Remove ads
ウィキペディアから
予約語と似た言葉に「キーワード」(keyword) があるが、プログラミング言語の種類、また文脈によってreserved wordとkeywordは全く違う意味を持ちうるので、両者は異なる用語・概念と扱われている場合が多い。
キーワードであっても予約語でないこともあるし、その逆もある。たとえばECMAScript (ECMA-262) 5th Edition (ES5) では、class
やextends
は予約語だが言語で使われておらずキーワードではない。しかしECMA-262 6th Edition (ES6) では新たにサポートしたクラス構文のために使われるキーワードとなった。ECMA-262 では、キーワードは予約語の部分集合で、言語で制御構造などの意味を持つ予約語がキーワードである。Javaでは言語で使われていないgoto
やconst
もキーワードである[4]。SQLには予約されたキーワードと予約されていないキーワードがある。例にも出てきたように、個々の規格によっても両者それぞれ微妙に意味が違うこともある。
なお、FORTRANやPL/Iのように予約語を持たないプログラミング言語もある。
「予約されたキーワード」(reserved keywords) や「予約されていないキーワード」(unreserved keywords) という用語が使用されている場合もある[5][6]。
共通言語基盤 (CLI) 向けの共通言語仕様 (CLS) にしたがって実装されたC#やVB.NETでは、キーワードを識別子として利用する構文が用意されている。
@class
などのように先頭に@
をつけることで識別子として利用することができる[7]。[Class]
などのように[...]
で囲むことで識別子として利用することができる[8]。``class``
などのように``...``
で囲むことで識別子として利用することができる[9]。上記の機能は、CLSを満たす他の.NET言語で記述されてアセンブリに公開されたシンボルの名前を使う場合などでも有用である。例えばC#ではDim
はキーワードではないため、プロパティなどの名前として使用できるが、VB.NETではキーワードであるためそのままでは使えず、相互運用に支障が出る。そこで、シンボル名を使用する際に[Dim]
と記述することでVB.NETでも識別子として使えるようになる。
C言語はキーワード (keywords) の他、予約済みの識別子 (reserved identifiers) を持つ[10][11]。正確な詳細は ISO/IEC 9899 規格を参照のこと。
なお、IBMのz/OSのドキュメントでは「reserved keywords」と呼んでいる[12]が、この用語はCの標準規格に準じたものではない。
C++には、C言語由来のキーワードと、C++で新たに追加されたキーワードがある[13]。また、予約済みの識別子のルールもCと似ているが、若干異なる部分がある[14]。
C#の構文はC/C++やJavaによく似ており、キーワードも類似している。
FORTRANにはキーワードがあるが、予約語を持たない[16]。そのため、ユーザー定義の名前(識別子)にif
やgoto
のようなキーワードと同じ綴りを使うこともできるが、プログラムの可読性やメンテナンス性を著しく下げるため使うべきではない[17]。
隣接するキーワードは、その間に1つ以上の空白文字を入れる必要があるものもあれば、必要がないものもある[18]。例えばGO TO
をGOTO
と書くことはできるが、DO WHILE
をDOWHILE
と書くことはできない。
Javaの構文はC/C++によく似ており、キーワードも類似している。
Pascalでは特殊記号 (special-symbol) の中に含まれる部分集合として、綴り記号 (word-symbol) という用語が使われる。『PASCAL 原書第4版』(培風館、1981)では word symbol の訳として「綴り記号」という用語を使っている。また、同書には「綴り記号(すなわち予約語)」という記述がある(p.12)。
ISO/IEC 7185:1990 の翻訳である JIS X 3008:1994「プログラム言語Pascal」では、「word-symbol」に対して「予約語」という翻訳を割り当てている。
特殊記号は、+
, -
などの演算子に使われる記号に加えて、begin
, end
などの綴り記号を含む。
if
、while
など)function
、class
など)static
、const
など)open
、read
など)int
、string
など)goto
、const
など)let
、super
)export
、C++17のregister
[19])なお、C系の言語では、BASIC系の言語におけるELSEIF
に直接相当するキーワードおよび構文は存在しない。C系言語のelse if
は複合キーワードや専用構文などではなく、else
節に続く別のネストされたif
文とみなされる[20][21]。処理系によっては、あらかじめ定められたネスト数の上限に達するとコンパイルエラーとなる[22]。
抽象構文的には全く違いは無いにもかかわらず、具象構文・字句構文(lexical syntax)的な違いは見た目の違いとしてわかりやすいこともあり、しばしばプログラマの好みの問題になりやすい。代表的にはブロックが { ... }
か begin ... end
か、などといった点であるが、そういった要素に記号を多用しがちな言語と、キーワードを多用しがちな言語がある。記号を使うのは簡潔だが、やりすぎると一見では暗号のようになりかねない(PerlやAPLなど)。キーワードを使う言語は冗長だが明示的という点は利点だが、識別子に使える名前が制限され、フォントを変えるなどシンタックスハイライトの支援がないと見た目にも区別しづらい。キーワードは全て大文字とし、識別子には必ず大文字アルファベット以外の文字が含まれるようにする、といった解決法もある。近年[いつ?]はISO 646の国際版に、世界的に7ビットの文字コードは定着したが、以前は、あるいは今もEBCDICは絶滅していないので記号は自由に使えない場合もあった。
コンテキストキーワード (contextual keywords) はC#やC++などの言語で採用されている特殊なキーワードで、文脈キーワード、文脈依存キーワード (context-sensitive keywords) とも言われる。
言語を後から拡張する場合、新しい構文やキーワードあるいは予約語を追加すると既存のコードとの互換性が壊れてしまう場合がある。例えば、既存の変数やメソッドの名前が新しいキーワードあるいは予約語と同じだった場合、新しい言語仕様では構文エラーとなる。しかし、完全に将来の拡張を予期してあらゆるキーワードを予約しておくことは困難であり、予約語が拡張の障害になりうる。
そこで、新しく拡張された構文の中でのみキーワードとして動作するのがコンテキストキーワードである。コンテキストキーワードは特定の構文以外では変数などの名前として使用できるため、既存のコードを破壊することがない。
例えば、C#のプロパティ構文では、C# 1.0の登場当初からget
、set
、value
という多くの名前に使われているであろう語をコンテキストキーワードとして定義している[23]。これは例えばC/C++やJavaのコードをC#に移植する際に、名前の衝突を避けるのに役立つ。C# 5.0で追加されたasync/await構文でも、コンテキストキーワードを利用して言語仕様が拡張されている。
Cでは、例えばinclude
やelif
などはプリプロセッサディレクティブの文脈では命令のひとつとして認識されるが、それ以外では通常のユーザー定義識別子として使用することもできる[24]。
C++では、例えばC++11で追加されたoverride
やfinal
は単独ではキーワードではなく、通常は変数名や関数名などの識別子として使用することもできるが、文脈によっては特殊な意味を持つようになる[25][26]。
マイクロソフトによる独自の言語拡張であるC++/CLIおよびC++/CXでは、プロパティやデリゲートなど、標準C++からの拡張機能に関連するキーワードはすべてコンテキストキーワードとして規定されている[27]。
public class MyClass {
private string value; // value は setter でのみ使われるコンテキストキーワードなので、ここでは衝突しない。
public string Value {
get { return value; } // value は setter でのみ使われるコンテキストキーワードなので、ここでは衝突しない。
set { value = value; } // フィールド MyClass.value への代入ではなく、パラメータ value への自己代入となる。
//set { this.value = value; } // フィールドへの代入とするには、this による修飾が必要。
}
}
var obj = new MyClass();
obj.Value = "hoge";
System.Console.WriteLine("Value = \"{0}\"", obj.Value);
Seamless Wikipedia browsing. On steroids.
Every time you click a link to Wikipedia, Wiktionary or Wikiquote in your browser's search results, it will show the modern Wikiwand interface.
Wikiwand extension is a five stars, simple, with minimum permission required to keep your browsing private, safe and transparent.