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テンジクザメ目(テンジクザメもく、Orectolobiformes)は、軟骨魚綱板鰓亜綱の下位分類群で、サメのグループの一つ。7科13属44種を含み、サメの中ではメジロザメ目、ツノザメ目に次いで3番目に種数が多い。分布域はインド太平洋の熱帯から温帯で、例外的にコモリザメが大西洋に、回遊性のジンベエザメが世界中に広く分布する。
口は目の前方に開く。目に瞬膜がない。目の後ろに噴水孔がある。5対の鰓裂のうち、後ろの2-4対は胸鰭原基(胸鰭の始まり)の上方か後方にある。棘のない2基の背鰭をもつ。臀鰭をもつ。
小型種から大型種までサイズは多様である。ジンベエザメ科唯一の種であるジンベエザメは全長13.7mに達し、サメの現生種としては最も大きい。コモリザメ科・トラフザメ科も最大全長が3mを超える大型種を含む。一方、クラカケザメ科・ホソメテンジクザメ科・テンジクザメ科は比較的小型で、1m前後かそれ以下である。オオセ科は全長60cm程度の小型種から3mの大型種まで含む。
ジンベエザメは表層性で回遊を行い、動物プランクトンを主食にしている。その他は基本的に底生性で、沿岸の浅海に多く生息し、獲物はサメやエイを含む魚類や甲殻類、頭足類、貝類、棘皮動物まで多岐に渡る。
繁殖形態は胎生か卵生。胎生種は胎盤を形成せず、ホソメテンジクザメ科・オオセ科・ジンベエザメ科・コモリザメなど多くは栄養を卵黄嚢から吸収する方式をとるが、子宮内の他の卵を食べて成長する卵食型(オオテンジクザメ)も見られる。クラカケザメ科・テンジクザメ科・トラフザメ科は卵生である。
7科に分かれる。テンジクザメ目のサメが単系統のグループであることが認められたのは、比較的近年になってからのことである。19世紀から20世紀初頭までは、高度に特殊化したジンベエザメは単独の科に、他のテンジクザメ類はトラザメ類と同じ科に分類する考えが主流であった。テンジクザメ類が単系統であることを最初に唱えたのはRegan (1906)で、ジンベエザメと他のテンジクザメ類を同一のOrectolobidae科としてまとめた。その後Orectoloboidea上科が設定され、テンジクザメ類は複数の科に細分化されていく。1970年代に入ると、Compagno (1973)がテンジクザメ目 Orectolobiformesを認め、その下に7科を置く考えを発表し、ここに示したNelson(2006) の分類体系が形成された。
クラカケザメ科 Parascylliidae。2属8種。形態は他のテンジクザメ目のいずれの科とも異なり、むしろメジロザメ目のトラザメ類によく似ている。クラカケザメ属は東シナ海から日本近海まで、Parascyllium属はオーストラリア沿岸にのみ分布する。クラカケザメ属に独立した科 (Cirrhoscylliidae)を設ける説もあるが、Parascylliumとは非常に近縁であるため同一の科に分類される傾向にある。
ホソメテンジクザメ科 Brachaeluridae。1属2種。オーストラリア沿岸海域からのみ知られている。Compagno (1973)が独立の科として設定するまではオオセ科に含められていた。
オオセ科 Orectolobidae。3属12種。カスザメ類のように上下に縦扁した体と、カモフラージュのための模様が特徴的なグループである。太平洋西部に分布し、とくにオーストラリア周辺海域で多様化している。
テンジクザメ科 Hemiscylliidae。2属17種。多くが1mに満たない小型種で、胸鰭を使って這うように移動する。モンツキテンジクザメ属はオーストラリアからニューギニアの限られた海域でのみ見られるグループで、頭部と胸鰭の上部に比較的大きな暗色斑があることが特徴。テンジクザメ属はインド太平洋に広く分布し、そのような模様が見られない。
コモリザメ科 Ginglymostomatidae。3属4種。
ジンベエザメ科 Rhincodontidae は、ジンベエザメ Rhincodon typus の1属1種。形態、生態のいずれもが際立って特徴的である。世界中の熱帯から温帯海域に分布し、回遊を行う。動物プランクトンを濾過摂食する。
トラフザメ科 Stegostomatidaeは、非常に特異的なトラフザメ Stegostoma fasciatum の1属1種のみ認められている。長い尾鰭が特徴で、幼魚と成魚で著しく異なる体色パターンを示す。インド太平洋の沿岸海域に分布する。
次のような系統樹が得られている。タンビコモリザメはコモリザメ科よりトラフザメ科に近縁という結果が出ている[2]。
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