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地方公共団体が設置した試験所、研究所、指導所その他の機関 ウィキペディアから
公設試験研究機関(こうせつしけんけんきゅうきかん: public testing/research laboratory)は、国または地方公共団体が設置した試験所、研究所、指導所その他の機関である。国の機関を含まない場合もあり、略称は公設試。これに対し国が設置した研究所等は国立試験研究機関(略称は国研)という。地方公共団体における鉱工業振興、農林水産業振興、環境保全、保健衛生の向上などといった地方の行政目的に沿う試験・研究・高度な機器の供用・指導・教育・相談等の業務を行う。
地方公共団体の一部をなす組織から、比較的独立性の高い財団形態のものまであり、どこまでが公設試でどこからが民間の試験所かを明確に線引きするのは困難である。国が組織した公設試の連合組織に加盟している機関が公設試と見なす場合がある。加盟していない機関の中にも十分に公設試と見なすことのできるものもある。
海外では食品・薬品ではある[1]が、鉱工業ではめずらしい。
農業系、衛生系の公設試は明治時代までさかのぼる所がある。鉱工業系の公設試は、日本の産業革命期にあたる1900年頃から各地で設立が始まりまた戦後の高度経済成長期にも設立が相次いだ。環境系の公設試は高度経済成長期末の公害問題等を受けて設立されたものがある。
設立当初は、工業試験場、窯業指導所、農業試験場、畜産試験場、水産試験場、林業試験場などと細かい分野別に専門の試験研究機関として設置していた場合がある。また、交通・通信手段が整っていなかった戦前から高度経済成長期直前までは、県立の公設試は県内の産業集積地や競争力の高い農産地ごとに分散して設置されていることもあった。
高度経済成長期に交通・通信手段が整備されると、県内に各地に独立に設置されていた公設試が効率的運用のために本所-支所という位置づけに移行していった。また国民が環境・製品・食品の安全に高い関心を持って公設試に高度な試験設備等が必要になると、効率的運用のために県内1か所のセンターに集約されることもある。
環境系、衛生系では、現在中規模以下の県では、これらが統合されて「県立環境保健センター」という名称になっている。
2000年以降、国が国立試験研究機関を相次いで独立行政法人化すると、これに呼応していくつかの都道府県・市でも公設試が地方独立行政法人(いわゆる「地独」)となった。また、経営の安定化のため、地独化に際して鉱工業系と農林水産系の公設試を合併させた例もある。
他方、職員の学歴等の推移で見ると、戦前は高学歴の幹部職員と、必ずしも高学歴ではないが職人としての訓練を受けた一般技術職員で構成されていた。戦後の高学歴化にともないほとんどの技術系職員は大学卒となり、1990年代以降は採用資格を修士号取得者以上とする公設試も増えた。技術士を研究員もいる。現在では、(機関によって差があるが)採用時点で博士号を取得していたり、採用後10~20年ぐらいで博士号を取得する公設試職員も少なくない。これは公設試の業務の中で研究業務の比重が大きくなっていることの表れである。
地方公共団体に直属し、地方公務員を職員とする形態、法人化はしているが運営費用の交付、運営方針決定、人事交流などを通じて地方公共団体の強い影響下にある地方独立行政法人の形態、地方公共団体の積んだ基金によって独自の施設・設備等を有する財団法人の形態、および、地方公共団体が整備した施設・設備を法人が委託を受けて運営する公設民営の形態がある。
各試験研究機関には、研究者と試験機器を配置している。人と機器は、それぞれの組織ごとに確認することもできるが、鉱工業系の主要機関については経済産業省が検索システムを提供している[2]。
公設試験研究機関は、所掌分野が多岐にわたるにもかかわらず職員数が数十人といった比較的小規模のものが多く、業務遂行上の助言や指導を受けることのできる同じ専門分野の同僚が限られるという悩みがあった。このため、国が主導し、国立研究機関が要となって、公設試の連合組織が設立されている。
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