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チオレドキシン(thioredoxin)は、全ての生物に存在する低分子量の酸化還元タンパク質である。様々な生命反応において重要な役割を担っている。
チオレドキシンはヒトでは TXN 遺伝子にコードされている[5]。ヒトの場合、チオレドキシン遺伝子の機能喪失型突然変異体は、胚発生初期の四細胞期の時点で既に致死である。作用機構は完全に解明されているわけではないが、チオレドキシンはヒトにおいて中枢的な役割を果たしており、特に活性酸素種(ROS)との反応に関連して医薬分野との結びつきが強くなりつつある。前述の通りチオレドキシンは既知の全ての生物に見られるが、中でも哺乳類では不可欠である[6][7]。
植物においても、チオレドキシンは光合成から成長、花成、そして種子の形成と発芽に至るまで、多彩で重要な機能を司っている。近年では細胞シグナリングにも関与することが報告されている[8]。
チオレドキシンは、他のタンパク質のシステイン残基が形成するジスルフィド結合の還元・切断を促進することで、抗酸化物質として機能する。アミノ酸配列のレベルでは、チオレドキシンは近接する2つのシステインからなる CXXC モチーフを持っていることで特徴付けられる。この2つのシステインはチオレドキシンの還元力の中核である。チオレドキシンはまたチオレドキシンフォールドと呼ばれる特徴的なフォールディング構造を持つ。他のタンパク質を還元した際、チオレドキシン自体は酸化され、自身のシステイン残基で分子内ジスルフィド結合を形成する。チオレドキシンは NADPH 依存性のフラビン酵素であるチオレドキシンジスルフィドレダクターゼによって還元され、再び還元力のある状態に保たれる[9]。
チオレドキシンはペルオキシダーゼやリボヌクレオチドレダクターゼに対して電子供与体として働く[10]。グルタレドキシンもチオレドキシンと似た機能を持っているが、この酵素は特定の還元酵素ではなくグルタチオンによって還元される。
チオレドキシンは TXNIP(ThioredoXiN Interacting Protein )[11]、ASK1(Apoptosis Signal-regulating Kinase 1)[12][13][14]、コラーゲンIα[15]、そしてグルココルチコイド受容体[16] など、様々なタンパク質と相互作用することが知られている。
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