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下垂体腺腫(かすいたいせんしゅ、Pituitary adenoma)は、脳下垂体(下垂体)にできる脳腫瘍の一種。「下垂体腫瘍」とも言われる。
下垂体腺腫は一般的に、腺腫・浸潤性腺腫・癌という3つのカテゴリに分類される。うち、ほとんどが良性腺腫であり、約35%が浸潤性腺腫、がんは0.2%〜0.1%である。
下垂体腺腫は、頭蓋内腫瘍のうち10%から25%[要出典]であり、また一般集団における推定有病率は約17%である。[1] 脳下垂体は豆粒大ほどの大きさで、頭蓋骨の底部・中心部にあるトルコ鞍という窪みの中に納まっている。ほとんどの下垂体腺腫は微小であるが、なかには腫瘍がトルコ鞍から頭蓋内へ脱出し、数センチもの大きさになることもある。トルコ鞍の上部には視神経の交差する「視交差」があり、これを腫瘍に圧迫された場合、目の視野の両端が欠損する場合がある(両耳側性半盲)。
脳下垂体は、よく人体の「中枢腺」と呼ばれる。視床下部~脳下垂体軸の一部は、(内分泌)循環系への種々のホルモンの分泌を介して身体の内分泌機能のほとんどを制御する。また、脳下垂体はトルコ鞍と呼ばれる蝶形骨の凹みの中にあり、脳の下部に位置する。脳下垂体は解剖学的および機能的には脳に接続されているものの、血液脳関門の外側に置かれている。これは鞍隔膜つまりクモ膜によってクモ膜下腔からも分離されるということで、脳脊髄液がトルコ鞍に入り込むことはない。
脳下垂体は、脳下垂体中葉(または中間部)によって2つの部分に分けることができる。1つは腺の体積の3分の2を占める前葉、もうひとつは体積の3分の1を占める後葉である。
脳下垂体前葉(腺下垂体)は、6つの異なるホルモンを生成、分泌する本来の分泌腺である。それぞれ、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)、成長ホルモン(GH)、およびプロラクチン(PRL)である。[2]
脳下垂体後葉(神経葉または神経下垂体)は、本来の意味での分泌腺ではない。後葉は、脳下垂体茎を経由して接続されている視床下部から延びるニューロンの軸索を内部に含む。視床下部の視索上核および室傍核のニューロンによって生成されるバソプレシンとオキシトシンは、葉内の軸索終末(樹状突起)から放出され、後葉に格納される。[3]
下垂体腺腫は、解剖学、組織学的および機能的な基準に基づいて分類される。[4]
腺腫のタイプ | 分泌 | 染色 | 病理 | ホルモン産生症例の割合 |
---|---|---|---|---|
プロラクチン産生腺腫(プロラクチノーマ) | プロラクチンを分泌する | 好酸性 | 乳汁漏出、性腺機能低下症、無月経、不妊症、およびインポテンツ | 30%[8] |
成長ホルモン産生腺腫 | 成長ホルモン(GH)を分泌する | 好酸性 | 成人では先端肥大症 小児では巨人症 | 15%[8] |
副腎皮質刺激ホルモン産生腺腫 | 副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)を分泌する | 好塩基性 | クッシング病 | |
性腺刺激ホルモン産生下垂体腺腫 | 黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)およびそのサブユニットを分泌する | 好塩基性 | 通常、症状を引き起こさない | 10%[8] |
甲状腺刺激ホルモン産生腺腫(まれ) | 甲状腺刺激ホルモン(TSH)を分泌する | 嫌色素への好塩基 | 通常は症状を引き起こさないが時折甲状腺機能亢進症を引き起こす | 1%未満[8] |
ホルモン非産生腺腫(非機能性腺腫) | ホルモンを分泌しない | シナプトフィジンの陽性に移行する場合がある | 下垂体腺腫の25%が非産生性である[8] | |
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