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共和政ローマの執政官 ウィキペディアから
ルキウス・カエキリウス・メテッルス・デルマティクス(ラテン語: Lucius Caecilius Metellus Delmaticus、- 紀元前104年)はプレブス(平民)出身の共和政ローマの政務官。紀元前119年に執政官(コンスル)、紀元前114年から紀元前104年まで最高神祇官(ポンティフェクス・マクシムス)を務めた。デルマティクスというアグノーメンはダルマティアでの勝利に由来する。
カエキリウス・メテッルス家の出身。伝説によれば、カエキリウス氏族は火の神ウゥルカーヌスの息子で、プラエネステ(現在のパレストリーナ)の建設者であるカエクルス(en)の子孫とする[2]。メテッルス家は紀元前3世紀の初めに元老院に議席を得た。最初に執政官となったのは紀元前284年のルキウス・カエキリウス・メテッルス・デンテルである。パトリキ(貴族)であるセルウィリウス氏族と協力し、メテッルス家は紀元前140年代から元老院における最も有力な家系となった[3]。特に紀元前123年から紀元前109年にかけては6人の執政官を出している[4]。
デルマティクスは紀元前142年の執政官ルキウス・カエキリウス・メテッルス・カルウスの長男であり[5]、クィントゥス・カエキリウス・メテッルス・マケドニクスのいとこである。弟にはクィントゥス・カエキリウス・メテッルス・ヌミディクスがいる。
デルマティクスに関する記録は紀元前119年に執政官に就任した際が最初であり、それ以前は不明である。逆算すると、紀元前122年以前には法務官(プラエトル)を務めていたはずである[6]。
同僚執政官は、やはりプレプスのルキウス・アウレリウス・コッタであった。同年にガイウス・マリウスが護民官となっているが[7]、これはマリウスがカエキリウス氏族のクリエンテス[8] となったか、あるいは一時的に支援を受けたことが大きい[7]。まもなくマリウスは富裕階級の投票権を制限する法案を提出した。プルタルコスによれば、ルキウス・カエキリウスという人物がこれに反対したが、マリウスはかってのパトロヌス(庇護者)を告訴し、法案を成立させた[9]。ただし、プルタルコスが書くルキウス・カエキリウスはデルマティクスではないかもしれない[10]。
執政官の任期が完了すると、デルマティクスは前執政官として、ダルマティアに赴任する[11]。凱旋式をどうしても実施したかったデルマティクスは、理由もなしに現地人との戦争を始めた。戦争を望んでいなかったダルマティアは降伏し、ローマ軍はサロナ(現在のソリン)で冬営に入った[12]。紀元前117年にローマに戻ると凱旋式を実施し[13]、ダルマティアに対する「勝利」を祝してデルマティクスのアグノーメンを得た。また、勝利を記念してディオスクーリ神殿を拡張するとともに、塗装を新たに行って像をいくつか建てている[14]。
紀元前115年に、ルキウス・カエキリウス・メテッルスという人物が、グナエウス・ドミティウス・アヘノバルブスと共に監察官(ケンソル)となっている[15]。これはデルマティクスか、甥のルキウス・カエキリウス・メテッルス・ディアデマトゥスと思われるが、カピトリヌスのファスティのこの部分が欠落しているため、何れかを断定はできない[16]。メテッルスとアヘノバルブスは元老院議員32名を除名した[17]。この中には前年の執政官ガイウス・リキニウス・ゲタも含まれており[18]、デルマティクスの娘と結婚していたマルクス・アエミリウス・スカウルスは元老院筆頭(セネートゥス・プリンケプス)となっている[19]。
同年[20] あるいは翌年[21]、最高神祇官(ポンティフェクス・マクシムス)であったプブリウス・ムキウス・スカエウォラの死去に伴い、デルマティクスは終身職である最高神祇官に就任し、紀元前104年に没するまでその職にあった。この職にあっては、ウェスタの処女の姦通罪に関する調査を行っている[22]。
デルマティクスの娘はマルクス・アエミリウス・スカウルスの再婚相手となり、またルキウス・コルネリウス・スッラの4番目の妻となっている[23]。
デルマティクスはコリーン・マッカラの "The First Man in Rome"の登場人物の一人である。
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