備されているが、石油備蓄基地や高い可燃性を持つ航空燃料を扱う空港などの大規模火災が発生する可能性が高い公的施設にも配備される。民間であっても、化学工業関連企業、自衛防災組織の設置を義務付けられる石油コンビナートなどの施設にも配備されている[1]。
また、車両火災に備えて主要の幹線道路、高速道路などを抱える消防にも配備される傾向にあり、そのほか、消防団、自衛隊の航空基地、駐屯地飛行場の消防隊などにも配備されている(空港用化学消防車参照)[2][3][4]。
泡消火剤は、原液を水と混合させて放射することにより消火する。そのため、通常は車両自体に水・原液のタンクを装備している。しかし、タンク内の消火剤は数分 - 20分程度で使い切ってしまうため、泡原液搬送車や人員による原液タンク注入などによる補給が不可欠となる。石油コンビナート火災に対応する大型化学車、泡原液搬送車、高所放水車(屈折放水塔車など)の3台をまとめて化学車3点セットという。なお、高所放水車の代わりに、同等の性能を持つはしご車で構成する場合があるほか、自衛消防組織では、大型化学車と高所放水車の機能を1台にまとめた大型化学高所放水車を導入する場合もある。大型化学車と高所放水車の機能が一つになったことにより大型化学高所放水車と泡原液搬送車の2点セット運用が可能となり、全国の消防本部でも導入が進んでいる。泡原液搬送車から直接大型化学高所放水車へ送水し放水する事が可能となり、今後は化学車3点セットから2点セットとなると考えられ人員が限られる地方の自治体消防への導入も期待される[5]。
自治体消防の化学車は以下の型式で表される。
上記の型式にあてはまらず特殊な化学車も存在する。
泡消火薬剤は火災別にクラスAとクラスCに大きく分かれる。クラスAとは普通火災、すなわちガソリン等の危険物火災以外の一般火災に1%以下の混合比で用いられる消火薬剤である。CAFS(圧縮空気泡消火装置)を持つポンプ車等にポリ容器のまま積載されることが多い。
以下では一般に化学車の薬剤槽に積載される、クラスC消火薬剤について記述する。
動物の蹄や角などの蛋白質を加水分解したものを基剤とする薬剤である。外観は暗褐色をしており蛋白質の特有臭がする。
蛋白質の分子変性による強固な泡膜を形成することができるため、石油貯蔵タンク等の大規模油脂火災に用いられる。
化学車3点セットにおける大型化学車、泡原液搬送車に積載されるのは主にこの薬剤である。
シャンプー等の原料に用いられる炭化水素系合成界面活性剤を主成分とし、安定剤等が添加されている。外観はたん黄色がかかった透明をしておりグリコールエーテル臭がする。特徴として発泡性が高いという特徴を有するが、たん白泡と比較し耐熱性が乏しい。
一般火災にも使用できるため、軽化学車にはこれが積載されることが多い。また排煙高発泡車の発泡原液もこれに類する。
炭化水素系合成界面活性剤に、表面張力低下能の高いフッ素系界面活剤が添加されたものである。外観は黄色をしておりグリコールエーテル臭がする。フッ素系界面活性剤が添加されたことにより、合成界面活性剤よりも展張性が高く耐熱性・耐油性が強化されている。
航空機火災に適しており、空港用化学消防車はすべてこれを積載する。
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