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アメリカンフットボールのポジションでは、アメリカンフットボールにおける各ポジションおよびフォーメーションの解説をする。
括弧内は各ポジションの略称。
オフェンスチームとは、攻撃を担当する選手たちのこと。
バックス&レシーバーズ(Backs & Receivers)は、スクリメージラインから1ヤード以上後方(バックフィールド)にセットする選手(バックス)、およびオフェンスラインの両端にセットする選手(エンド)の総称。通常のプレイ中にフォワードパスされたボールに触れることのできる「有資格」ポジション[1]。
クォーターバック(Quarterback, QB)は、センター(C)からスナップを受けた後、ランプレイであればランニングバックにボールをハンドオフ(もしくはピッチ)し、パスプレイであれば適切なタイミングでパスをレシーバーに投げる。攻撃の基点になるポジションである。ほとんどのプレイにおいて、クォーターバックは最初にセンターからのスナップを受けることになる。
ランニングバック(Running back, RB)は、クォーターバックからハンドオフされたボールを持って走るのが主な役割である。ランプレイにおける中心選手。敵陣目掛けて1インチでも多く突っ込むのが仕事。パスプレイにおいては、パスのターゲットとなったり、ラインと一緒にクォーターバックを守ることもある。
セットする位置によって、
というように呼び分けることがある。
ワイドレシーバー(Wide receiver, WR)は、パスプレイの際にクォーターバックから投げられたパスをキャッチすることが主な役割である。クォーターバックとともにパスプレイの主役となるポジション。単にレシーバー、またはワイドアウト(Wideout)とも呼ばれる。主に足の速さと確実な捕球能力や、ほかには敵ディフェンシブバックに競り勝つ身長の高さや腕の長さが要求される。
セットする位置によって
というように呼び分けることがある。
タイトエンド(Tight end, TE)は、左右どちらかのタックル(LT/RT)のすぐ外側に位置し、状況に応じパスキャッチとブロックの両方を行うポジション。単純に言えばワイドレシーバーとオフェンシブラインを組み合わせたポジション。役割が似ているため、まれにフルバックの選手が兼任する場合がある(その逆もある)。
オフェンシブライン(Offensive Line, OL)は、スクリメージ・ライン(LOS)上(ラインから1ヤード未満)にセットする選手。ラインメンともいう。センター(C)、ガード(G)、タックル(T)、およびエンド(E)からなる。ただし、エンド(TE/SE)を除き、スナップ時にセンター(C)がボールを持つ以外、ほとんどボールに触れることが認められない「無資格プレーヤー」であるため、オフェンシブラインと言えばエンドを除く中央の5人(インテリア・ラインメンと呼ぶ)を指す場合が多い。パスプレイにおいてボールをキャッチできない、フォワードパスが投げられるまではスクリメージラインを超えてはいけない、といったルール上の制限はインテリア・ラインメンに対するものである。
インテリア・ラインメンはランプレイにおいてはランニングバックの走路を切り開くためのブロックを行い、パスプレイにおいてはパスを投じるまでクォーターバックを保護(パス・プロテクション)する。ボールを扱わないため目立たないポジションであるが、オフェンシブラインの働きがラン、パスともに攻撃の成否のカギとなる。オフェンスの強いチームは、必ず優秀なオフェンシブラインを擁する。
2010ライスボウル優勝メンバーで引退後は近畿大学のコーチとなった木村裕二は、体格、機敏さ、頭脳が揃っていないとオフェンスラインは務まらず、それ故人材不足に陥りがちなポジションとなっていると主張している。逆に、ワイドレシーバーやクォーターバックは技術・頭脳的に簡単で、多少愚鈍でもできるともしている[2]。
センター(Center, C)は、通常オフェンシブラインの中央に位置する。スクリメージラインからクォーターバックにボールをスナップする役割がある。プレイ開始後は、他のラインメンと協同してブロックを行う。センターは多くの場合、守備隊形に応じてコール(オフェンシブラインメンのブロックの割り当ての指示)を行うため明晰な頭脳も求められる。
ガード(Guard, G)は、通常センターの両側に位置するポジション。レフトガード(LG)とライトガード(RG)の2名。他のラインメン同様にランプレーとパスプレーの際のブロッキングが主な役割となる。ラインメンとしてのパワーだけでなく、プル・アウトやプル・イン、トラップ、スウィープ、スクリーン・パスといったプレーで多様な仕事を行うことが求められるので機敏な運動能力も求められる。
タックル(Tackle, T)は、通常ガードの外側に位置するポジション。レフトタックル(LT)とライトタックル(RT)の2名。他のラインメンと同様にランプレーとパスプレーの際のブロッキングが主な役割だが、オフェンシブラインの両サイドを担うためパス・プロテクションに関しての責任は重い。
ディフェンシブタックル(DT)と区別するため、オフェンシブタックルと呼ぶこともあるが、たんにタックル(T)といった場合はこちらのポジションを指す。
エンド(End, E)は、タックル(LT/RT)の外側、ラインの左右両端(もしくは片側のみ)に位置するポジション。タックルとの間隔が空いている場合はスプリットエンド(SE)、間隔が狭い場合はタイトエンド(TE)と呼ばれる。
スクリメージライン上には、ルール上最低7人以上配置しなければならないため、通常はスプリットエンド1名とタイトエンド1名を置く。なお、スプリットエンドはワイドレシーバーの1人として考える。ゴール前の攻撃では2名のタイトエンドを置くこともある。
ディフェンシブチーム(Defensive team) とは、守備を担当する選手たちのこと。大きくディフェンシブライン(DL)、ラインバッカー(LB)、ディフェンシブバック(DB)と3区分される。
ディフェンシブライン(Defensive line, DL) は、スクリメージライン上にセットする選手の総称。フォーメーションにより異なるが、通常3、4人である。ディフェンスの中でも特に大柄な選手が担当する。オフェンシブラインに対して常に全力で向うため、他のポジションよりも体力が要求される。
手を付いてセットする姿勢から、ダウンラインメン(Down linemen)と呼ぶ場合もある。
ディフェンシブタックル(Defensive tackle, DT) は、ディフェンシブラインのうち、内側に位置するポジション。オフェンスライン(OL)と当たる。体格が大きく当たり負けしないパワーを必要とする。瞬発力は必要だが、持続的なスピードはあまり重要視されない。
ランプレイの際は、インサイドプレーを担当する。パスプレイの際は、クォーターバックに向ってパスラッシュをかける。
ディフェンシブラインが3名のときはディフェンシブタックルは1人となり、その場合はノーズタックル(NT)と呼ばれる。ディフェンシブラインが5名の時は、ディフェンシブタックル2名と中心にノーズタックルが位置する。ノーズガード(NG)またはミドルガード(MG)とも呼ばれる。ディフェンシブラインが4名の場合では、ウィークサイドのディフェンシブタックルをノーズタックル、ストロングサイドのディフェンシブタックルをコンボタックルと呼ぶ場合もある。
ディフェンシブエンド(Defensive end, DE)は、ディフェンシブラインのうち、ディフェンシブタックルの外側に位置するポジション。エッジ(Edge,E)とも呼ばれる。
ランプレイの際は、インサイドからオフタックル(オフェンスタックルの外側)に向ってきたランニングバックを担当する。パスプレイの際は、クォーターバックにパスラッシュをかけることが役割となる。そのため選手には、体が大きいだけではなく瞬発力とスピードが要求される。
4-3守備隊形では、オープン攻撃するランニングバックに対応する必要があるため、NFLで一流になれる人材は少ない。3-4隊形の場合は、アウトサイドラインバッカーがオープン攻撃に対応するので、ディフェンシブエンドの守備範囲は比較的に狭くなり、ディフェンシブタックルタイプの選手3人で対応できる。[3]。
ゾーンブリッツの時(ラインバッカーがブリッツを仕掛ける場合)に、開いたスペースをパスカバーをすることもある。主にウィークサイドのディフェンシブエンドをフォックス(FOX)ストロングサイドのディフェンシブエンドをエンド(END)と呼ぶ。
非常にスピードのあるディフェンシブエンドは、クォーターバックのブラインドサイド側に配置する。そのようなディフェンシブエンドは、場合によってオフェンスラインの外側を回り込んでクォーターバックをサックしようとする。
ラインバッカー(Linebacker, LB) は、ディフェンシブラインの後方にセットする選手の総称。フォーメーションにより異なるが、通常3〜4人である。パス、ラン共に対処し、ディフェンスの要となる。セットする位置に応じて、インサイドラインバッカー(ILB又は、ミドルラインバッカー(MLB))やアウトサイドラインバッカー(OLB)とも呼ばれる。
ディフェンシブバック(Defensive backs, DB) は、フィールドの後方および両サイドを守る選手の総称。セカンダリー(Secondary)と称することもある。基本となる守備隊形である4-3守備隊形や3-4守備隊形では、ディフェンシブバックは4人配置する。
コーナーバック(Cornerback, CB) は、フィールドの両サイドにセットする。通常は2人。3人つく場合は3人目をニッケルバック(Nickelback)、4人の場合は4人目をダイムバック(Dimeback) と呼ぶ。(後述)
主にパスに対する守備を担当し、両サイドへのパスをカバーする。攻撃側のエースレシーバーと競り合うことが多いため、特に足の速さが求められる。
オープンへのランプレイやリバースプレイを止める役割もある。
セイフティ(Safety, S) は、ディフェンスの最後尾にセットする。ディープゾーンへのパスをカバーするとともに、相手の攻撃を防ぐ最後の砦となる。守備範囲の広さが求められる。セイフティは役割により、さらにストロングセイフティ(SS)とフリーセイフティ(FS)の2つのポジションに細分化されている。
3rdダウンで残り距離が長いなど、パスプレイの可能性が高い場合、パスディフェンス強化のためにディフェンシブバックを5人以上置くことがある。このとき、5人目を「ニッケルバック(Nickelback)」、6人目を「ダイムバック(Dimeback)」と呼ぶ。
ニッケルとは米国5セント硬貨のことで、このポジション名はこの"5"に由来する。ダイムとは米国10セント硬貨のことで、2人目のニッケル(2×5)であることに由来する。まれに7人セットすることがあり、その場合は7人目をクォーターバック(Quarterback) と呼ぶ。この場合のクォーターバックとは、25セント=quarterdollarに由来し、オフェンスのクォーターバック(QB) とは語源が違う。
スペシャルチームとは、キッキング・ゲーム(キックオフ、フィールドゴール、パント)でプレーする選手たちのこと。
キッカー(Kicker, K)は、プレースキッカー(Place Kicker, PK)ともいい、フィールドゴールやトライフォーポイントでキックをする選手のこと。キックオフも担当することが多い。パンター(稀に他のポジション)兼任のキッカーもいるが、ゴールを狙うキッカーには特にキックの距離と方向の正確さが求められるため、チームによってはフィールドゴールおよびキックオフ専門のキッカーがいる(NFLでは特別な事情がない限りほぼすべてのチームのキッカーは専任である)。
パンター(Punter, P)は、パントを行い、ボールを相手陣の奥深くに押し込むポジション。キックオフを担当する選手もいる。キッカー(稀に他のポジション)兼任のパンターもいるが、パンターには局面に応じて蹴り込む距離を自在に調整できる能力が求められるため、チームによっては専門のパンターがいる(NFLでは特別な事情がない限りほぼすべてのチームのパンターは専任である)。まれに、フェイクプレーのフェイク・パントを行うことがあり、この際にはパンターがフォワードパスを投げる役割を担う。
ロングスナッパー(Long snapper, LS)は、フィールドゴール、パント時や、ショットガンフォーメーション時にスナップを担当するポジション。その名の通り、長いスナップをする場合に出てくる。センター(またはガード)が兼任する場合と専門の選手が務める場合がある。
ホルダー(Holder, H)は、フィールドゴールやトライフォーポイントの際に、ボール保持するポジション。ロングスナッパーがスナップしたボールを正確にキャッチして、キッカーが蹴るのに最適な位置にボールを保持する必要がある。ボールの縫い目がキッカーの脚に当たらないようにする調整なども求められる。ボールの扱いに慣れていることが求められるので、レシーバー、パンター、あるいは控えクォーターバックなどが務める。少ない例ではあるが、専任のホルダーをおいているチームもある(2011年度京都大学など)。
フェイクプレーのフェイク・フィールドゴールを行うことがあり、この際にはホルダーがフォワードパスを投げる役割を担う。
なお、ロングスナッパー、ホルダー、キッカーの3人をフィールドゴール・ユニットと称することがある。
キックリターナー(Kick returner, KR) は、キックオフの際に自陣のゴールライン前方からエンドゾーンのあたりに位置し、キックされたボールをレシーブしてリターンするポジション。専任を強調するためキックオフリターナー(Kick-off returner)と呼ぶ場合もある。
パントリターナー(Punt returner, PR) は、パントの際にリターンチームの最後方に位置し、パントされたボールをレシーブしてリターンするポジション。
リターナーには、飛球を確実にレシーブする能力と、リターンするためにスピードとタックル回避能力を生かしてフィールドポジションを回復することが求められる。そのためワイドレシーバー・ランニングバック・コーナーバックなど走力に優れた人材に担当させることが多い。
リターナーを同じ選手に担当させるチームと、求められる能力が若干異なるためキックリターナーとパントリターナーを担当する選手を2人用意するチームがある。
ガンナー(Gunner) は、キックオフやパントの際、キッキングチーム側でサイドラインを素早く走り、リターナーをタックルする役割のポジション。
ガンナーは、リターンチームのブロッカーをかわし、ボールの落下地点に早く到達する技術や能力が必要とされている。
背番号は、ポジションによって規定される[4]。NFLでは、センターの選手は50番台など独自のルールが適用される。
範囲 | QB | RB | WR | TE | OL | DL | LB | DB | K / P |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1–9 | Yes | No | No | No | No | No | No | No | Yes |
10–19 | Yes | No | Yes | No | No | No | No | No | Yes |
20–29 | No | Yes | No | No | No | No | No | Yes | No |
30–39 | No | Yes | No | No | No | No | No | Yes | No |
40–49 | No | Yes | No | Yes | No | No | Yes | Yes | No |
50–59 | No | No | No | No | Yes | Yes | Yes | No | No |
60–69 | No | No | No | No | Yes | Yes | No | No | No |
70–79 | No | No | No | No | Yes | Yes | No | No | No |
80–89 | No | No | Yes | Yes | No | No | No | No | No |
90–99 | No | No | No | No | No | Yes | Yes | No | No |
アメリカンフットボールには様々なフォーメーション(隊形)があり、状況によって使い分けられる。
ただし、戦術と切り離してフォーメーション単独で考えることはできない。まず戦術があり、その戦術を有効に遂行するために最適なフォーメーションが選択されるのである。また、ひとつのフォーメーションから展開される戦術(プレイ)は多岐にわたる。
基本的に、ランニングバック(RB)、ワイドレシーバー(WR)、タイトエンド(TE)の人数と配置によって分類される。
4-3-4から行う「タンパ 2(トニー・ダンジーがタンパベイ・バッカニアーズのヘッドコーチ時代に開発した)」と呼ばれるパスカバーでは、ミドルラインバッカー(MLB)がミドルポスト付近まで下がってゾーン守備を担当する。二人のSFはそれぞれディープゾーンを担当する。両CBはアンダーゾーンを担当する。左右のNo.1レシーバー(外側のレシーバー)に対して実質的にアンダー&ディープでダブルカバーを可能にするのが特徴である。
「ショートパスとランプレー阻止の両方を狙うものだが、プレーの展開スピードが上がった近年ではあまり用いられない」との記述がネット上に見られることもあるが、NFLを含め5-2ルックで構える場面はごくありふれている。特に3人のDLを投入したディフェンス(主として3-4)では、LBをスクリーメージ付近にセットさせて実質的に5-2ルックで構えることがよくある。日本国内などで5-2守備を標榜している場合でも、とくにウィーク・サイドのDEは実質的にOLBの役割が多く、そういう点でも単なる見た目だけでは3-4や4-3との境界は曖昧になっているのが実情である。上記4-3、3-4、5-2は、ボックス内を7人で守る体形であり、その点では同じマンパワーである。
プレーの方向に対しディープゾーンとアンダーゾーンの守備選手を回転させるように動かすことにより、ゾーンカバーのエリアや守備人数を変える戦術。カバー2から、ロングパスに強いカバー3に変える時(その逆もあり)に使われる。
ローテーションの一種で、ディープゾーンを守る選手をアンダーゾーンを守るように指示する戦術。名称はアンダーゾーンを守るポジションの頭文字に由来し、セーフティー(SF)の場合はスカイ、コーナーバック(CB)の場合はクラウドという。守備側にとって不利なストロングサイドで多く使用される傾向にある。CBが守るゾーンは、移動距離が短く守りやすいが、SFが守るゾーンは、移動距離が長く守りにくく弱点となる。スカイの場合、CBは早いうちからレシーバーの動きを見極められるため、ロングパスに強くなる一方、ショートパスに弱くなる。クラウドの場合、CBはアンダーゾーンに残るためショートパスやオープンプレイに強くなる一方、ロングパスに対しては弱くなる。
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