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トルエンジイソシアネートは、通常TDIと略され、芳香族ジイソシアネートの1つである。TDIには、2,4-TDI、2,6-TDIの2種類の異性体が存在している。一般的には2,4-TDI(80%)と2,6-TDI(20%)の混合物として製造されている。
トルエンジイソシアネート (2,4-TDI/2,6-TDI=80/20混合品) | |
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別称 Tolylene diisocyanate Methyl-1,3-phenylene diisocyanate | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 26471-62-5 |
特性 | |
化学式 | C9H6N2O2 |
モル質量 | 174.2 g/mol |
外観 | 無色〜淡黄色液体 |
密度 | 1.22 g/cm3 |
融点 |
11.5℃〜13.5℃ |
沸点 |
251℃ |
水への溶解度 | 水と反応する |
危険性 | |
引火点 | 127℃ |
関連する物質 | |
関連するイソシアネート | ジフェニルメタンジイソシアネート ヘキサメチレンジイソシアネート イソホロンジイソシアネート ナフタレンジイソシアネート |
関連物質 | ポリウレタン |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
TDI製造プロセスは以下の工程からなっている[1]。
TDIの過剰暴露は、気管支喘息へと繋がる可能性のある呼吸器系への影響を引き起こすので、労働安全衛生法で規定された管理濃度(0.005ppm)、日本産業衛生学会が勧告する許容濃度(TWA 0.005 ppm (0.035 mg/m3)、最大許容濃度 0.02 ppm(0.14 mg/m3))を厳守する必要がある。一度気管支喘息を起こすと、ジイソシアネートに対して過敏となり、許容濃度以下であっても再び気管支喘息を引き起こす可能性がある。TDIの蒸気、エアゾール或いはミストは、眼への刺激を引き起こす。TDIは、中程度の皮膚刺激性を有しており、稀に皮膚感作や皮膚炎を起こす。TDIを誤って飲み込んだ場合の毒性はあまり大きくはないが、呼吸器系への吸入により毒性が現れる。TDI暴露下で働く労働者の健康に関して長期的な研究がなされているが、呼吸器系の症状以外で暴露に関連した臨床上の影響は報告されていない[2]。TDIが陸上や水中の動植物へもたらす毒性は小さく、水と反応し固体のポリ尿素化合物を生成するので、TDIの漏出による環境影響はわずかである[3]。
国内外の主たるTDI製造会社は、「国際イソシアネート協会(International Isocyanate Institute、略称:III)」に属している。IIIは、作業場、共同場所及び環境での安全なTDIの取扱いについて、調査研究を行っている。日本国内では、TDI、MDI及びHDIの製造会社は、「ウレタン原料工業会、略称:JURA」に属しており、作業場、共同場所及び環境での安全なTDI取扱いに関する啓蒙活動を行っている。
TDIに関しての個人用保護具の取扱い、輸送・保管・サンプリング・分析時の暴露モニタリング方法、トラブル対処方法及び健康・環境面での注意事項が、文献にまとめられている[2]。欧州におけるTDIの危険有害性の分類及びラベルの詳細については、「European Diisocyanate and Polyol Producers Association、略称:ISOPA」のウェブサイトから入手できる[4]。TDIに関する詳細な情報を含んだREACHデータベースは、「European Chemicals Agency、略称:ECHA」から入手できる。
日本におけるTDIのGHS分類や製品安全データシート(SDS)は、独立行政法人 製品評価技術基盤機構(略称:NITE)のウェブサイト 、厚生労働省のウェブサイトあるいはウレタン原料工業会(JURA)とウレタンフォーム工業会(JUFA)の両者で組織した日本ウレタン工業協会 (JUII) のウェブサイトから入手出来る[5]。
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