Loading AI tools
ウィキペディアから
ホウ素欠乏症(ほうそけつぼうしょう、英: Boron (B) deficiency)とは、植物において必須の微量元素であるホウ素の不足症状である。世界中で最も広く分布している微量元素の欠乏症であり、食料の生産量と品質の大幅な減少を引き起こしている[1]。ホウ素の不足は植物の栄養成長と生殖成長に影響を与え、細胞の増殖の阻害、分裂組織の死滅、および受粉率の低下をもたらす[2]。
症状には、生長点の死と葉の茂りの生長停止、極端な場合は実止りの阻害がある。作物固有の症状として以下のものが挙げられる。
ホウ素は必須栄養素の一つであり、植物の成長と発達に要求される。その第一の機能は、植物の細胞壁の構造を保全することである。その他の機能には恐らく原形質膜や他の代謝経路の維持を含む[7]。植物はホウ素の水溶性形態と不溶性形態の両方を含む。健康な植物の場合、植物体へ供給されたホウ素の量によって水溶性ホウ素の量は変動し、不溶性ホウ素の量は変動しない。ホウ素欠乏症の発症は不溶性ホウ素の減少と同時に起こる。水溶性ホウ素はホウ素の余剰分であるが、不溶性ホウ素は機能的な形態であるとされている[8]。
ただし、その要求量は非常に小さい。ホウ素の要求量は植物種によって異なり、大部分の植物種では最適な葉中のホウ素含量は20-100 ppmである[9]。過剰なホウ素は過剰症となる可能性があり、過剰水準は植物種によって様々である[10]。
ホウ素は土壌中で様々な形態をとっている。最もよく見られる形態はホウ酸(H3BO3)である。植物にとって、土壌中の適切なホウ素含量は12mg/kgとされている。土壌中のホウ素含量が0.14mg/kgを下回ると、植物にホウ素欠乏症が観察される可能性が高い。土壌が塩基性であるとホウ酸は不溶性形態となり、植物が利用できなくなる。このため、高いpHの土壌でホウ素欠乏症がよく観察される[11]。有機物の含有量が低い(<1.5%)土壌もホウ素欠乏症を引き起こす可能性がある。可溶性成分が多く浸出した砂質土壌においても、ホウ素が土壌に残らないためホウ素欠乏症は特徴的に現れる[12]。
植物にとって土壌中のホウ素含量が過剰であると、ホウ素が毒となる可能性がある。ホウ素の毒性が現れるホウ素含量は植物種によって様々である[10]。
ホウ酸(16.5%ホウ素)、ホウ砂(11.3%ホウ素)またはSoluBor(20.5%ホウ素)の施用によりホウ素欠乏症は改善される可能性がある。最適なホウ素施用量は植物種によって様々であるが、よく行われるホウ素の施用は約1.1kg/hまたは1.0lb/aである[12]。ホウ砂やホウ酸やSoluborは粉末としてか、水に溶かされてスプレーされて使用される。
ただし、過剰量のホウ素は植物にとって、かえって有害であるため、ホウ素を人為的に与える際は、その施用量を適切に管理する必要がある[10]。多また、その際は植物には直接施用せず、あくまで土壌にホウ素を添加するようにするのが良い。しかし、塩基性土壌であった場合、ホウ素の投入しても高いpHによりホウ素は植物に対して可給態とならないため、ホウ素の施用は欠乏症を改善しない[11][12]。また、砂質土壌といった、可溶性の土壌成分が浸出している可能性のある土壌では、ホウ素の施用を継続することが必要となる[12]。なお、土壌が過剰なホウ素を含む場合は、土壌を水洗することでホウ素を取り除くことができる[11]。
Seamless Wikipedia browsing. On steroids.
Every time you click a link to Wikipedia, Wiktionary or Wikiquote in your browser's search results, it will show the modern Wikiwand interface.
Wikiwand extension is a five stars, simple, with minimum permission required to keep your browsing private, safe and transparent.