ハリー・ポッターシリーズの魔法生物一覧 (ハリー・ポッターシリーズのまほうせいぶついちらん)では、J・K・ローリング の小説『ハリー・ポッター 』シリーズに登場する、架空の生物について述べる。
ここでは魔法生物のうち、キャラクターとして登場する名のある個体について述べる。
小鬼(キャラクター)
種については上述の「小鬼 」を参照。
グリップフック(Griphook)
演 - ヴァーン・トロイヤー (映画『賢者の石』)→ワーウィック・デイヴィス (映画『死の秘宝 PART1』以降)
日本語吹き替え - 宮澤正 (映画版)
グリンゴッツ魔法銀行 で働く小鬼。第1巻『賢者の石 』ではハリー・ポッター とルビウス・ハグリッド をグリンゴッツの地下金庫に案内する。
第7巻『死の秘宝 』でふたたび登場。一緒に逃亡していたディーン・トーマス とともに捕まりマルフォイの館の地下牢に監禁されていたが、ハリーたちにより助け出され、ビル・ウィーズリー 邸「貝殻の家 」に滞在し、ハリーに感謝と同情の念を表す。その後、グリンゴッツにあるレストレンジ 家の金庫破りに協力するが、約束を破ってグリフィンドールの剣 を奪い、逃走する。
映画版ではその後、グリンゴッツ魔法銀行で他の小鬼たちとともにヴォルデモートに殺される。
ラグヌックI世(Ragnuk the First)
ゴブリン側の歴史でゴドリック・グリフィンドール に剣を奪われたことになっているが、実際はラグヌックこそがグリフィンドールから剣を不当に奪おうとしていた[4] 。
ゴルヌック(Gornuk)
第7巻に登場。魔法省のダーク・クレスウェル やテッド・トンクス とともに死喰い人のマグル狩りから逃亡していたが、捕まり殺害される。
ボグロッド
演 - ジョン・キー(映画『死の秘宝 PART2』)
日本語吹き替え - 後藤哲夫 (映画『死の秘宝 PART2』)
第7巻に登場。
映画版では、グリンゴッツのレストレンジ家の金庫のまえに配置されているドラゴンの炎に焼き殺される。
ケンタウルス(キャラクター)
映画版のケンタウルス[注 1]
種については上述の「ケンタウルス 」を参照。
フィレンツェ(Firenze)
声 - レイ・フィアロン (映画『賢者の石』)
日本語吹き替え - 宮内敦士 (映画『賢者の石』)
ホグワーツ魔法魔術学校 の禁じられた森 に住むケンタウルス。アルバス・ダンブルドア 校長に協力し、ホグワーツの教員(占い学 教授)となったために群れから追い出される。女生徒からの人気は高いようである。最後の戦いの終結後は仲間と和解し、群れに戻る。
映画では『賢者の石』に登場。
ロナン(Ronan)
禁じられた森に住むケンタウルス。最後の決戦では、他のケンタウルスたちとともにホグワーツ防衛隊に加勢する。
ベイン(Bane)
演 - ジェイソン・パイパー(映画『不死鳥の騎士団』) / ヌーノ・シルヴァ(舞台『呪いの子』ロンドン公演[注 8] )
禁じられた森に住むケンタウルス。荒々しい性格。あごひげがあり、胴体は黒い。最後の決戦では、他のケンタウルスたちとともにホグワーツ防衛隊に加勢する。
マゴリアン(Magorian)
演 - マイケル・ワイルドマン(映画『不死鳥の騎士団』)
禁じられた森に住むケンタウルス。黒髪。アンブリッジに縛りの呪いをかけられる。最後の決戦では、他のケンタウルスたちとともにホグワーツ防衛隊に加勢する。
屋敷しもべ妖精(キャラクター)
種については上述の「屋敷しもべ妖精 」を参照。
ドビー(Dobby)
映画版のドビーをかたどった像(メキシコ ・プエブラ州 )
声 - トビー・ジョーンズ (映画版)
日本語吹き替え - 高木渉 (映画版)
第2巻『秘密の部屋 』より登場。ハリー・ポッター が初めて会う屋敷しもべ妖精。男性。変わり者で、ハリーに対して尊敬の念を抱く。
もともとはマルフォイ家に仕える身だが、主人のルシウス・マルフォイ が「秘密の部屋 」事件を起こそうとしていることを察知し、たびたびハリーのまえに現れては警告を繰り返す。勤勉な正直者だが、非常に要領が悪くあまり有能とはいえず、言ってはならないことを言ったときには、壁や物に頭を連続でぶつけたりしながら「ドビーは悪い子!ドビーは悪い子!」と叫ぶ癖があり、そのためにハリーはかなり手痛い目に遭う。事件解決後はハリーの機転により解放され、就職活動のすえに、週給1ガリオンと月1日の休日[注 9] をもらってホグワーツで働くようになる。思慮深く見識に優れ、屋敷しもべ妖精を本能よりも、立場の悪さで客観的に見るが、同族には「恥、落ちこぼれ」とみなされる。
第2巻では「ハリーを助けたい」という思いが空回りしていたドビーだが、第4巻では「第二の課題」に臨むハリーに鰓昆布 を与えたり、第5巻『不死鳥の騎士団 』ではダンブルドア軍団 の会合場所として「必要の部屋 」の情報を教えたりと、ハリーをたびたび助ける。ハリーのほうもドビーをそれなりに信頼し、第6巻『謎のプリンス 』ではドラコ・マルフォイ の尾行を依頼する。
第7巻『死の秘宝 』で、アバーフォース・ダンブルドア の頼みでマルフォイの館に捕らわれたハリーたちを救うが、逃走の直前にベラトリックス・レストレンジ の投げた小刀が胸に刺さり、ハリーの名前を呟き死亡する。遺体は「貝殻の家」の庭に、ハリーによって埋葬される。塚の頭あたりに置かれた石には、ハリーにより「自由なしもべ妖精 ドビー ここに眠る」と刻まれる。
映画版での登場は『秘密の部屋』と『死の秘宝 PART1』のみであり、鰓昆布や「必要の部屋」の件はネビル・ロングボトム がドビーの役割を担う。
ウィンキー(Winky)
クラウチ家に仕えてきた屋敷しもべ妖精。女性。優しく細やかで情に厚い性格。高所恐怖症。日本語版では尊敬語と謙譲語をよくとり違えて話す。
第4巻『炎のゴブレット 』に登場。バーテミウス・クラウチ・シニア を主人としていたが、クィディッチ のワールドカップ直後、死喰い人 騒ぎの現場に居合わせたことで、クラウチ家を解雇される。その後、マルフォイ家から解放されたドビーとともにホグワーツへ再就職する。しかし解雇されたあともクラウチ家に忠実であり続け、ホグワーツでは飲んだくれて[5] 、まったく働かない模様である。なおクラウチ家解雇後は、しょっちゅう泣いていたようである。
じつはシニアの息子バーテミウス・クラウチ・ジュニア が母親と入れ替わって脱獄した後、クラウチ家でジュニアを世話していた。幽閉状態のジュニアを思い、彼をクィディッチのワールドカップ見物に行かせるよう主人に懇願して実現するが、彼女が見張りを怠ったためジュニアが死喰い人騒ぎを起こしたとされたのが、クラウチ家解雇の真実である。法を遵守する主人にとって、ジュニアの脱獄は絶対に知られてはならない秘密であったため、彼女もアラスター・ムーディ に化けていたジュニアから真実を聞くまで、その口を固く閉ざす。
第7巻発売後の作者ローリングへのインタビュー[ 要出典 ] では、ホグワーツ最終決戦には後述のクリーチャーとともに参加し、決戦後もホグワーツにいるとされた。
映画版には未登場。
クリーチャー(Kreacher)
声 - ティモシー・ベイトソン (『不死鳥の騎士団』)→サイモン・マクバーニー (『死の秘宝 PART1』)
日本語吹き替え - 柴田秀勝 (映画版)
ブラック家 に仕える屋敷しもべ妖精。男性。主家が純血主義 だったため、彼自身にも純血主義的な言動が見られ、また嫌味な独り言を言う癖がある。
第5巻で実家に帰ってきたシリウス・ブラック に仕えるが、ブラック家の理念に反するうえに、自分を無視するという形で虐待するシリウスには、必ずしも従順ではない。シリウスの死後はその遺言によりハリーに仕えるが、ハリーのことも快く思わない[注 10] 。
自分のことを可愛がったレギュラス・ブラック のことを大切に思っており、そのため、第7巻でハリーからレギュラスのロケットを贈られて以降、甲斐甲斐しく仕えるようになり、「穢れた血 」と蔑んでいたハーマイオニーにさえ敬意を払う。ただし、お辞儀をしようとすると体がいうことを聞かず痙攣する。第7巻終盤では、ホグワーツの屋敷しもべ妖精を率いてホグワーツの戦いに参加する。
映画版では『不死鳥の騎士団』と『死の秘宝 PART1』に登場。
ホキー(Hokey)
ヘプジバ・スミス を主人としていた屋敷しもべ妖精。女性。誤って主人のココアに毒を盛って殺したとされ、アズカバンに投獄される。実際は、ヴォルデモートがスミス殺害の罪をホキーに着せたのではないかとアルバス・ダンブルドア は推測する。死の直前、ダンブルドアによって記憶を採取される。
映画版には未登場。
水中人(キャラクター)
種については上述の「水中人 」を参照。
マーカス(Murcus)
ホグワーツ近くの湖 に住んでいる水中人(マーピープル)の女の長。第4巻の、三校対抗試合第二の課題で、時間切れになったハリーをマーミッシュ語 で弁護する。
巨人(キャラクター)
種については上述の「巨人 」を参照。
フリドウルファ(Fridwulfa)
ルビウス・ハグリッド の母親。英国で最後の巨人であったが、死亡した。
カーカス(Karkus)
7、8メートルある頭(ガーグ)。ハグリッドに好意的だったが、ゴルゴマスに殺された。
ゴルゴマス(Golgomath)
カーカスを倒し、新しくガーグになった巨人。
グロウプ(Grawp)
演 - トニー・モーズレー (映画版)
ハグリッドの異父弟。ハグリッドと違って純粋な巨人族であったが、巨人としてはかなり小さい体であるためにハグリッド同様母親に捨てられ、他の巨人からいじめられていた。最初はホグワーツの禁じられた森に連れてきたハグリットの言うことをまったく聞かなかったが、会話ができるようにまでなる。第7巻終盤のホグワーツ最終決戦にも、ホグワーツ防衛隊の一員として参加する。
その他のキャラクター
バンジー
セキセイインコ。第5巻で水上スキーを覚えたことが、マグルのニュースで報じられる。
注釈
ただし、ダンブルドアの校長室にいるフォークス はイカの甲をついばむことがある。
Spewは英語で吐瀉物・反吐といった意味のスラングになる。ロン・ウィーズリー も、本人たちが求めていないものを与えようとする理念に絡めて揶揄する。
ダンブルドアの提示した額はもっと高額であったが、ドビー自身が値切る。
このことは第7巻では「『例のあの人』と目をあわせると即死する」という迷信の由来となっていたようである。
このときリドルは、マートルを生贄に自分の日記を分霊箱にした。
出典
ニュート・スキャマンダー(J・K・ローリング)『幻の動物とその生息地』静山社、2001年。