ヒッポトオス

ギリシア神話の人物 ウィキペディアから

ヒッポトオス古希: Ἱππόθοος, Hippothoos)は、ギリシア神話の人物である。主に、

が知られている。以下に説明する。

アイギュプトスの子

このヒッポトオスは、エジプトの王アイギュプトスの50人の息子の1人である。母親はアラビア出身の女。イストロス、カルコードーン、アゲーノール、カイトス、ディオコリュステース、アルケース、アルクメーノール、エウケーノールヒッポリュトスと兄弟。ダナオスの娘の1人ゴルゲーと結婚したが、他の兄弟たちと同様、結婚相手に殺された[1]

アロペーの子

このヒッポトオスは、エレウシースのケルキュオーンの娘アロペーとポセイドーンの息子ヒッポトオーンの別名[2][3]

アレオスの子

このヒッポトオスは、ヒュギーヌスによるとアウトリュコスの娘ネアイラの息子[4][5]アポロドーロスによると、母ネアイラはペレウスの娘で、アルカディアー地方の都市テゲアーを支配したアレオス王の妻[6])で、リュクールゴス[6]ケーペウスアウゲーと兄弟[5][6]。ヒッポトオスとケーペウスはヘーラクレースとアウゲーの子テーレポスに殺されたため[5]、ネアイラは自殺したという[4]

ヒッポコオーンの子

このヒッポトオスは、スパルタの王ヒッポコオーンの息子で、ドリュクレウス、スカイオス、エナロポロス、エウテイケース、プーコロス、リュカイトス、テブロス、エウリュトス、ヒッポコリュステース、アルキヌース、アルコーンと兄弟。ヒッポコオーンとその息子たちはテュンダレオースイーカリオスを追放して王となったが、後にヘーラクレースとの戦争で討たれた[7]

レートスの子

このヒッポトオスは、テッサリアー地方の都市ラーリッサのペラスゴイ人の王テウタモスの子レートスの子で[8]ピュライオスと兄弟[8][9]アポロドーロスではラーリッサ王ペラスゴスの子[10]トロイア戦争の際に、ピュライオスとともにトロイアを救援して戦った[8][9]。アポロドーロスはラーリッサの武将についてヒッポトオスの名前だけ挙げ[10]プリュギアのダレースはヒッポトオスとクペサスの名前を挙げている[11]

ホメーロス叙事詩イーリアス』によると、ヒッポトオスはヘクトールパトロクロスの遺体から奪ったアキレウスの武具を身に着けて、パトロクロスの遺体をも奪おうとした際に、ともに戦った武将の1人であった[12]。ヒッポトオスはパトロクロスの遺体の両足首を縄で縛って、曳いて行こうとした。しかし乱戦の中から大アイアースが躍り出て、槍でヒッポトオスの兜を突くと、兜は割れてバラバラに散らばり、脳髄をまき散らした[13]パイノプスの子ポルキュスはヒッポトオスを庇おうとしたが、やはり大アイアースに討たれた。アルゴス勢は両者の遺体を運び去り、武具を剥ぎ取った[14]

クレーテーのディクテュスは、パトロクロス埋葬後の戦闘で、ピュライオス、ヒュタルコスの子アシオスとともに討たれたと述べている[15]。プリュギアのダレースもパトロクロス埋葬後の戦闘で、エウペーモス、ピュライオス、アステロパイオスとともに、アキレウスによって討たれたと述べている[16]

プリアモスの子

このヒッポトオスは、トロイアの王プリアモスの子の1人である[17]。アポロドーロスによると庶子[18]。トロイア戦争でメーストールトローイロスヘクトールが戦死したため、他の8人の兄弟ヘレノスパリスアガトーンパムモーンアンティポノスポリーテースデーイポボスディーオスとともにプリアモスから叱責された[19]

ケルキュオーンの子

このヒッポトオスは、アルカディアー地方の王ステュムパーロスの子アガメーデースの子ケルキュオーンの子で、アイピュトスの父。当時のアルカディアー地方を支配したアガペーノール王がトロイア戦争から帰国しなかったため、王権を継承し、王都をテゲアーからトラペズースに移した[20]

脚注

参考文献

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