ホークス・ネストトンネル災害
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ホークス・ネストトンネル災害(Hawks Nest Tunnel Disaster)あるいはホークス・ネストトンネル事故は、1930年代、アメリカ合衆国ウェストバージニア州南部のトンネル工事において発生した、米国史上最悪とされる労働災害[1]。推定で476名の鉱夫が急性珪肺によって死亡したと言われる。ホークス・ネストの直訳から、タカの巣事件(タカのすじけん)とも呼ばれる。
ウェストバージニア州アロイの下流にある工場への電力供給を増強させるため、この工場を所有するユニオンカーバイド社はニュー川の流路を変えることを決定した。1927年初頭、この事業を請け負ったラインハルト&デニー社は、ゴーリー山の山腹を貫通する3マイル(≒4.8km)に亘るトンネルの工事を始めた。その後すぐに、ニュー川の水のほとんどをトンネルの中に流れ込むようにするためのダムがホークス・ネスト下流に建造された。
トンネル工事の最中、坑夫らはシリカ鉱石を発見し、その採掘も命じられる。坑夫らは掘削作業時に防塵マスクや呼吸用保護具を一切与えられずに採掘を行った(坑内視察に訪れた現場監督にはそれらの器具が支給された)。これが原因で高濃度のシリカ粉塵にさらされたために、多くの坑夫が珪肺症(シリカ粉塵により肺機能が低下する病気)を患った。多数の坑夫が珪肺が原因で亡くなり、中には1年も経たないうちに亡くなるケースもあった。
この災害による死者数は正確には分かっていない。慰霊碑によると死亡したのは109人とされているが、アメリカ合衆国議会の審理はこれを476人であるとした[2]。更に他の文献では、700人から1,000人以上、多いものでは3,000人とするものもある[3]。それぞれの死者数に大きな差があるのは、ホークス・ネストの坑夫の多くがアメリカ南部出身のアフリカ系アメリカ人で、罹患後にホークス・ネストを離れたり出身地に帰ったりしたため、正確な数を割り出すのが難しくなってしまったのが原因である[4]。
付近にある慰霊碑には、次のように記されている。
水力発電のために行われた、ニュー川の流路をゴーリー山を貫通する流路へ変更するためのトンネルの工事で、合衆国史上最悪の労災をもたらした。シリカの結晶の粉塵は、ほとんどが黒人の移民である3,000人近い坑夫のうち、確認されているだけで109人の死を引き起こした。連邦議会の審理では、1930年から1935年までに476人の死者があったとした。この悲劇により、珪肺の労働災害への指定と坑夫を保護する補償法が承認されたのだ。
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