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ダンジョンズ&ドラゴンズ第5版(ダンジョンズ アンド ドラゴンズ だいごはん、Dungeons & Dragons 5th Edition)は、テーブルトークRPG(TRPG)、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』(D&D)のルールヴァリエーションの1つである。アメリカ合衆国でウィザーズ・オブ・ザ・コースト(WotC)社により2014年に発売され、日本でも株式会社ホビージャパンによって2017年末より翻訳発売された。
ダンジョンズ&ドラゴンズ第5版 Dungeons & Dragons 5th Edition | |
---|---|
ゲーム情報 | |
ジャンル | ファンタジー |
使用遊具 | 20面体・12面体・10面体・8面体・6面体・4面体サイコロ |
基幹システム | d20system |
原作・原案 | クラシック・ダンジョンズ&ドラゴンズ |
ISBN | なし(書籍扱いではないため) |
公式サイト | http://www.dungeonsanddragons.com/ |
開発 | |
発売日 | 2014年(日本語版は2017年) |
デザイナー | マイク・ミアルス、ジェレミー・クローフォード |
開発組織 | ウィザーズ・オブ・ザ・コースト |
販売元 | ホビージャパン→ウィザーズ・オブ・ザ・コースト |
執筆者 | 多数 |
扉絵 | タイラー・ジェイコブソン |
イラスト | 多数 |
関連書籍 | |
ルールブック | プレイヤーズ・ハンドブック、ダンジョンマスターズ・ガイド、モンスター・マニュアル |
サプリメント | 本文参照 |
設定集 | フォーゴトン・レルム、エベロン |
シナリオ集 | 本文参照 |
ウィキポータル ゲーム |
2008年に発表された『D&D第4版』は従来のTRPGに比してタクティカルな側面が強調されたシステムとなり、またアラインメントが従来の9種から5種に変更されるなど背景世界の手触りも異なるものとなっていた。オンライン事業とのシナジーも企図されていた[注 1]が、やや性急な商品展開と従来の3.5版サポートの打ち切りによりユーザー層の多くに戸惑いがみられる出発であった。
そうした状況の中、Open Game License準拠の3.5系列のライセンス作品『パスファインダーRPG』が2009年に発売され、これが第4版を上回る人気を博すヒットとなった[注 2]為、4版に移行したユーザと3.5版系列のパスファインダーRPGを好むユーザーとの間に分断が起こり、「版間戦争 (Edition Wars)[1]」と呼ばれる状況を招いた。(但し、パスファインダーRPGの展開が相当に遅れた日本国内の状況はこれとは大幅に異なる。)
このため、WotC社は2012年から『D&D Next』と題した次期ヴァージョンの開発を発表、この際、ユーザーへの公開プレイテストを行い、この結果を十分に加味した開発過程を採る事がアナウンスされた。この公開プレイテストから発売までの流れ、また「ベーシック・ルール」の無料公開(後述)といった戦略はほぼパスファインダーRPGの開発時と同様の過程を採ったものである。
第5版の基本ルールブックは2014年の夏から年末にかけて発売されたが、RPG関連事業の人員を大幅整理していた事情や、こうした「失地回復エディション」としての使命もあり、当初WotC社は北米や英・豪等の英語圏以外での展開には積極的でなく、Gale Force Nine社(GF9)への海外・多言語業務の委託体制が整うまでの数年間は非英語版での展開はされなかった。
2017年末よりホビージャパン(HJ)が日本での発売元となり刊行されたが、HJはWotCからこのGF9を挟んだ孫請け関係にあたっていた。2020年11月、WotCは事業再編によりGF9とのパートナーシップ関係を見直し、両者は一時訴訟関係となった[2]。この訴訟は2021年2月に和解となった[3]が、同年10月、HJは日本語版の刊行途絶を発表し[4]、2022年6月30日をもって、ホビージャパンによる日本語展開が終了した。
それから一カ月後の2022年7月29日、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト日本支社が新たに日本語版公式サイトを公開し、同社が日本国内でのD&D製品の翻訳と出版を直接取り扱う旨が告知され[5]、同年12月16日よりウィザーズ社が新刷した製品の販売が開始された[6]。
2021年10月のオンラインイベントでWotCは2024年に「コアブックの新しいバージョン」を計画していると発表。2022年10月から『ONE D&D』のプロジェクト名でユーザーへの公開プレイテストを開始した。これが正式に発売された際に第5版の改訂版となるのか全く新しい第6版という扱いになるのかは不透明だが、公開されているテストバージョンでは基幹のルールシステムは従来の第5版とほぼ同一となっている
第5版では冒険者がゲーム中に行うことができる活動を、探検・社交的やり取り・戦闘の3種に大別するというコンセプトで作られており、ルールやデータはこの3つを表現するためのものとして用意されている。全体的に「軽く、扱い易い」システムを目指して設計されており、過去の版(特に第3版とベーシック/クラシック系列)への先祖返りも多く見られる。
これら「先祖返り」な部分だけではなく、もちろん第5版から導入された新しいシステムもある。そのうち、ゲームプレイに大きく影響を与えるものとして「有利・不利」のルールと、「インスピレーション」のルールがある。
「有利・不利」のルールは、通常のd20ロールの際に有利な状況もしくは不利な状況ならば、d20を二つ同時に振るというもの。有利な状況下では高い方の出目を、不利な状況下では低い出目を採用する。またこの有利・不利の判断要素が複数ある場合はそれぞれ打ち消し合うという仕組み。第4版までのルールではキャラクターの状態や周囲環境によって判定値にボーナス/ペナルティがつけられていたが、それらの多くが有利・不利のルールに置き換えられ、ゲーム中において数値を計算する頻度が減った。
「インスピレーション」のルールは、プレイヤーがキャラクターのロールプレイに冴えを見せたような場合にDM権限で配布される特典ポイントである。プレイヤーは所持しているインスピレーション消費することで、判定の状況を「有利」にすることができる。またインスピレーションはロールプレイを介することでプレイヤー間での譲渡も出来る。インスピレーションは一種のロールプレイ推奨・報酬システムであり、この為にキャラクターの背景を設定しておく事も推奨されている。この配布頻度はあくまで個々のDMの匙加減に委ねられており、これを大盤振る舞いするか絞るかでシナリオの難易度を変えるようなマスタリングも可能。
「基本ルール」とは異なることに留意。第5版ではシステムの根幹部分およびごく基本的な種族やクラスはオンラインのpdfファイルとして無料公開されており、商品を購入していないユーザでも「お試し版」もしくは「カジュアルなセッション参加用」ルールとして使用する事が出来る。これらのファイルは、上述の通り海外展開が不透明だった2014年に日本のユーザ有志により翻訳され、ホビージャパンのウェブサイトで配布が開始された[注 3]。後に著作権処理の不備(?)によりサイトから取り下げられていた時期もあったが、2018年末以後再び公開された[7]。2022年12月に日本国内でのD&Dの取り扱いがホビージャパンからウィザーズ・オブ・ザ・コースト日本支社に移管されたことにより、2023年11月30日をもってホビージャパン社のウェブサイトからD&Dの記事が削除された際にベーシック・ルール日本語版のPDFファイルもダウンロードできなくなったが、2024年6月18日よりウィザーズ・オブ・ザ・コースト日本支社のD&D公式サイトで再び入手可能となった[8]。なお、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト日本支社から発売された新しいスターター・セットにはベーシック・ルール日本語版が紙の書籍として同梱されている。[9]。
<HJ>とついている製品はホビージャパン社から日本語書籍として出版されたもの、<WotC>とついている製品はウィザーズ・オブ・ザ・コースト社から日本語版が出版されたものとなる。 英語でのみ書かれているものは日本では未訳のもの。en:List of Dungeons & Dragons rulebooksも参照。
簡易ルール集と入門向けシナリオのセットとして販売された製品群で、同梱されたシナリオについては基本ルールブックを購入せずともプレイできる。
アクセサリー類の大半はGF9社による開発・発売。日本語版はホビージャパン社により翻訳販売されていた。
2017年から、米Wizkids社が、第5版対応公式プラスチックミニチュアを展開中。未塗装の「Nolzur's Marvelous Miniatures」シリーズと、塗装済みの「Icons of the Realms」シリーズがある。日本国内ではフリージアエンタープライズが2019年から輸入・販売を行っている。
2018年、デンマークのThe Army Painter社が、GF9のライセンスを受け、自社の水溶性ミニチュア用塗料をD&D向けに特化させた「Nolzur's Marvelous Pigments」シリーズを発売した。こちらもフリージアエンタープライズが輸入・販売を行っている。
2019年末、KADOKAWA(アスキー・メディアワークス)からIDW社製アメリカン・コミックスのD&D関連タイトルの日本語版が出版された。これらは本国と出版時期の隔たりがあり、ロゴの相違や付録のRPGシナリオから解る通り『ネヴァーウィンター~』『影の疫病』はD&Dが第4版の時代に展開されていたもの。
第5版時代以降展開されている他のコミックスには"Critical Role Vox Machina" (2017-, 動画配信シリーズCritical Roleのスピンオフ、これのみダークホース社製)や"Evil at the Baulder's Gate" (2018-, 『バルダーズゲートの伝説』続編)、"Rick and Morty vs. Dungeons & Dragons" (2018, シチュエーション・コメディの『リック・アンド・モーティ』とのコラボレーション)がある。
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