解説文に記されているM.O.M.分類とは、魔法省 (Ministry of Magic)による生物の危険度を示したもので、Xの数が多いほど危険な生物ということになっている。ただし一部に例外があり、ケンタウルス ・水中人 ・一角獣 は「攻撃的なわけではなく相手に尊厳をもっての待遇を求める」という意味で「XXXX」、不死鳥 はその飼育の困難さにより「XXXX」、スニジェット は希少な保護動物であるため「XXXX」となっている。
ヒトたる存在
俗に言う亜人 。これへの分類を拒否したのはケンタウルス 、水中人 、霊魂(ゴースト)。可能性があるのはヴィーラ 、巨人 、小人 、泣き妖怪 、ニンフ 、屋敷しもべ妖精 (ここでは動物 と分類する)。
狼人間 / 人狼(Werewolf)
映画版の狼人間 原作と異なり尾を持たないほとんど無毛のヒト型の外見をしている[注 1]
M.O.M.分類:XXXXX
原産地:北ヨーロッパ(推測)
ふだんは人間だが、一か月に一度の満月の夜、凶暴な狼の姿に変身する。狼との外見上の違いはほとんどないが、人間的な瞳孔、短い口吻、房飾りのある尾、無闇に人間を襲う習性で区別することができる[3] 。
狼の姿のときは積極的に人を餌食にしようとする習性のために差別を受け、社会生活において非常に不利な状況下にいる。そのことを促したのがドローレス・アンブリッジ が発案した「反人狼法」である。狼人間には粗野で暴力的な人間が多いとされるが、経済的に不利なため盗みなどに走り、それが定着したとも考えられる。リーマス・ルーピン などの立派な人格者もわずかにいるが、狼人間のほとんどはフェンリール・グレイバック などのように闇の陣営に付いている。
狼人間の治療法はないが、トリカブト 系脱狼薬によって症状を軽減し、変身時も正気を保てるようになってきている。また狼人間の形質は子供には遺伝しない。満月の夜、狼人間同士が交尾をしても「生まれながらの狼人間」はできず、非常に知性的で、通常の狼よりもさらに温厚な狼が生まれる。狼人間は満月の夜に狼の姿の狼人間が人間を噛むことでのみ増える[3] 。
狼となった際に人間を襲う一方、動物を襲うことはないようで、むしろ友好的に接することもある。これを利用してルーピンの友であるジェームズとシリウス、ピーターは動物に変身をして狼の状態となったルーピンと一緒に遊ぶことで孤独に苦しんでいたルーピンの悩みの解決をしたこともあった。
鬼婆 (Hag)
子供を食す。
小鬼 / ゴブリン(Goblin)
血を好む傾向にあり、小さな身体に似合わず力も強い。優秀な宝の番人で、経済感覚が発達しており、それだけに守銭奴でもある。言語はゴブリディグック語。「ブラッドヴァッグ」が「つるはし」という意味の単語であるということが記されている。グリンゴッツ魔法銀行 の職員を務めており、ふだんは物腰柔らかく魔法使いに接しているが、内心は経済的な利益のために接しているだけのようにも思える。また、丁寧な口調のなかにも慇懃無礼な要素が含まれていることもある。彼らは杖を持っているわけではないが、金属器などの道具を作る特別な魔法を知っており、グリフィンドールの剣 などは彼らが作った。小鬼の作る武器は汚れを落とす必要もなく、小鬼製の銀はそれ自身を強化するもののみを吸収する。一部のゴブリンは、彼らの考え方で言うと物を「買い取った者」ではなく、物を「作った者」が真の所有者であり、売った物は与えたのではなく、貸したと考えているため、人間が「購入」後に承継するしきたりを敵視している。
吸血鬼 (Vampire)
原産地:トランシルヴァニア 、シュヴァルツヴァルト (推測)。
サングィニという吸血鬼が一度だけ登場する。ルーナは、ルーファス・スクリムジョール は吸血鬼だとハリーに語る。
吸魂鬼 / ディメンター(Dementor)
映画版の吸魂鬼[注 1]
地上を歩く(実際には滑っているが、便宜上このように表現)生物のなかで、もっとも忌まわしきもののひとつといわれる。人間の心から発せられる幸福・歓喜などの感情を感知し、それを吸い取って自身の糧とする。眼のあるはずのところに口があり、そこから「吸魂鬼の接吻(ディメンターのキス)」と呼ばれているものを施す。口から魂を吸い取られた人間は死ぬわけではないが、抜け殻のようになり、記憶もなくなる。その影響力は凄まじく、吸魂鬼が周囲にいるだけで人間は活力を失う。とくに、ハリー・ポッター のように過去に悲惨な記憶を持つ者ほど、吸魂鬼の影響を受けやすく、吸魂鬼に幸福・歓喜の感情を吸い取られると、その悲惨な記憶がよみがえる。ハリーの場合はそのまま失神する。ただし、吸い取れるのは前述の感情のみで、それ以外の感情(妄執など)は吸い取れない。動物の感情も吸い取れないうえに、眼窩は存在するが目玉がないため目が見えず、動物もどき が動物に変身すると感情を吸い取れなくなる。
全身がマントに覆われているため、黒い人影のように見え、とても背が高い。頭巾をすっぽりとかぶっており顔を見た者はそうそういない[注 7] 。その理由は、見た者のほとんどが吸魂を施されているためである。ただし、このように見えるのは魔法が使える人間のみで、マグル やスクイブ はその姿を見ることはできず、霧のように感じる。ただし、スクイブであるアラベラ・フィッグ は、見えなくても吸魂鬼の仕業であると分かるだけの知識を持つと作者のローリングが説明[ 要出典 ] している。
吸魂鬼に向かって「守護霊の呪文 (パトローナス・チャーム)」を使用すると追い払える。守護霊の呪文は非常に高度であり、習得するのが難しい。
ルーピンによると、鬱になったときはチョコレート を食べると気分が良くなる。
前述の能力から吸魂鬼は魔法界で非常に恐れられており、長らくアズカバン の看守を務めてきたが、第5巻初頭でハリーを罠にかけるためにドローレス・アンブリッジ の命令でハリーを襲撃し、近くにいたダドリー・ダーズリー を昏倒させる。第5巻終盤でヴォルデモート に与し、アズカバンを棄てる。アルバス・ダンブルドア は当初からこのことを予見していたため、吸魂鬼をホグワーツに入れることに反対する。第6巻では吸魂鬼がイギリス中に現れたため、イギリス全域が霧に覆われる。第7巻では死喰い人 が吸魂鬼を呼び出し、完全に闇の勢力の一員となる。
吸魂鬼の設定は、ローリングがうつ病 に罹患した時の心理状態をもとに考え出したとされる。映画『アズカバンの囚人』DVDのメイキングでは、「十代のころ、黒いフードを被った人影の夢を見た」と語っている。
「吸魂鬼」という訳語は、松岡佑子 が吸血鬼 をもとに考え出した造語である。日本語版では「吸魂鬼」の記述が多く用いられているが、ルビは「きゅうこんき」「ディメンター」双方あり、統一されていない。映画版の日本語吹き替えでは、「ディメンター」で統一されている。
映画版では吸魂鬼が姿を見せると周囲の気温が下がり、ガラスについた水滴や池などが凍りつき草花は枯れる。原作とは異なり飛行することもできる。
魔法植物
悪魔の罠(Devil's Snare)
暗闇と湿気を好む蔓草で、生き物に巻きついて絞め殺そうとする。日の光に弱い。
暴れ柳(Whomping Willow)
映画版の暴れ柳[注 1]
触られるのを嫌い、近づくものを攻撃する柳。幹のどこかにある、ある点を突くと動かなくなる。
アビシニア無花果(Abyssinian Shrivefigs)
ハリーたちは薬草学 の授業で、これの大木の剪定作業をする。
鰓昆布(えらこんぶ、Gillyweed)
深緑色の昆布で、ぬるぬるしている。これを食べると1時間、耳の後ろに鰓 (えら)が生え、鰓呼吸が可能になる(映画版では薬草学者から塩水 と淡水 で効果が違うのでは、という意見も出ている)。第4巻で、第二の課題をこなすためにハリー・ポッターが使用する。このとき、ハリーは原作ではドビー から、映画版ではネビルからこれをもらう。どちらもアラスター・ムーディ に化けたバーテミウス・クラウチ・ジュニア がセブルス・スネイプ の薬品庫から盗んだものである。
飛びはね毒キノコ(Leaping toadstool)
薬草学の授業でアーニー・マクミラン がそれの入ったバケツを取ってほしいとハリーに声をかける。
花咲か豆(Puffapod)
ふっくらしたピンクの鞘がなった豆の木。豆はつやつやしており、扱いに気をつけないとすぐ花が咲く。ロンは薬草学の授業でうっかり床にばらまき、豆が次々に花を咲かせる。
ひらひら花(Flitterbloom)
触手がある。鉢植えが、悪魔の罠の切り枝に似ているらしい。
ピョンピョン球根(Bouncing Bulb)
薬草学の教材の一つ。植え替え作業中に、ハリーの顔にぶつかる。
ブボチューバー(Bubotuber)
通称「腫れ草」。真っ黒で太い大ナメクジが土を突き破って直立しているような姿をしている。かすかにのたくるように動き、一本一本にてらてらと光る大きな腫れ物が噴き出し、そのなかに膿が詰まっている。膿は黄緑色で石油臭がし、直接触ると皮膚に害が出るが、頑固なにきびに効果がある薬を作れる。
ブルブル震える木(Flutterby Bush)
薬草学の授業でハーマイオニーが剪定をする。大きな鉢に植えられており、風もないのにさざなみのようにゆっくりと葉が震える。
マンドレイク (Mandrake)
映画版のマンドレイク[注 1]
別名「マンドラゴラ(Mandragora)」。泣き声を聞いた者は命を落とす(若いマンドレイクの場合は数時間気絶する)ので、扱うときは耳栓が必要である。姿形を変えられたり、呪いをかけられた人をもとの姿に戻すのに使われる。たいていの解毒剤の主成分になる。紫がかった緑色のふさふさした葉が頭から生えた、醜い男の赤ん坊の姿をしている。
毒触手草 / 有毒食虫蔓(Venomous Tentacula)
第2巻に登場する長い触手を持つ、棘だらけの暗赤色の植物。歯が生えている。第5巻以降は、有毒食虫蔓と訳されている。薬草学の授業で、背後から突然つかみかかったりする。有毒食虫蔓の種はC級取引禁止品で、ずる休みスナックボックス の材料になる。
ミンビュラス・ミンブルトニア(Mimbulus mimbletonia)
ネビルが誕生日に叔父からもらう植物。グリフィンドール談話室の合言葉にもなる。アッシリア の辺りに生えているらしい。小さな灰色のサボテン のような形をしており、針の代わりにできもののようなものが表面を覆っている。ホグワーツにもないと思われる希少な植物。かすかに脈を打っていて、成長すると音を出す。防衛機能を持っており、ネビルが羽根ペンの先でつつくと、おできというおできから暗緑色の臭い液体がどっと噴き出す。この「臭液」はとても臭いが、毒ではない。
ラッパ水仙(Daffodil)
ラッパを吹き鳴らす水仙。スプラウトが育てている。
キーキースナップ(Screechsnap)
「キーキー」とわめく植物。薬草学の教材のひとつ。
牙つきゼラニウム(Fanged Geranium)
薬草学の試験で、ハリーが少し噛まれる。
スナーガラフ(Snargaluff)
株は節くれだっていて、先端から長い棘だらけの茨のような蔓を出し攻撃する肉食植物。蔓を2本捕まえて結び合わせると、触手のような枝と枝の真ん中に穴が開くが、この穴のなかには気味悪く脈打つグレープフルーツ大の緑色の豆が入っている。スナーガラフの豆は非常に堅く、割るには鋭いもので穴を開ける必要がある。豆のなかには芋虫のようにうごめく、薄緑色の塊茎が詰まっている。