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経済の用語 ウィキペディアから
利潤(りじゅん、英: profit)とは、「利益」や「もうけ」のことであり[1]、その中でも特に、企業の総収益(売上高)からすべての費用(賃金・利子等々、すべての費用)を引いたあとに残る金額のことを指す[1]。
利潤とは主に、企業が(生産や流通などの)経済活動を行い取引を行った後に得られる金額のことである。
マルクス経済学においては剰余価値を前貸し資本が資本の循環を通じて生み出した剰余価値の現象形態であると考えている[要出典]。
経済学の新古典派経済学などは、しばしば「企業はこの利潤を最大化することを常に考えながら意思を決定し、行動している。」という仮定(仮説)を置いている(→利潤最大化)[注 1]。
資本主義経済においてはこの利潤を各企業が自由な商業活動で追求することで常に価格競争などの競争原理が働いている、とする。
経済学の理論においては、利潤の捉え方について、しばしば調査や検証も行なわれないまま、上記のような極端な単純化や定式化が行なわれている。だが、企業が実現したいのは、利潤を最大化することとは限らない[2]。例えば、株式会社というものは、企業の所有者と経営者が別であることも可能で、所有と経営の分離していることがしばしばあるわけであるが、日本のそのタイプの株式会社では、(利潤を度外視し)しばしば売上高の極大化を目的に掲げるものもある[2](あるいは、かつてかなりの数存在した)。人間というのは「(企業は、経営は)利潤を最大化さえすればよいのだ」などと考えだすと、「市場を独占して暴利をむさぼればいいんだ」[2]、などと考えたり、「自分以外の人々に不正な方法で損害を与えてでも、自分だけ巨大な利潤を得ればよいのだ」などと考える輩が出てくることがある。現実の世界では、利潤を至上のものと信じて疑わず利潤の過度な追求を行なうことが、企業による様々な反社会的行為・犯罪行為を生んでいるということは、報道等々によってしばしば指摘され批判されている。それが高じてくると「利潤の追求などというものは全て悪だ」という考え方も現れることになり、利潤を追求する様を全て忌み嫌ったり、それを呪っている人もいる。
ただし、利潤の追求が社会に様々な害悪を生み出していることは事実であるとしても、あらゆる利潤の追求を全て完全に否定されてしまうと、商業活動のみならず、組織的活動すら行なうことが困難となってしまうことが多い。そこで、折り合いをつけるための様々な考え方が提起されている。例えば「適正な利潤」を実現することが経営の目的だとする説もある[2]。例えば、松下幸之助などが、(利潤の最大化という概念などは持ち出さず)「適正利潤の確保」[3]という概念で説明している。松下は、次のように述べる。
企業の社会性というのは、いつでも非常に大事なことである。しかし、だからといって利潤を追求してはいけない、ということをつけ加えていいのかどうか。
企業は利潤を追求してはならない、いわば薄利でやったほうがいい。できるだけ儲からないほうがいい、奉仕に変えたほうがいいんだということが、真の意味の社会性になるかどうかというと、これは非常に疑問やと思うんです。
「企業の社会性と利潤の追求」という見出しはあるが、「企業の社会性と適正利潤の確保」という見出しはあまりない。(経営者には)その義務があるというか、そういうふうにしなければならない。 — 松下幸之助『経営にもダムのゆとり』[4]
そして、この説明に続き、その理由として企業が納税することが社会にとっても必要であることなどを挙げている。
企業の社会性というのは、いつでも非常に大事なことである[5]ということは、言われ続けている。例えば、立石義雄は「企業というのは社会の公器である」という言い方でそれを表現している[6]。ピーター・ドラッカーは、企業にとって利潤が重要であることは認めてはいるものの、「企業の経営目的は利潤ではなく、顧客の創造である」とも述べている[2]。あまたいる経営者の中には、「自社は、社会貢献できればいいので、利潤は出なくていい。コストを払った後に赤字にさえならなければ、利潤は小さくてかまわない。それが自社のそして私の存在意義だ」と考える人もいる。その一方で、新古典派の仮定そのままに「自社の利潤だけを最大化したい」としか考えていない経営者もいる。松下幸之助に類似した考え方を採用している人もいる。バランスをいかにとるかに心を砕いている経営者もいる。
どの程度の利潤が適正なのかということは、ただひとつの回答があるというものでもなく、経営者にとって永遠のテーマでもあるとも言えよう。
会計上の利益と経済学上の利潤は同義ではなく、以下のような差異がある[7]。
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