行列
を
の対称行列とする。
これが直交行列
によって三重対角行列
に直交変換されたとする。

ここで、
が対称であるから
も対称である。
そこで、三重対角化された行列
の成分を次のようにおくことにする。

一方、直交行列
の第
列のベクトルを
とすると、
の直交性から

が成立する。
また上記の直交変換はつぎのように書くことができる。

ランチョス法とは、この関係から直接変換行列
すなわちベクトル
を定めながら、それと同時に三重対角化を行っていく方法である。
上の等式で
とおき、
行列
の成分を代入して両辺の各列を比較すると、次式が得られる。

第
行目の式に左から
を乗じると、直交性より以下のように
が求められる。

また、
がすでに求められているとすると、
はつぎのように計算することができる。
まず
を

によって求める。つぎに
の正規化条件
を満足させるために
を

と定める。そして、

とすればよい。
このようにして、
なる任意の初期ベクトル
からはじめて順次
を計算することにより三重対角行列
を求めることができる。