ポーカー・ハンドの一覧(ポーカー・ハンドのいちらん)は、一般的なルールにおけるポーカー・ハンドを一覧にしてまとめたものである。ここで、ポーカー・ハンドとは、ポーカーにおける5枚のカードの組み合わせの名称であり、日本語では「役」と呼ばれることがある。
多くのルールにおいて、難易度の高い組み合わせのほうが強いとみなされる。ゲームによっては特別な役が採用されたり、役の強弱が変わることもある。
これらの役は基本的にはポーカーで使用されるものだが、他のカードゲームでも使用されることがある。ポーカーダイスでもこれらの役が使用される。
役の相対的な強弱は、1セットのデッキから5枚引いてそれらができる確率によって決定される。
基本的なルール
この項のルールは、他に規定がない限り全てのポーカーで適用される。このルールの下で、手札は7462段階の順位付けがされる(同じ役同士の強弱を含む)。
全ての手札の強弱は、役を構成する5枚のみで決定される。セブンカード・スタッドやテキサス・ホールデムのように7枚のカードがあっても、役に関係ない2枚は強弱に影響しない。 たとえば、プレイヤーAが を持ちプレイヤーBが を持っていて、 が共通のカードであるとする。このとき両者の役は 3-4-5-6-7 のストレートであり、引き分けとなる。プレイヤーBの手にあるクラブのキングはプレイヤーAの手にあるダイヤのクイーンより強いが、役に関係ないので無視される。
個々のカードの強弱は、A(最強), K, Q, J, 10, 9, 8, 7, 6, 5, 4, 3, 2(最弱)の順となる。ただし、Aは A-2-3-4-5 の形のストレートまたはストレートフラッシュの場合に限り1として扱われ、2よりも下の扱いとなる。個々のカードの強弱は、同じ役の強弱を決めるために使用される。
カードのスートは、フラッシュやストレートフラッシュの役の条件となる以外には通常は意味を持たない。ただし、スタッド・ポーカーにおける行動順の決定に使用される場合にはスートに強弱がつけられる。
手の強弱は、まず役の強弱で決定される。たとえば、 はツーペアの中で最も弱い手であるが、下の役であるワンペアやハイカードよりも強い。 のように、ツーペアのペアよりも強いカードが入っていても関係ない。役が同一の場合は、個々のカードの強弱を見る。
役は、カードの並び順とは関係なく決定される。たとえば、 は と同じ手であり、スリー・オブ・ア・カインドとみなされる。
52枚のカードから5枚のカードを選ぶ組み合わせは、2598960通りある。
役の一覧
ここでは、強い役から順に紹介する(そのため、詳細は弱い役を参照のこと。また弱い役と強い役の両方の条件を満たす場合は強い役とする。ローポーカーの場合で弱い役と強い役の両方を満たす場合は、弱い役とする。)。
ストレートフラッシュ
ストレートフラッシュは、 のように同じスートで数字が連続する5枚のカードで構成された役である。つまり、フラッシュの条件とストレートの条件を同時に満たしている。
ストレートフラッシュ同士の手の強弱は、ストレートと同じ方法で行う。
5からAまでのストレートフラッシュのことを "steel wheel" とも呼ぶ[1]。
のようなAから10までのストレートフラッシュのことを、「ロイヤルフラッシュ」とも呼ぶ。この役は、一般的なルールにおいて最も強い役である。日本では「ロイヤルストレートフラッシュ」と呼ぶことがある。ロイヤルフラッシュをストレートフラッシュの一種にするか、別として扱うかはゲームによって違い、ポーカー・ソリテールのイギリス式スコアではどちらも同じである。
ロイヤルフラッシュを含め、40通りのパターンがある。ランダムに選んだ5枚のカードでこの役ができる確率は以下の通りである[Note 1]。
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また、ロイヤルフラッシュの確率は以下の通り。
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フォー・オブ・ア・カインド
フォー・オブ・ア・カインドは、 のように同じ数字のカードを4枚集めた役である。日本ではフォーカード、新大陸などではクアッズ(Quads)と呼ばれることもある。
フォー・オブ・ア・カインド同士の強弱は、4枚あるカードの数字を比較する。各自が別のカードを持つ場合には同じ数になることはない。テキサス・ホールデムのように共有カードがある場合やワイルドカードがある場合、4枚のカードが同じ数になることがある。この場合、残った1枚の強弱で最終的な強弱を決定する。残った1枚も同じ数の場合は引き分けである。たとえば、 と では前者の勝ちである。
フォー・オブ・ア・カインドには624通りの組み合わせがある。ランダムに選んだ5枚のカードでこの役ができる確率は以下の通りである。
フルハウス
フルハウスは簡単に言えば、 のように手札の5枚でワンペアとスリーカードを同時に成立させる役である。
フルハウス同士の強弱は、まず3枚組の強弱を比較する。たとえば、 は より強い。共通カードもワイルドカードもなければここで決まる。3枚組が同じ数だった場合、残ったペアを比較する。たとえば、 は よりも強い。これも同じだった場合は引き分けである。
フルハウスの手札は、"3枚組の数 full of ペアの数" または "3枚組の数 over ペアの数" という形で呼ばれることがある。たとえば、 という手は "Queens full of nines", "Queens over nines" またはもっと簡単に "Queens full" と呼ばれる。
フルハウスには、3744通りの組み合わせがある。ランダムに選んだ5枚のカードでこの役ができる確率は以下の通りである。
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フラッシュ
フラッシュは、 のように同じスートのカード5枚で構成される役である。もし5枚のカードが連続していた場合、ストレートフラッシュという上位の役になる。
フラッシュ同士の強弱の決め方はハイカードと同じである。すなわち、それぞれのもっとも強い札が強い方が強い。1番強いカードが同じだった場合、2番目・3番目と順に強弱が決まるまでくらべる。全て同じ数だったら引き分けである。スートの種類は強弱には関係ない。
フラッシュの手は、その最大のカードを追加して呼ぶこともある。たとえば、 という手は「クイーン-ハイ フラッシュ」と呼ばれる。2枚目も重要なときには、 を「キング-10-ハイ フラッシュ」または「キング-10 フラッシュ」、 を「キング-クイーン-ハイ フラッシュ」のように、2枚目のカードを含めて呼ぶこともある。共通カードを使用する場合には、手札のカードを言う場合もある。たとえば、共通カードが で、手札が の場合「クイーン-ハイ フラッシュ」という。
フラッシュには5148通りの組み合わせがある(ストレートフラッシュの40通りは含まない)。ランダムに選んだ5枚のカードでこの役ができる確率は以下の通りである。
ストレート
ストレートは、 のように数字が連続した5枚のカードによって構成される役である。5枚のスートがすべて同じ場合は、ストレートフラッシュという上位の役となる。
ストレート同士の強弱は、最上位のカードの強弱で決まる。同じ数で始まる場合は引き分けである。スートの強弱や枚数は考慮しない。
ストレートは、最上位のカードを添えて呼ばれる場合がある。たとえば、 は「10-ハイ ストレート」などと呼ばれる。
のような「A-ハイ ストレート」(Broadway とも呼ばれる[2])は、 のような「K-ハイ ストレート」よりも上位であり、ストレートの中で最も強い。同じAを含むストレートでも は「5-ハイ ストレート」(Wheelとも呼ばれる[3])は、ストレートの中で最も弱い。Aが使用できるのはこの2種類のみであり、 のように 2-A-K の組み合わせを含むものはストレートとみなされない。
ストレートには10200通りの組み合わせがある(ストレートフラッシュの40通りは含まない)。ランダムに選んだ5枚のカードでこの役ができる確率は以下の通りである。
なお確率をフラッシュと比べた場合、上記の場合ではストレートはフラッシュより倍近く確率が高いが、すでに4枚揃っていて後1枚で役が完成するという状況では、フラッシュの方が揃う確率は高い。
スリー・オブ・ア・カインド
スリー・オブ・ア・カインドは、 のように、同じ数字の札3枚と数字の違う2枚の札から構成される役である。残りの2枚が同じ数の場合はフルハウスという上位の役になる。日本ではスリーカード、新大陸ではトリップス(trips)・セット(set)とも呼ばれる。テキサス・ホールデムなどのフロップ・ポーカーにおいて「セット」と呼ばれるのは、手札2枚と場札1枚で同じ数字が3枚そろう場合に限られる[4]。
スリー・オブ・ア・カインドの強弱は、3枚そろっている札の強弱で決まる。たとえば、 は よりも強い。もし3枚のカードが同じ場合、残った2枚を強い順に比較する。たとえば、 は よりも強い。これらも同じ数だった場合は引き分けである。
スリー・オブ・ア・カインドには54912通りの組み合わせがある。ランダムに選んだ5枚のカードでこの役ができる確率は以下の通りである。
ツーペア
ツーペアは、 のように、同じ数の2枚組を2組と他のカード1枚で構成された手札の5枚でワンペアを2組成立させる役である。
ツーペア同士の強弱は、大きい方のペアの数字・小さいペアの数字・残り1枚の順に比べる。たとえば、 は よりも強く、 は よりも強く、 は よりも強い。全て同じの場合は引き分けになる。
ツーペアをペアの数字で呼ぶことがある。この場合、強い数字を先に言う。たとえば、 を "Kings over nines", "Kings and nines" などと呼ぶ。9のペアが重要でないときには単に "Kings up" という場合もある。
ツーペアには123,552通りの組み合わせがある。ランダムに選んだ5枚のカードでこの役ができる確率は以下の通りである。
ワンペア
ワンペアは、 のように、同じ数字の2枚組とそれぞれ異なった数字の札3枚によって構成される役である。
ワンペア同士の強弱は、まずペアの数字を比較する。同じだった場合には残ったカードを順に比較する。全て同じなら引き分けとなる。
ワンペアには1098240通りの組み合わせがある。ランダムに選んだ5枚のカードでこの役ができる確率は以下の通りである。
ハイカード
ハイカードまたはノーペアは、 のように上述の役が1つも成立しない手である。
ハイカード同士の強弱は、個々のカードを強い順に比較することで決定される。
ハイカードは、「K-ハイ」「A-Q-ハイ」のように上位のカードによって呼ばれることがある。また、"garbage"・「ブタ」といった否定的な言葉で呼ばれることもある。
ルール上最も弱い手は、 のような 7-5-4-3-2 の組み合わせである。6以下のみの組み合わせの場合、 のようなストレートになるか のようなAを含む手になる。
52枚から5枚を選ぶ2598960通りの組み合わせのうち、1302540通りがハイカードになる。この確率は以下のようになる。
確率
5枚のときの確率
各項であげた確率を再掲する。
役 | 組み合わせ | 確率 |
---|---|---|
(ロイヤルストレートフラッシュ) | 4 | 0.00015% |
ストレートフラッシュ | 36+4 | 0.0015% |
フォー・オブ・ア・カインド | 624 | 0.024% |
フルハウス | 3744 | 0.14% |
フラッシュ | 5108 | 0.20% |
ストレート | 10200 | 0.39% |
スリー・オブ・ア・カインド | 54912 | 2.1% |
ツーペア | 123552 | 4.75% |
ワンペア | 1098240 | 42.25% |
ハイカード | 1302540 | 50% |
合計 | 2598960 | 100% |
ワイルドカードを含む場合の確率
ワイルドカードを含む場合、高い手ができる確率が上がる。
ここでは、ジョーカーをワイルドカードとして使用したときの確率を2つあげる。
ジョーカー1枚を含む53枚から5枚を取る組み合わせは2869685通りである。
ファイブ・オブ・ア・カインドは、同じ数字4枚とワイルドカードで構成される役である。この役の組み合わせ総数は13通りであり、ストレートフラッシュよりも難度が高い。この役ができる確率は 0.00045% である。この役はストレートフラッシュより上位の役となるが、ジョーカー抜きのロイヤルストレートフラッシュをその上に設定することもある。
ジョーカーの入ったツーペアは、通常存在しない。「ペア2組+ジョーカー」はフルハウスであり、「ペアと異なった数字2枚+ジョーカー」はスリー・オブ・ア・カインドとみなされるからである。後者の組み合わせ総数は82368通りあり、これを加味するとスリー・オブ・ア・カインドができる確率(4.8%)がツーペアができる確率(4.3%)を上回ってしまう。
7枚のときの確率
セブンカード・スタッドやテキサス・ホールデムのように、7枚のカードから5枚を選ぶ場合の確率は以下のようになる。
役 | 組み合わせ | 確率 |
---|---|---|
ストレートフラッシュ | 4324+37260 | 0.031% |
フォー・オブ・ア・カインド | 224848 | 0.17% |
フルハウス | 3473184 | 2.6% |
フラッシュ | 4047644 | 3.0% |
ストレート | 6180020 | 4.6% |
スリー・オブ・ア・カインド | 6461620 | 4.8% |
ツーペア | 31433400 | 23.5% |
ワンペア | 58627800 | 43.8% |
ハイカード | 23294460 | 17.4% |
合計 | 133784560 | 100% |
脚注
関連項目
外部リンク
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