ヤドカリ下目Anomura)は、甲殻類十脚目(エビ目)の分類群の一つ。異尾下目ともいう。

いわゆるヤドカリの他にも、ヤシガニタラバガニコシオリエビカニダマシスナホリガニなどが分類される。以前はアナジャコも分類されていた。カニ下目(短尾下目)とは類縁関係が近く、Meiura[2]という単一の系統群をつくる。

概要

生息

下目全体で2470種が含まれる。ほとんどの種が海生であり、淡水生のものはタンスイコシオリエビ科(60数種)と、ヤドカリ科の1種が知られる。またオカヤドカリ科(17種)の成体は陸生である。

形態

腹部(尾)の発達が悪く、頭胸部の裏側に折りたたまれるか、貝殻の中に納められる。第1歩脚は通常大きく、ハサミとなるのに対し、第5歩脚(種によっては第4脚も)は、ごく短くなり背中側に折りたたまれている。このためエビ・カニと同じ「十脚目」であるが、歩脚が8本(または6本)しかないように見える。

同じ下目であっても姿は科によってたいへん異なり、多種多彩な外見をしている。

  • ヤドカリは巻き貝の殻に腹部を収め、頭胸部だけを外に出す。腹部は巻き貝の形に合わせて、左右不対称である(異尾類の名の由来)。
  • タラバガニカニダマシなどは鋏脚が大きく発達し、未発達の腹部が頭胸部の裏側に折りたたまれるのでカニに似る。
  • コシオリエビなどは鋏脚が細長く、腹部がやや発達しているため(腰を折った状態の)エビに似る。

利用

大型のものは食用となり、タラバガニなどは水産資源として重要である。ヤドカリ類などは観賞用に飼育される。

分類

7上科に20科が属する[3]

スナホリガニ上科 Hippoidea
タンスイコシオリエビ上科 Aegloidea
本上科は以前はコシオリエビ上科に含まれていた。
クモエビ上科(ワラエビ上科) Chirostyloidea
本上科は以前はコシオリエビ上科に含まれていた。
ロミス上科 Lomisoidea
コシオリエビ上科 Galatheoidea
ヤドカリ上科 Paguroidea
タラバガニ上科 Lithodoidea
本上科は、ヤドカリ上科のホンヤドカリ科から分岐したものであるため(下図参照)、以前はヤドカリ上科に含まれていた。

系統

分子系統解析からは、次のような系統樹が得られている[3]

  • ヤドカリ上科は、系統的にはタラバガニ上科を含むため、単系統ではなく側系統となる。
  • ヤドカリ科・チュウコシオリエビ科は、系統的に一つにまとまっておらず、多系統である。
ヤドカリ下目
スナホリガニ上科

フシメクダヒゲガニ科

クダヒゲガニ科

スナホリガニ科

ヤドカリ上科

ツノガイヤドカリ科

オキヤドカリ科

ヤドカリ科(一部)

ヤドカリ科 + オカヤドカリ科

ホンヤドカリ科 + タラバガニ上科

コシオリエビ上科

シンカイコシオリエビ科

チュウコシオリエビ科

コシオリエビ科 + チュウコシオリエビ科(一部)

カニダマシ科

タンスイコシオリエビ上科

ロミス上科

クモエビ上科

ツノコシオリエビ科

キワ科

クモエビ科

脚注

関連項目

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