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漫画『鉄人28号』に登場する架空のロボット ウィキペディアから
ブラックオックスは横山光輝の漫画作品『鉄人28号』およびその派生作品に登場する架空のロボット。鉄人28号のライバルともいうべき存在であり[1]、実写テレビ版と『鉄人28号 白昼の残月』を除くすべての映像作品にも登場している。直訳すると「黒い雄牛」。
人造人間の技術で生き返ったマッドサイエンティスト不乱拳(ふらんけん)博士が、覆面の怪人達に頼まれて製作した漆黒の怪ロボット。
本来は「鉄人より強く、モノを考えるロボット」というのが設計目標であったが、覆面の怪人と博士に警察の手が伸びた為に急遽「鉄人に対抗できるロボット」として完成をみた。その経緯から、鉄人の弱点を突くことに要点を絞った装備が施されており、鉄人に対する強力なライバルロボとしての地位を得る。自律思考をし意志を持たせる事を目的とした電子頭脳を搭載しており、実験では自律思考による自己判断の試みは失敗したが、それでもプログラム判断による高度な自律行動が可能であり、警視庁襲撃の際は見事に捕まった怪人達を救い、指先からの催涙ガスで追跡を振り切って帰還した。また、強力な電波妨害装置が組み込まれており、遠隔操縦型(リモコン操縦)のロボットを行動不能にしたり、ロビーの製作したロボット達の電子回路を機能不全に陥れたりした。更に、指先からは熱線を放つことも可能で、強力な装甲を持つロボット群をまとめて溶解させるほどの威力がある。
上記の機能に加え、頑健さ、パワーにおいても鉄人と互角以上であり、正太郎達は対処に大変な苦労を強いられた。実際、まともに組んだら鉄人には勝ち目が無いと判断した正太郎は、オックス自体の攻略を止め、飛行できる鉄人の移動速度の利を生かし、オックスを操る怪人達を翻弄するという消極的な戦法に終始している。更に怪人達の手で鉄人すら奪取されてしまった為、自衛隊の戦力で怪人達に総攻撃を仕掛けたが、デリンジャー現象による鉄人とオックスの暴走という偶然の事態が無ければ勝利できなかった。事件解決後は警視庁の倉庫に保管されていたが、鉄人だけでは対処できない敵に対した際に正太郎に用いられ、鉄人と共に戦うようになる。
弱点として空が飛べないという点が挙げられる。ちなみにオックスは去勢牛の意である。
操縦はバッカスでも見られた腕時計型の小型操縦機で行われるが、バッカスと比べ自律性が高いので簡単な命令で行動していた。また、バッカスとの共通項として額の赤いマークが上げられる。
ギルバートとの戦闘の際、熱線の撃ち合いになり、装甲を溶かされながらもギルバートの上半身を完全に溶解させる。その後、角などが溶けた状態で立っている姿が確認できるが、それ以降は登場しない。白黒アニメ版では、ロビーの刺客である人型ロボット爆弾によって完全に破壊された描写がある。
『太陽の使者 鉄人28号』、『皇帝の紋章』(長谷川裕一著)では、念願の自律思考、意志を持つロボットとして完成(ただし、5歳児程度の知能しか持っていない)している。
ブラックオックスの人気は高く、後世のクリエイターにも影響を与えた[1]。そのデザイン(漆黒の機体、2本の角)や主役メカのライバルとしての存在感から、後のロボットアニメ(味方、敵問わず)のデザインのモチーフとなる事が多い。代表的な例として以下のものがある。
『太陽の使者 鉄人28号』では、頭脳コピーにより、人間同様の思考力や心(ただし幼児並の知能であり、また言葉は理解できるが自分は話せない)を持つロボット。ディティールは原作よりも細かくなり[3]、また鉄人よりも優雅で力強く洗練された姿で描かれている[3][4]。主な武装は目から放つ「電磁光線」で、他の機械を狂わせたりバリアのように用いたりする。また肘と脚にロケットエンジンを備えたことにより飛行能力も有している。本作におけるオックスは、出自にまつわるエピソードやその最期の場面において「心を持ったロボット」としてのドラマや悲劇性が強調され、意思を持たずコントローラーから操縦される鉄人28号と対比される存在として描かれた[1][3][4]。
初登場は第34話。頭脳コピーによって知能を発達させたロボットを研究していた不乱拳博士だが、学界の反対に遭い犯罪組織X団に頼って研究を進めていた。X団は未完成のブラックオックスを使って船舶や航空機を襲うなどの悪事を働く。最終段階で不乱拳博士自身の頭脳をコピーする際、正太郎達にアジトを突き止められて作業は中断され(そのため知能が幼児並になった)、ブラックオックスは鉄人迎撃に出る。不乱拳博士はその戦いを止めに入りオックスを「我が子」と呼び、その人間性を覚醒させるが、X団の首領ヘンケルに撃たれ、ブラックオックスを敷島博士らに託して死亡。オックスは得たばかりの心で、それを授けた「親」と死別する哀しみを味わい、降り始めた雨を両目から涙のように流す[3]。
その後ブラックオックスは敷島研究所に身を寄せ、時には鉄人とコンビを組み(ブラックオックスの行動は主に敷島博士が指示)、時には不乱拳博士に化けたX団の残党に騙されて鉄人と戦ったり、時には敵に操られた鉄人を奪還すべく奮闘した。終盤の第49話では宇宙魔王の前線基地を攻略する際、ロビーにより催眠装置を仕掛けられ、操られるまま鉄人に襲いかかる。最終的に装置は鉄人が破壊し正気に戻るものの、鉄人が損傷したことに負い目を感じていたオックスは、宇宙魔王への復讐を目論むロビーのリークにより基地の地下にマグマ帯がある事を知り、地下に潜ってマグマを基地内に導くと共に自らも攻撃し、基地の自爆に巻き込まれて破壊される。
爆発で破壊されたオックスの顔面のパーツが空中から飛来し、墓標のごとく地面に突き立つという最期の場面の作画は、亀垣一が何度も修正を加えるなど入念な作画と凝ったカメラワークが施され[3]、劇中において特に印象的な場面として描写された[1][3][4]。アニメ雑誌編集者の小黒祐一郎はこの場面を、人間性の象徴である顔面が機械のパーツの一部として描かれることで、人間の心を持ったブラックオックスも機械に過ぎなかったという悲しみを描いているとし[3]、またアニメ評論家の氷川竜介は、敢えてブラックオックスの最期をロボットらしく即物的に描くことで、その人間性を視聴者の心に刻みつける演出なのだと評している[1]。
『超電動ロボ 鉄人28号FX』では、不乱拳博士のクローンであるフランケン・シュタイナーが製作した新型ロボット。左肩に OX、首に IM-X29 のステンシルを描かれている。完成当初でも鉄人を苦戦させる性能を持っていたが、フランケンによって鉄人25号ミラージュから奪った超電動システムの回路チップが取り付けられ、更なる強化を遂げた。アームバルカンやアームレーザーなどの飛び道具で武装しているうえ、人型形態アタックモードでは鉄人28号FXと互角の超電動パワーを発揮できる。また、飛行形態ジェットモードに超電動チェンジする機能を持ち、機体内にキャビン(操縦室ではない)を備える。必殺技は肩部の砲塔から発射される分子破壊砲ジェノサイドバスター[5]。フランケンの死の直前、フランケンは夏樹三郎に本機の操縦法を伝授し、リモコンと本機を譲渡した。三郎に譲渡されて以降は鉄人の心強い相棒、鉄人29号OXとして最終話まで活躍、他作品のように破壊されることもなかった。鉄人28号FXと有線接続することでジェノサイドバスターの威力を強化する合体技ダブルパワージェノサイドバスターが最大の必殺技。[6]なお、初使用時は同じ超電動チップを有する鉄人25号ミラージュとの有線接続で使用している。
リモコンは小さなアンテナのついたブレスレット型。基本的に音声だけで操縦できるが、細かいコマンド入力や内蔵火器制御のためにいくつかのボタンがついている。
正太郎の回想ではかつて不乱拳博士が製作した初代ブラックオックスも登場している。正太郎が史上最大の敵と評するほどの強敵であったが、初代鉄人28号との格闘戦で敗れ転倒、不乱拳はその下敷きになって死亡した。
『鉄人28号 (2004年版アニメ)』では、不乱拳博士が鉄人計画に対抗して設計し、終戦後、某国の力を借りて作り上げた高性能ロボット。高い運動性と頑強な装甲を持ち、馬力に関しても鉄人を軽々と持ち上げ投げ飛ばしたり、鉄人の頭部を握り潰してしまう程だが、鉄人との力比べでは負けている。最大の武器は指先から放出される黒い粉末「電波攪乱剤」で、これを大量に空気中に撒く事で操縦電波を遮断し、鉄人の制御を不能にした。また、電波攪乱剤による黒い霧の中に身を隠しつつ攻撃するといった戦法も見せている。ただし、熱線等の遠距離用の武装は持っていない。作中では早い段階から登場し、鉄人を相手に2度の勝利を収めている。
後半では敷島博士によって修復された上、眼に当時最新鋭技術だったテレビジョン装置が増設され、海底に眠る黒龍丸の調査に借り出されるが、謎の蟹型ロボットの攻撃により機能停止した。
それとは別に敷島重工を乗っ取ったビッグファイア博士がブラックオックスの量産体制を整え、日本政府に売り付けるという計画を実行した。これは、黒部ダム建設が人間の力だけでは困難となった為にロボットの導入が決定され、選考レースが行われたが全てのロボットが(ファイア二世の妨害で)棄権したため、それらの代わりとして既に数百機生産されていたブラックオックスが採用されたという経緯がある。
一方、海底に各坐していた元祖ブラックオックスは、某国の支援を受けたニコポンスキーによって修復・再起動するが、某国に見捨てられたニコポンスキーに酷使され、ほぼエネルギーが切れた状態でファイア三世と戦闘、破壊された。
量産型ブラックオックスの方は人工頭脳に破壊命令が残っており、ビッグファイア博士がそこまでチェックせずに単一の人工頭脳でブラックオックス全機を有機的に連携して動かそうとしたため、全機が一斉に黒部ダムへの総攻撃を開始した。その醜態を見た敷島博士は「やはり人間と機械は互いに補い合う『人馬一体』でないと駄目だ。だから『人馬一体』な鉄人は人間の脅威にはならない」旨の感慨を述べた(論旨がおかしいが、本作の敷島博士は金田博士や鉄人の正しさを理屈抜きで妄信している節があった)。
『鉄人28号 (実写映画版)』では背中のロケットによる飛行能力が付加されている。
『鉄人28号 皇帝の紋章』ではアメリカがフランケン博士に建造させたロボットとして登場し、「皇帝の紋章」争奪戦に参戦した。ファイア二世を撃破した後に鉄人と交戦、妨害電波によって鉄人の自由を奪い、鉄人と正太郎を拿捕した。史上初の「考える(人工知能搭載)ロボット」であり、操縦する必要が無い(時々腕時計型の通信装置を介して指示を仰ぐ)ため驚異的な反応速度を誇るが、知能自体は5歳児程度と非常に未熟なため「わざと」飛べないように設計されている(迷子になったら大変な為)。作中では自我を持っているかのような行動が幾度となく見られたが、生みの親であるフランケン博士曰く、「心など無い」との事。正太郎が脱出を果たした後は日時を指定して再戦に臨むと見せかけ、その前日に旅客機の飛来する空港を急襲する。だが妨害電波対策の有線操縦、さらに村雨やアリスとのチームプレイによって未熟な人工知能の隙を突かれ、鉄人の前に破れる。
敗北後、アメリカ側のエージェントがフランケン博士を見限って致命傷を負わせた一部始終を目撃。報復としてエージェントを惨殺した後は、瀕死の博士によってアリスに託され、鉄人とのタッグでギャロンやファイア三世を倒している。アリスがケリーの下へ去った際にはギルバートと共同で鉄人に敵対するが、ケリーの最期に際してはアリスの命令に反してまで彼女を守った。
終盤では鉄人とのタッグを復活させて人工知能ロビーが操る「溶鉱炉(シュメルツ・オーフェン)」と対戦するも、シュメルツ・オーフェンの圧倒的パワーの前に破壊される。その残骸は敷島博士の手によってリモコンと直結されて操縦電波の増幅器となり、シュメルツ・オーフェンを阻止するために捨て身の戦法を取る鉄人へと操縦電波を送り続けた。
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